【差別化について】#6


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今回は、差別化について投稿します。
世の中には、同じようなサービスやプロダクト、企業がたくさんあります。スポーツチームや学校も同様です。

競合と差別化し選ばれる為にはどうすればよいのか。
これは経営面ではもちろんですが、企業が人材を採用する際や、スポーツチームが、優秀な選手を、学校が優秀な学生を獲得する場合にも同様のことが言えます。

今回は、”牛丼”という同じ商品を提供している、すき家、吉野家、松屋の大手牛丼チェーン3社の事例を見ていきたいと思います。

家の近くにあるから、店員の対応が良いから、味が好きだからなど人によって選ぶ理由は様々ですし、こだわりのない方も中にはいらっしゃるかと思います。どの店でも「早い、安い、うまい」は一緒です。

ちなみに私は、チーズ牛丼が好きなので、一番美味しいと感じるすき家に、よく行きます。特定の商品が好きだから行くという人も多いのではないでしょうか。
どのように競合に勝てばよいのか。
人材紹介(エージェント)を行う自分の業務にも大いに関係することで、非常に参考になりました。



■私の各社への印象

■すき家
・牛丼のトッピングが充実
・まぐろ丼やうな丼など牛丼以外のラインナップも多い
・カレーも人気
・ファミリー層が多い
・子供向けの商品が充実
・アニメとのコラボが多い
・CMをよくみかける

■松屋
・牛丼に味噌汁がサービスで付いてくる
・牛と豚両方ある
・定食も充実
・期間限定メニューなど商品の幅が広い
・定食のごはんが一時期お替りできたりコスパがよい

■吉野家
・牛丼屋の元祖
・他社に比べてやや安い
・定食も充実
・RIZAPとコラボしており、健康意識が高い
・サラリーマン(男性)の客層が多い
・CMをよくみかける

上記、書き出してみたものの、そんなに多くの違いは感じませんでした。
ただ、牛丼屋ではあるもののほかの商品にも力を入れていることは、3社とも間違いなく言えると思います。

■店舗数

https://www.nipponsoft.co.jp/blog/analysis/chain-gyudon2023/

日本ソフト販売(株)のデータによると、すき家が圧倒的に店舗数が大きいことがわかります。

■商品ラインナップ

87、95、93という3つの数字があります。
これは吉野家、松屋、すき家で注文できる料理とドリンクの品数です。
近年「牛丼屋のファミレス化」は進む一方です。
※2019年の情報です※

・吉野家

吉野家のサイトで「牛丼」のカテゴリーをクリックすると、4商品が表示される。そのうち「牛丼」と「ねぎ玉牛丼」の2つはオーソドックスな印象だが、残り2つは「ライザップ牛サラダ」と「サラシア牛丼」という“新顔”だ。

丼のメニューで「牛サラダ」というのも矛盾しているが、つまりは健康志向の時代なのだ。「サラシア牛丼」も、公式サイトは「血糖値の上昇をおだやかにするサラシノールを配合。血糖値が気になる方はぜひ!」とPRしている。

吉野家のメニューを吟味すると、鰻重に相当な力を入れていることが分かる。すき家の鰻メニューも印象が強いが、こちらは期間限定。対する吉野家は通年で販売している。それだけ看板商品にしたいのだろう。

今や「吉野家」のメニュー数は松屋、すき家と互角 3社を比較して判明した“意外な数字”(全文) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

・松屋

松屋の独自商品は「ハンバーグ」
吉野家はともかく、すき家もハンバーグを販売していても不思議はない気がするからだ。しかし実際は松屋の独壇場となっている。

松屋の公式サイトから、ハンバーグを使った主な商品をご紹介しよう。「ハンバーグカレー」、「ブラウンソースハンバーグ定食」、「うまトマハンバーグ定食」――という顔ぶれになる。

更に関西圏や愛知県、石川県、福岡県など、東京以西の12府県での限定商品として、うどんも4種類が販売されている。

今や「吉野家」のメニュー数は松屋、すき家と互角 3社を比較して判明した“意外な数字”(全文) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

・すき家

一言でまとめれば、「丼に対するこだわり」だろうか。
具体的には「鉄火丼」と「まぐろたたき丼」が目を惹くほか、牛丼のトッピングメニューに力を入れていることが分かる。

こちらも主なものを引用すると、「高菜明太マヨ牛丼」、「わさび山かけ牛丼」、「かつぶしオクラ牛丼」という顔ぶれになる。

また、先に松屋は一部店舗でうどんを販売しているとご紹介したが、すき家は全店で「ロカボ牛麺(冷・温)」をメニューに加えている。低糖質の「こんにゃく麺」を使っているのがセールスポイントだ。

