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「男子校のノリ」にもう耐えられない

知識は時に人を助け、時に、人を苦しめる。
解像度が上がることが、こんなに気持ち悪いだなんて思わなかった。

私の所属する部は、男性n:女性(私)1という、極端な男女比率で成り立っている。入社当初、その比率に違和感をおぼえることはなかった。なぜなら過去勤めていた会社でも同じようなことが多々あったからだ。新卒で入った会社も、その次の会社も、男女比率でいうと男性の方が多かった。
そのうえ私は「男性っぽく」振る舞いたい一面もあり、男性グループに飛び込むことに嫌悪感を抱いたことはなかった。

はじめはなにごともなく過ごしていた。
「男性っぽく」振る舞ったし、楽しく会話もしていた。ただ、ある日、強烈なセクハラにあった。

それは男性同士だったらよくある会話だったんだと思う。けど、女性である私にはついていけなかったし、ついていきたくもなかった。
深夜ラジオリスナーなので、下ネタは平気だし、なんなら爆笑するほどの女である。だけど、身近な、いやプライベートで仲良くしてる友人ならまだしも、一定の距離感がある仕事の人、その人から繰り出される下品で無礼な言葉に私は激怒した。激怒したものの、相手はヘラヘラしていた。「こういう会話以外になにで仲良くなるの?」と言われ、よくTwitterで見るおぢさんが言っているワードを、まさか30代の男性から聞くとは思わなかった。

今は仕事の関係性を悪くしないようにとニコニコしてるけど、一生許す気はない。ちなみにその人はもう一発ヤバい発言をしている。その時は本当にこの人と一緒に働けないと思って転職サイトに登録した。登録するだけで一旦は満足したので転職はしなかったが、今思うとしとけばよかった。恨みの炎がここまで心臓を燃やし続けるとは思わなかった。

違和感がひとつ生まれてからは、ぽつりぽつりと他の違和感も表層化してくる。人をバカにして盛り上がるコミュニケーション、ニヤニヤしながら話す下ネタ。

なんだっけ、これ、わたしこれ知ってる

スマホの検索欄に文字を打ち込む。

「ホモソーシャル」

ドンピシャ、とは言わないが、だいたい状況と合致した。気持ち悪さが全身に広がる。

他部署の女性をバカにして盛り上がってるところなんてまさに「ミソジニー」だし、女性の見た目でジャッジしていたあの言動だって、下ネタだって、女性(私)の存在を無視してつるむ感じも、「ミソジニー」じゃないのか。あれも、これも、それも、と思い出される。

こんなグループの中に私はいるのか。体が小刻みに震える。おそろしい。自分自身に危害がいつかまた及ぶのかもしれないという恐怖と、そんなところにいる女という見られ方をしているのではないかという恐怖だ。

「ホモソーシャル」という言葉で世界の解像度が上がった、おかげで、気持ち悪い毎日を送っている。できる限り関わりたくないけど、毎日顔を会わさなくてはいけない。そんな日々を、深呼吸しながらやり過ごしてる。

ただ、解像度が上がったおかげで、次に取るべき行動が見えた。
「逃げるが勝ち」だ。

仕事は辞めたくないから、異動のお願いを出そうと思う。うーん、または今が転職のタイミングなんだろうか。いよいよフリーランスになる?

ここまで読んで「あれ、自分も…」となった人もいるかもしれない。これは女性だけじゃなくて、男性にも当てはまることがあると思うし、男性はなおのこと逃れられないことが多いと思う。
一緒に逃げよう。逃げられない状態なら、まずは吐露しよう。つらいって言っていい、吐き出そう。Twitterでもいい、このコメント欄でもいい。あなたはひとりじゃない。


と、朝にここまで書いて保存した。夜、偶然にも同じような経験のある子と話すことができた。お互い思いっきり話して、つらかった〜と大きな声で言った。こんなに話せて嬉しかったと、手を合わせ、私たちは帰路につく。

私はひとりじゃなかった。それが、本当に嬉しかった。と同時に、腹立たしかった。こんな経験をする人が同じようにいるなんて。

やっぱり、おかしいって声を上げるべきなんだって改めて思った。声を出せるように、私はもっと強くなりたいし、強くあれるように連携したい。


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