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BILLIE HOLIYDAY

長年ドラムをやっていて
よく言われた言葉が

"女性ドラマーの中で1番好きやわ"

言うてる本人はすごく褒めてくれているつもりやったんやろうし
わたしも初めは嬉しいとおもってたけど
ある時から嬉しいと"意識的に"思うようにした
きっとこれは褒め言葉だと思い込むというか
でも半分は、いやそれ以上は悔しい言葉だった
なぜわたしはだれかの
"ドラマー"の中で1番好きになれないのか
"ドラマー"に肩を並べるにはどうしたらいいのか
"女性ドラマー"から"ドラマー"になるにはどうしたらいいのか
なんて高校生の頃はよく考えていた

"男に生まれればよかったわ"

という中島みゆきのファイトの歌詞に涙を流したりしていた
いや別に女である事が嫌に思ったことはないし
結果その言葉があって色んな試行錯誤があり今のプレイスタイルに至るから別に悪いことばかりじゃないんやけども

女の子だけのバンドを組めば
ガールズバンドと括られて
ハードコアをやってるガールズバンドも
ポップソングをやってるガールズバンドも
いっしょくたにされていたし
ボーカルが女の子なら
それだけでガールズバンドだと言われていたし
なんじゃい!?と
なになん?
the wってなに?
お笑いするのに
女だけでくくる必要ある??
脱線しそう!もどる!
なんにせよ
この時のどこにぶつけたらいいのかわからない気持ちは
いつも鉛のように心の底に溜まっていった


ビリーの人生は
この鉛のように重く沈む"何か"の
オンパレードフルコースビンゴもビンゴ
女であるという事以外にも
そもそも人間であるという事が脅かされる時代に生きて
(悲しいかな今もなおあるけども)
それでも彼女は"自分自身"を
最大限に"使い"歌って
生きていた
そしてその歌に乗せられる想いは
びっくりするほどまっすぐで重い
そら
ビリーホリディのあのエモーショナルな声は
わたしの心に沈んだ鉛を震わせるよな
そら好きやわ

と、いう見方ができるのは
ビリーを10年間も取材して不審な死を遂げたリンダの想いが相当乗ってるからやろな
このリンダという記者が取材をしていたインタビューのテープがこの映画の主な部分になっている

黒人だから女だから
音楽やってるから体売ってるからなど
ひとにカテゴライズされる人生ながら
魂をうたにのせて楽器のようにしなやかに歌う
伝説のジャズシンガーとして生きた
ビリーホリディ
かっこいい以外の何者でもない
ジャズの歴史はまだまだ浅いものしか知らないけど
ビリーがいる事で
ステージの"飾り"でしかなかった女性ジャズシンガーが
ジャズシンガーとして地位を確立していく
歴史の始まりみたいな感じした
そして本当に本当に知れば知るほど重くてしんどい
黒人の方々が強いられていた環境も
島国でぬくぬくと育った黄色い女の私には
想像を絶する
毎回思う

そんな映画でした

いつも映画を見ると
フィルマークスにレビューを書くから
今回も書いてたけど
あまりにも自分のことすぎたので
こちらにリリースしてみたよ

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