今や「吉野家」のメニュー数は松屋、すき家と互角 3社を比較して判明した“意外な数字”(全文) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

上記から、吉野家は牛丼屋の元祖ということもあり、”牛丼”に力を入れていたものの、商品ラインナップを拡充。さらには健康志向の方へのアプローチや鰻重にも力を入れていることがわかります。
松屋はハンバーグといった独自商品や、うどんなど他社にはない商品で差別化を図っています。
すき家については、丼に対するこだわりが強く、トッピングや牛丼以外のラインナップが豊富です。また、ロカボ牛麺をメニュー加え、吉野家と同様健康志向の方もターゲットにしています。

■松屋の券売機導入による差別化

券売機導入のメリット
従業員の不正を防止できる
・釣銭の渡し間違えを防止できる
・レジ業務が不要になり、人員の効率化が図れる
・ボタンの配置や位置などによってオーダーコントロール(セットメニュー誘導による客単価アップ)ができる
・お客が自分で商品を選ぶため、オーダーミス(聞き間違い)を防止できる
・販売データが取得できるため、さまざまなマーケティング分析が可能になる(POSレジがあれば券売機でなくても可能)

券売機導入のデメリット
会計業務がないため、顧客接点が減り、サービス力の低下が懸念される
・前会計のため、ピークタイムには券売機前の渋滞が発生し、機会ロスにつながる恐れがある(店内が混んでいると勘違いされる)
・導入コストが掛かる
・追加オーダーを獲得することが難しい

「ラーメン、かつ丼、牛丼など追加オーダーがない業態は券売機との親和性が高い。一方、居酒屋やレストランのように、ドリンクやデザートなどの追加オーダーを獲得することで客単価アップを実現している業態は、券売機が向きません。」

松屋の魅力は券売機!? 人手不足時代に吉野家とすき家が導入しない理由とは:日高屋も試験的に導入(1/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

・吉野家が店員の接客にこだわる理由

券売機を置くことで「ご注文は何にいたしますか」という接客用語だけでなく、代金の受け渡しという接客行為も減ってしまう。お客と店員が目をあわせなくても、お茶の量が減っていればお茶をつぎ足したり、お客が食後に飲む薬を取り出そうとした場合には水をさっと出したりといったように、客の動きから求められるサービスを察知することが大事だという。

吉野家の広報担当者に尋ねると、現在も券売機を置かない理由には当時の安部社長が掲げた理念も影響しているという。

吉野家ではお客がレジで注文し、出来上がった商品を自分で取りに行く「キャッシュ&キャリー」型店舗を30店近く展開しており、今後もその数を増やす予定だ。

松屋の魅力は券売機!? 人手不足時代に吉野家とすき家が導入しない理由とは:日高屋も試験的に導入(1/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

・すき家が券売機を導入しない理由

席数が多くない店舗や一部実験店舗では、券売機を置いているという。
ただし、その数はごくわずかで、ほとんどの店舗には設置していない。

券売機を導入しない理由について広報担当者は「(主力である)郊外の店舗には家族連れのお客さまが多く来店するため」と説明する。

すき家にとって一番のターゲットであるファミリー層の満足度を上げるためには、店員が接客するのが望ましい。しかも、デザートやドリンクを追加で注文してもらいやすい環境をつくるには、券売機は向かないという判断だ。つまり、ビジネスモデルから必然的に券売機なしというスタイルを導き出したのだ。

松屋の魅力は券売機!? 人手不足時代に吉野家とすき家が導入しない理由とは:日高屋も試験的に導入(1/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

松屋が券売機にこだわる理由

すき家や吉野家と対照的なのが松屋だ。
広報担当者は一般的な券売機導入のメリットに加え、「現金以外の決済が可能」「オーダーをお聞きする時間を短縮することができる」「従業員がお金に触ることがないので衛生的」を理由として挙げた。 

QRコードをかざす装置がついており、スマートフォンを持ったイラストと一緒に「クーポンはこちらから」「QRコード決済」と強調されている。また、交通系ICカードの「Suica」が使えるポップもついており、スピーディーな決済を済ませたいお客へのアピールに余念がないようにみえる。
松屋は決済や注文を効率化させることを重視しているといえそうだ。 

ただ、券売機を導入することで、悩ましい問題も出ているという。
広報担当者は、券売機導入のデメリットとして「設置場所が必要なため、席数などを犠牲にすることもある」「レジ会計の特殊対応教育に時間がかかる」ことを挙げた。さらに、松屋では2週間に1度新メニューを導入しているため、券売機の画面表示の切り替えが多くなり、食べたいメニューにたどり着くまでに時間がかかってしまうという課題も認識しているようだ。そのため、券売機の操作に慣れるのが難しいと考える高齢のお客もいるという認識を示した。

