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バルセロナで1シーズン経験し感じたスペインの7人制サッカー

皆さんこんにちは。今回は私がバルセロナで7人制サッカーを1シーズン選手とともに経験し、学んだこと、気づいたこと、そして日本の少年サッカーとの違いを自分なりに書いてみたいと思います。


スペインの7人制サッカーってどんな感じ?

まず初めにスペインではどのような環境のもとで7人制のサッカーが行われているのかを説明していきたいと思います。スペインではサッカーの育成年代のことをFútbolbeseと呼び、その育成年代の中で7人制サッカーが行われるのは以下の3つの年代が対象になっています。各年代は2歳ごとに分けられており、以下のような名称がつけられています。

6,7歳 → Prebenjamin

8,9歳 → Benjamin 

10,11歳   Alevín 

そして各年代ごとに選手やチームレベルによって分けられたいくつかのDivisiónが存在します。

Alevínでは、一番上のリーグから

Preferente

Primera División 

Segunda División

Tercera División                                              

Benjaminでも同様に上から

Preferente

Primera División 

Segunda División

Tercera División                                              

Prebenjaminは

Prebenjamin7 (1Divisiónのみ)

AlevínやBenjaminのPreferenteには世界屈指のクラブFC.Barcelonaの育成年代や、バルセロナの育成年代でも強豪と言われているEspañolDAMMなどのチームも所属しています。

そして1グループ約15前後のチームで構成された各グループですが、そのグループ数もかなりの数が存在します。例に昨シーズンのAlevínのグループ数は以下の通りでした。

Preferente→ 6グループ

 Primera División→ 15グループ

Segunda División→ 46グループ

Tercera División→ 54グループ 



つまりざっと計算すると、Alevínだけでも約2000チームほどまでに及びます。この全チームがカタルーニャサッカー協会に登録し、毎週末どこかのグランドでリーグ戦を行っているということになります。さらにこれにBenjaminやPrebenjaminも含めると、育成年代だけでもかなりの規模であることがおわかり頂けるのではないでしょうか?

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この規模の大きさが生むメリット

上記のチーム数が全てカタルーニャ市内に収まってるということが、生活の一部にサッカーがあるという何よりの証拠になっています。この規模の大きさが生むメリットとして一番言えることは各選手が自分のレベルにあったチーム、リーグ戦でサッカーを行うことが出来るという点です。その為、もし今所属しているチームで出場機会が少なかったり、うまくチームに合わなかった場合でも、多くのチームの中から自分に合うチームを選ぶことが可能なのです。

スペインの7人制サッカーは15分×4という時間割で行われます。そして、そのチームに所属する全選手がその試合で必ず出場し、プレーしなければならないという決まりがあります。その為、監督は毎試合全選手が試合に出場できるように、選手交代を4本の中で行わなければいけません。しかしスペインの7人制サッカーは、大体1チーム7〜11,12人あたりで構成されてい為、1試合の中で全選手が試合に出場することが可能です。これを可能にしているのも各クラブが各カテゴリーに多くのチームを抱えていることや、カタルーニャサッカー協会に登録しているチーム数が多くあること、つまりは7人制サッカーの規模の大きさのおかげと言えます。なので、1チームに20人や30人もいる大所帯で、全選手が出場時間を確保できないの現象は決して起こり得ない環境になっているのです。



7人制サッカーの指導環境において優れている点

それは各チームには必ず指導者ライセンスを所持している監督やコーチが最低1~2人以上ついている点です。さらにリーグ戦の試合前には担当する主審のもとへfichaと呼ばれるものを提出しなければなりません。私のこの仕事も任されていたのでよく知っているのですが、これはその試合の出場選手の確認と、チームを率いている監督はライセンスに基づいたfichaを所持してるかなどの確認などを行うためです。つまりライセンスをきちんと所持していなければ指導者は第一監督としてチームを率い、リーグ戦を戦うことはできません。このような仕組みがあるからこそ、選手たちは普段の練習から、あらゆる指導者学校できちんとサッカー勉強した指導者からサッカーを学ぶことが出来るのです。この育成年代でいかにサッカーというスポーツを理解し、どうプレーするのかを学ぶということが大切なことなのかは皆さんにもお分かり頂けるかと思います。


このようにスペインの7人制サッカー環境は、真剣勝負が行える環境でもあると同時に、選手のプレー時間の確保や指導者レベルの確立等による選手育成の部分も考慮された仕組みになっているのです!



