インタープリテーション(IP)コンピテンシー
コンピテンシーは、職務や役割において優秀な成果を発揮する人材の行動特性を意味する言葉です。コンピテンシーでは、知識やスキルに加えて、人材の価値観や性格、使命感など、行動に繋がる内面的な要素も重視されます。
米国のIPコンピテンシー
米国の国立公園では、およそ3,500人の職員が、教育やIPに関係する職務に携わっています。このため、IPにかかわる人材のあり方について、コンピテンシーをもとに議論されてきました。
米国の国立公園を管理するNational Park Serviceでは、インタープリターに求められるコンピテンシーとして、以下のようなカテゴリーをあげています。
IPの対象とするリソースに関する知識
IPの適切な技術に関する知識
ビジターとのコミュニケーション
適切な説明方法
IPに関するアクティビティの運用
図や写真などを使ったデモンストレーションの方法
IPの上級者になると、次のようなカテゴリーのコンピテンシーも求められるようになります。
IP計画の策定方法
コーチングとトレーニング
IPメディアの開発と情報の発信
リソースに関する研究とIPの融合
IPスクールのコンピテンシー
IPスクールでは、米国のインタープリターに求められているコンピテンシーを参考にしながら、日本のインタープリターに求められるコンピテンシーを検討してきました。
そして、2011年の開園以来、専任のインタープリターが配置されて10年以上にわたる活動実績がある、日光国立公園那須平成の森フィールドセンターの初代センター長、若林正浩さん、若林千賀子さんへの綿密な聞き取り調査によって、2023年にコンピテンシーを完成させました。
IPスクールのコンピテンシーは、6つのカテゴリー47項目に分類しています。さらに、初心者からガイド経験者まで、どのようなレベルの方でもIPを学びやすいように、47項目のコンピテンシーを初級コース、中級コース、上級コースに分類しています。
A.ビジターの体験
・ビジターに接する心構えや態度など
B.IPによる知識の発見
・IPの対象となるリソースの知識や意味を見出す方法
C.IPの適切な技法
・IPを実践するための具体的な方法
D.IPの協働型運営
・地域と協働してIPを運営する方法
E.IPの運用と改善
・IPを実践するための計画立案や改善の方法
F.自己及び他者に対する能力開発
・IPにかかわる人材の育成方法
IPコンピテンシーを身に付けて本格的なIPを実践してみたい方は、IPスクールで一緒に学んでいきましょう。
(高橋俊守)