松屋の魅力は券売機!? 人手不足時代に吉野家とすき家が導入しない理由とは:日高屋も試験的に導入(1/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

これは、人材紹介でも同様だと感じました。
キャリアアドバイザーが求人紹介をすること(吉野家やすき家の考え)と、AI紹介で効率良く求人紹介をすること(松屋の考え)と一緒だと思います。どちらが良い悪いというわけではありませんが、”人”が介在すべきことと、効率化できるところは”システム化”していくという考えの違いかなと感じます。

■業績

※2023年8月の記事です

■ゼンショーホールディングス(すき家)
牛丼店「すき家」を展開するゼンショーホールディングス<7550>が2023年8月10日発表した2024年3月期第1四半期決算によると、「すき家」事業の営業利益が急増。

これまで牛丼部門の利益は公表していなかったが、2024年3月期第1四半期から決算短信に「グローバルすき家」として営業利益の公表を始めた。

それによると、日本と海外を合わせたグローバルのすき家の営業利益は37億900万円で、前年同期に比べ2396.3%増となった。売上高は616億7100万円で、前年同期より24.5%増えた。

同社では、日本国内で「明太マヨチーズ牛丼」「めかぶオクラ牛丼」などを、中国で「菜の花ゴマダレ牛丼」「ぴり辛四季豆牛丼」などを販売したこと、さらに期中に18店舗出店し、14店舗退店した結果、店舗数が2617店舗(国内1944店舗、海外673店舗)になったことなどを公表。これら取り組みに加え既存店の売り上げが前年同期よりも19.3%伸びたことなどが大幅増収増益につながったとしている。


■吉野家ホールディングス(吉野家)
牛丼店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス<9861>の2024年2月期第1四半期決算によると、「吉野家」部門の営業利益は15億7300万円で、前年同期より6.0%増えた。売上高は296億6600万円で、同6.9%の増加。

同社は海外部門を別に集計しており、同部門は11.2%の増収、139.5%の営業増益だった。このため海外部門の業績数字を加えた「吉野家」全体の売上高と営業利益は国内だけの数字よりも上振れする可能性が高い。


■松屋フーズホールディングス(松屋)
牛めし店「松屋」などを展開する松屋フーズホールディングス<9887>の2024年3月期第1四半期決算によると、営業損益は3800万円の赤字。
前年同期が2億6800万円の赤字だったため、コロナ禍からの回復が見られるとしている。

売上高は281億円で、前年同期よりも12.6%増加。既存店の売り上げが前年同期を上回ったのに加え、新規出店による売上増加分が寄与し、二けたの増収となった。

「すき家」が一人勝ちの様相 先行された「吉野家」「松屋」の状況は | M&A Online - M&Aをもっと身近に。 (maonline.jp)

・海外比率の差が一因か

外食産業はコロナ禍の影響で厳しい状況にある。
行動規制などによって人流が抑制されたことに加え、原材料の高騰や人件費、物流費の上昇などもあり、利益が出にくい環境が続いている。

コロナ禍からの回復は海外の方が早いため、海外比率の高い企業ほど業績が好転する傾向が見られる。

すき家は店舗数で見ると海外比率は25%ほどに達する。吉野家ホールディングスの全社の海外比率は14%ほど。松屋は1220店のうち海外店は13店で全体の1%ほどと低い。

「すき家」が一人勝ちの様相 先行された「吉野家」「松屋」の状況は | M&A Online - M&Aをもっと身近に。 (maonline.jp)

業績に占める海外店舗の影響が非常に大きいこと、3社の海外展開の差がここまで多くの差があることがわかりました。

■すき家が絶好調

ゼンショーホールディングス(すき家)の海外戦略による好調ぶりは前述に記載しましたが、他にもどういった強みがあるのか下記に記載します。

・すき家の強さ

①都市部、地方都市、ロードサイドなど幅広いエリアをカバーする出店戦略

出店戦略において、吉野家と松屋はこれまで都市部の繁華街を中心に出店。
特に松屋はその店舗展開の多くが都市部で占められていた。松屋は全店で牛丼だけでなく、カレーにもみそ汁をサービスで提供するなど、低価格でお得感の強さが他社との差別化要因になっていた。学生や都市部で働く若い会社員が主なターゲットで、客単価を低くして集客をねらい、それを補うために好立地に出店し、高回転させる戦略をとっていた。
その戦略がコロナ禍で裏目に出た。在宅ワークが推奨させる風潮の中、都市部のオフィス街から人が消えたからだ。

