見出し画像

高校野球|感謝の気持ちにあふれた特別な夏

コロナ禍で、どうなることかと思われた高校野球。
毎年撮影に携わる私も、いつもと違う夏に大変なことが多かったけれど、おかげさまで無事乗りきることができた。
ひとりでは絶対にやりとげることができなかった。
あふれる感謝の気持ちを書き残しておきたい。

・・・・・

私は高校野球を中心にカメラマンとして活動している。

甲子園は春に続き夏も中止に。
地方大会の開催も白紙となり、”最後の夏”はだれも経験したことがない夏となった。

例年だと7月に地方大会、8月に甲子園。
7月は地元で新聞で地方大会の撮影をして、8月の甲子園はスポーツ紙の出版部で内勤し、誌面に載せる写真を選んだり組んだりと編集がメイン。
カメラマンとしては12度目の夏だけど、編集仕事はまだ3年目。ようやく作業に慣れ、段取りもできてきたのにすべてが通用しなくなった。

各都道府県では、甲子園にはつながらないけれど、独自の大会として”最後の夏”の舞台は用意された。その後、甲子園の土を踏むはずだった選手たちにも、センバツの代替大会として交流試合が8月に行われることも決まった。

地元・千葉の独自大会は8月の開催が決まった。他県も8月開催が多い。夏の甲子園はなく、選抜の交流試合が行われることもあり、雑誌の発売日も大幅に例年と変わる。

ふたつの大きな仕事が見事に重なった。
同時進行でやれるのか……私にとってはどちらも大切な大好きな仕事なのでどちらかを諦めるなんて考えられない。
中途半端でもいけない。
どちらもしっかりやりきるために、双方の会社にはまず現状を伝え、私の希望を相談し、ご理解いただき、いろんな方が力を貸してくださった。

カメラマンとはいえ、特に私が携わっている夏の仕事は撮っておしまいのひとり仕事ではない。出版社や新聞社、記者さんやライターさんなどと連携を取ってチームで仕事をしている。
このチーム感がとても好きだ。
どんなにひとりでは難しい問題でも、信頼している方々だからこそ遠慮なく気持ちを伝え(もちろん我を通すのではなく失礼がないような伝え方で)前もって相談すれば、道は照らされ進みやすくなる。

私ひとりでは絶対に乗り越えられなかったし、やりきれなかった。
ふたつの大きな仕事を完走できたことはとても自信になったけれど、それは周りの人たちのおかげが大きく、大変恵まれていた。
やり切れた達成感、充実感以上に感謝の気持ちでいっぱいだ。

撮影を通して、選手たちからも大会を開催してくれたことへの感謝の言葉をたくさん聞いた。
この夏はいつも以上に「ありがとう」にあふれていた。

最後に。
コロナ禍で大会は無観客で開催され、多くの高校野球ファンが足を運べずに残念で悲しい思いをしたことも忘れてはいけない。
私もずっと野球ファンで、ご縁がありカメラマンとして野球に携わる一方で、ライフワークとしても野球を追いかけている。ライフワークでは媒体を背負わないため、報道扱いとならず、撮影許可がおりないこともある。
球場に足を運べない無念さは痛いほどわかる。
高校野球に関しては、おかげさまで仕事として現場に行くことができ、球児たちの最後で特別な夏を残す手伝いができた。
球児や保護者様はもちろんのこと、たくさんの高校野球ファンにも彼らの姿を届けたい。そんな気持ちで活動していたことも事実。

ネット記事や動画がどんどん勢いを増し、新聞や雑誌など紙媒体は右肩下がりを続ける一方だ。それでも小さなスマホの画面ではなく、机いっぱいに紙を広げて大きな写真を見る良さは何にも代えがたい。
現地に行けない分、今年は紙媒体もたくさんの方の目に触れたのではないだろうか。そして紙で見る写真の良さを改めて感じていただけていたら何よりうれしい。

(新聞はバックナンバーでも購入いただけますし、雑誌はこれから発売のところが多いですので、ぜひお手に取っていただけますと幸いです)

千葉では週末からはもう新チームの秋季大会が始まる。
保護者の立ち入りも不可の完全無観客。
残念だし寂しい。
早くスタンドに歓声が戻りますように、と祈りながら、仕事で球場へ伺えること、野球を撮れることに感謝して、カメラマンとしてもますます精進していくことをここに誓いたい。


何か感じてくださったのでしたら、そのお気持ちだけで十分です。ありがとうございます。