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〜私は何者かになるのか〜<4>

RoboCup世界大会参戦記2日目〜憧れのパリ〜


 今朝、遂にフランスに着きました!ホーチミンのタンソンニャット空港からパリのシャルル・ド・ゴール空港まで13時間余りの長いフライトでしたが、寝ていたら一瞬でした。参戦記1日目にも書きましたが、ベトナム航空の機内食はやはり美味しいです。 間も無く着陸というとき、初めてのヨーロッパに興奮と少しの緊張が混じった面持ちで窓を覗くと、日本の田畑とはまた違う色の黄金色の風景が広がっていました。ブリューゲルの「穀物の収穫」を連想させるその風景を見て、ああ自分は本当にヨーロッパに来たんだ、とエモい気分になりました。

 飛行機を降りて税関審査や荷物の受け取りをする時点で、当たり前ですが昨日のホーチミンで感じたのとは違う「異国」でした。ちょうどアフリカのどこかの国からの便と重なって、初めて大勢の黒人さんを見ました。空港でユーロへの換金もしたのですが、日本で換金した方が良かったなという条件でした。どれも勉強です。
 さてここで今回の旅で初のトラブルがありました。トラブルというほどのものではないのかもしれませんが、予定通りバスでパリ市内に向かおうとすると、空港からパリ市内に向かうバスが止まっていました。バスのチケットの発券機が動いておらず、発券機の近くでウロウロしている人もいて、これが噂に聞くストなのか? と焦りました(結局何でバスがなかったのか分からないので本当にストだったのか分からないです)。 空港職員の方に聞いても「あそこで券が買えるはずなんだが…」という反応だったので、仕方なく鉄道RERで向かうことにしました。車窓から見える壁という壁はストリートアートで埋め尽くされていて、貨物列車のコンテナ(廃車なのか?)にもびっしり。これってわざわざ深夜に線路内に侵入して描かれたのかなと想像したりもして、日本にはない光景にいちいち驚いていました。

工事中のノートルダム大聖堂

 空港とパリ市内を結ぶ電車は治安が悪くて危ないと聞いていましたが、車内では特に何も起きませんでした。 風景を楽しんでいるとあっという間にパリ市内に到着。電車を降りて地上に出ると白を基調とした石造りのアパルトマンが立ち並ぶパリの街並みが広がり、既に今日100回目くらいの、あ今フランスにいるんだ、という気持ちになりました。道路には歩道とは別にしっかりと仕切られた自転車専用の道があり、レンタルの電動自転車で行き交う人が多くいました。後で調べると、パリが移動手段として自転車移動を政策で推進し始めたのは本当に最近のことで、特に来年のオリンピックに向けてかなり力を入れているそうです。ヨーロッパには高速自転車道というものがあるということも初めて知りました。あと、バス停がどこも綺麗で大きな電子広告画面付き、USBポートもあって待ち時間にスマホの充電もできるように整備されていました。 ボルドー行きの電車まで、工事中のノートルダム大聖堂やセーヌ川沿いの風景を見ながらプチ観光をしていました。ルソーを初めとする啓蒙思想家やフランス革命の代表者たちが通ったという、1686年からの老舗カフェ・ド・プロコープや、20世紀初頭にあのピカソを含む著名な画家や哲学者、作家が集まり、周恩来もパリ留学中に通い詰めたというカフェ・ド・フロールも見学しました。ゆっくり過ごすことはできませんでしたが、今もたくさんの客で賑わう様子を見て、昔と今が繋がるカフェにしみじみとした気持ちになりました。パリの建物は歴史あるものだけでなく、比較的新しい建物も、伝統(といってもロンドン大火災以降木造建築が減っていた結果なのですが)を感じさせる建築になっていて、国だけでなく時代も変わったかのような気になりました。

モンパルナス駅のターミナル感

 ボルドーのサン・ジャン駅へはパリのモンパルナス駅からTGVに乗りました。路線の起点となるあのターミナル感を見ると、毎回脳の同じ部分がくすぐられる感じがします。大阪梅田の阪急電車の乗り場で毎回感じていたのと同じ、さらにそれに異国バイアスがかかって、感無量でした。TGVの車両は2階建てになっていて、ネットで買える切符は全て指定席です。電車の中で書き物をして、うとうとしているとあっという間に、フランス南西部ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏の首府ボルドーに着きました。ここもまた駅がすごい…。また帰りにじっくり綴るとして、駅からバスを使ってなんとか6日間お世話になる宿に到着。フロントのおじちゃんは私が日本から来たと分かると、嬉しそうに「こんにちわー」と歓迎してくれました。ボルドーの様子はまた明日以降です。

(2023/7/4、フランス、ボルドーの宿にて)