まだまだあるスペインの7人制のサッカーの整った環境!

そして外的環境にも多くのメリットが存在します。1つ目にスペインでは基本的に育成年代から当たり前のように練習でも試合でも7人制サッカー用のラインがしっかりと引かれている人工芝のグランドで行われますという点です。このように早い年代から芝でサッカーを経験できるの選手と、土のグランドで毎日練習や試合を経験している選手とでは将来的に大きな差が生まれることは歴然です。そして2つ目には、各試合では、必ずサッカー協会から審判が派遣され試合の笛を吹くという点です。 

そして特徴的なものとして、Benjamin以降はその各グループのリーグ戦で昇格降格制度があるリーグ戦が行われるという点があります。この制度により選手も監督も毎週末緊張感のある真剣勝負を行うことができるのです。このような経験が早い段階で出来ることも選手にとってはメリットであると考えられます。



スペインと日本の育成年代サッカーの環境の差が生むものは?

いかがだったでしょうか。スペインでは、日本のジュニアユース、ユース年代や、大人の年代の公式戦やリーグ戦と遜色ないほど整った環境がこの年代から当たり前のように行われています

この年代からこのような整った環境のもと、自分に合ったレベルのチームやリーグ戦で緊張感のある真剣勝負を毎週末行えるスペインの育成年代の環境は、果たして日本の同じ年代には存在しているのでしょうか?

私が日本のこの年代で思い浮かべる光景は「お父さんコーチ」「土のグランド」「主審は試合に該当しないチームの監督」「副審は該当チームのベンチメンバーでジャンケンで負けた選手」「質の低い指導」などです。これらほとんどは私の選手時代の実体験でもあるので、今現在では大きく改善されている部分もあると思います。しかし、このような環境でサッカーをしていた選手は私以外にもいると思いますし、そのような光景を見たこともある指導者もいるのではないでしょうか?

このような環境は育成年代の選手に良い影響を与えるとは思えません。私はこの育成年代のサッカー環境こそ疎かにしてはいけないと思っています。なぜなら、皆さんもよく知っている「ゴールデンエイジ」はこの年代に該当するからです。身体的、精神的、そして何よりも神経発達が最も著しい時期であるこの時に「学ぶこと、経験すること、実行すること」はその後の発達や成長を大きく左右するほど大事なものになります。

1年間バルセロナで育成年代のサッカー環境を見てきたからこそ、上記で書いてきたようなことと日本との違いを知ることできました。なにもスペインの環境が全て正しくて、日本の環境が全て間違っているというわけではありませんが、少なくともスペインの育成年代のサッカー環境は、選手全員の「育成」と今後カテゴリーが上がったときのサッカーに活かせるような「経験」の両方を養える環境がしっかりと確立されていると感じました。

もちろんスペインと日本ではサッカーに対する生活との結び付きの強さや、文化、歴史が大きく異なる為、それによるサッカー環境の違いは必然だと思いますが、今後の日本のより良い選手育成のためにも、そのような環境を整えていくことが大切だと思います。

  


最後に  

最近では日本にも優秀な指導者、情熱を持った指導者、そしてレベルの高い選手がどんどん出てきています。帰国した今、私も少しでもバルセロナで学んできたことを還元していけるように、そしてより良い育成年代のサッカー環境の確立の助力となれるように精進していきたいと思います!



最後まで読んでいただきありがとうございます!                  

次回の記事は、私がsegunda entrenadorとして経験させてもらったチームであるバルセロナのFundación Fútbol BadalonaのAlevín Eというチームについて書いてみたいと思います。

また読んで頂けると励みになりますのでよろしくお願い致します!


それではまた次の記事で!

Hasta luego!




                  



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