トンデモ科学はいずれ常識になる!~量子力学は意識の謎を解き明かすか?~
科学の発展した現在でも説明のつかない訳の分からない事はたくさんある、とよく言われます。しかし科学の最先端ほど訳の分からない事が多いのも事実です。
今年のノーベル物理学賞を受賞した量子もつれ理論も我々一般人の認識からすると訳の分からない理論の一つです。
この理論によると量子もつれ状態にある2つの量子はどんなに離れていても光の速さを超えて瞬時に影響を与えるとされます。にわかには信じ難い話です。量子もつれ理論が発表された当初は、かのアインシュタインもこの理論はおかしい、不気味だとも表現したほどです。
アインシュタインが量子もつれをトンデモ科学の類に表現した程ですから我々一般人はこれを理解出来なくて当然です。
また2年前の2020年にはブラックホールの研究進展に大きく貢献したとして、英国・オックスフォード大学のロジャー・ペンローズ他2人がノーベル物理学賞を受賞しました。ブラックホールもその理論が発表された当初は荒唐無稽なトンデモ的な見方をされていましたが今や物理学の定説です。
ペンローズはそれ以前にもかのスチーブン・ホーキングと共にブラックホール特異点定理の証明でウルフ物理学部門賞も受賞している他、数々の新理論を提唱している多くの人が認める天才科学者です。
ペンローズは上記ブラックホール等の研究以外に‟量子脳理論“という独創的な研究でも有名です。量子脳理論によると脳は電気化学的アプローチによる信号処理をしているだけでなく、量子力学的メカニズムが重要な役割を担っているとする仮説です。特に‟意識”や‟こころ“の問題には量子が深く関わっており、クオンタム・マインド(量子意識)とも言われます。量子意識の解明無くして機械が意識を生むことは無いと断言しています。従って現状AI研究の延長でのシンギュラリティには懐疑的です。
さらに量子意識は他者や宇宙と繋がっており、量子テレポーテーションや臨死体験、死後の世界や生まれ変わりにも言及していて一寸オカルト的です。
そのようなことから量子脳理論については荒唐無稽であるとして懐疑的な研究者も多く、トンデモ科学的な見方をされる場合もあります。
ところが今年4月に加アルバータ大学と米プリンストン大学の研究グループで行われた研究によるとヒトの意識は量子的な効果で発生しているという実験結果が示されました。
さらに今秋にはダブリン大学トリニティ・カレッジ神経科学研究所の研究チームがヒトの脳は量子計算を行っていることを実験的に突き止めたと発表しました。
更なる追試は必要ですが、現状量子脳理論が実験的に確かめられつつあると言えそうです。
量子脳理論と量子もつれの合わせ技により、ヒトの脳は他者と、或いは宇宙と何らかの繋がりがあると言えそうです。
昔から世界中で言われている‟以心伝心“や‟虫の知らせ”などは本当にあるのかも知れません。
またアイデアが降りてくる、という表現や思わぬ幸運を表すセレンディピティ、世界中で同じような理論や発明が同じような時期に現れるという現象も我々の脳がどこかで繋がっている証かも知れません。
スイスの精神科医で心理学者のC・G・ユングは師であるフロイトの無意識の理論を拡張して集合的無意識を提唱しています。またユングは、シンクロニシティ(共時性)という概念でヒトの想いは繋がっているとも言っています。このユングの考え方(仮説)は一般の常識からするとオカルトっぽくトンデモ的ですが、シンクロニシティも集合的無意識も量子もつれの為せる技と考えると合点がいきます。
古くは地動説や進化論などの科学理論も多くの人にとってはトンデモ理論でした。現在のトンデモ科学と言われている分野も次々と実験的にその正しさが証明されようとしています。そして現在、凡人には理解できない訳の分からない最先端科学理論は昔から言われている訳の分からない事柄を一つ一つ説明可能にしていきそうです。
ヒトの意識・こころの成り立ちから、テレパシー・占いや、魂・幽霊、果ては死後の世界・生まれ変わりまで、最先端科学はその存在・仕組みを証明する日が来るのかも知れません。
2022.12.10
(概要)量子センシングハンドブック ~量子科学が切り拓く新たな領域~ (nts-book.co.jp)