吉野家は中年男性が主な客層ターゲットで、松屋と同じく首都圏や地方都市への出店が中心だった。メニュー構成は牛丼がメイン。「牛丼の吉野家」というメニューを絞った戦略で、他店と比較すると、味における顧客満足度の高さが特徴だ。

一方で、すき家は繁華街のみならず、郊外型のロードサイド店も多く出店していたため、巣ごもり需要の受け皿となった。松屋、吉野家よりもコロナ禍における客数減少を最小限に留めることができたのは、幅広いエリアでの出店戦略があったためだ。

〈牛丼チェーンバトル〉「吉野家」「松屋」「すき家」の明暗くっきり…ひとり勝ちのすき家を支える3つの強みとは | 集英社オンライン | ニュースを本気で噛み砕け (shueisha.online)

②出店戦略に紐づく強力なメニュー開発力

LINEリサーチが2022年に行った牛丼チェーンの調査(「LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査」)に興味深い結果が出ている。

好きな牛丼チェーンのトップはすき家で34.1%。吉野家が27.3%、松屋が10.7%と続いている。

吉野家を好きな人の理由のトップは「肉がおいしい」、2位は「つゆがおいしい」。やはり、牛丼本来のファンを根強く抱えていることがわかる。

松屋を好きな人の理由のトップは「値段が安い」、2位は「コストパフォーマンスがいい」

すき家を好きな人の理由のトップは、「牛丼の種類が充実している」で、2位「立地がいい」となった。


すき家の客層ターゲットはファミリー層だ。顧客は子供からシルバー層まで、幅広く食べられるメニューを用意してほしいと考えている。
必然的にすき家はメニュー開発を強化する必要がある。

すき家は2021年12月から牛丼の並盛を350円から400円に引き上げた。
牛丼は、きわめて値上げに敏感な反応をされる商品の1つである。
本来なら客数減少を覚悟するべきだが、すき家は「ほろほろチキンカレー」で客数の減少を抑えている。牛丼のアレンジのバリエーションは限られる。
そこで、すき家は国民食であるカレーで勝負を仕掛けたのだ。

「ほろほろチキンカレー」は子供にとっては辛すぎるという意見もあるが、すき家は子供向けに「お子様向けメニュー」としてラインナップに並んでいるのでファミリー層にも不安はない。むしろ、集客の一番のポイントである、大人が来店したいと考える看板商品を開発したと考えるべきだろう。
辛みの強い商品はリピートしやすいという特徴もある。

ほかにも、すき家は「デミバークカレー」や「黒糖ゼリーほうじ茶ラテ」を開発するなど、ファミリーレストラン化している。

〈牛丼チェーンバトル〉「吉野家」「松屋」「すき家」の明暗くっきり…ひとり勝ちのすき家を支える3つの強みとは | 集英社オンライン | ニュースを本気で噛み砕け (shueisha.online)

③店舗オペレーション力

新商品を次々と開発しても、店舗オペレーションがそれについていけなければ意味がない。しかし、すき家は失敗をバネにオペレーション強化にも動いた。

ワンオペ問題から立ち直ったすき家すき家は2010年以降、「ワンオペ」と呼ばれるアルバイトの過酷な労働環境を放置したという問題を抱えるようになった。ゼンショーは一時、ブラック企業の代名詞となったのだ。

そこで、2014年6月に各店舗を管理、フォローするために、全国を7地区に分割して各地域に会社を設立した。人員確保を行い、2014年10月からはワンオペの解消を本格化した。分社化したことにより、店舗の管理が徹底的に行える。本部による手厚いサポート体制で、接客のオペレーションが円滑に行えるよう取り計らっている。

〈牛丼チェーンバトル〉「吉野家」「松屋」「すき家」の明暗くっきり…ひとり勝ちのすき家を支える3つの強みとは | 集英社オンライン | ニュースを本気で噛み砕け (shueisha.online)


このように、一見同じに見えるものの、深堀ってみていくと各社の違いが見えてきました。
これは、人材紹介を行う私自身の業務にも大いに関係します。
同じようなサービス、プロダクトをもつ会社をどう差別化し魅力付けするのか。その為に、どのようなヒアリングをしなければならないのかも非常に重要です。
牛丼という、目に見えるサービスだけではなく「同じサービスでもどのような違いがあるのか」、「ターゲットは誰なのか」、「どういった戦略なのか」「課題は何なのか」、「現場はどうなっているのか」など深く知る必要があります。
また、当たり前ですが差別化するには競合を深く知る必要性もあります。


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