恋愛感情がわからない

会えなくなったらさみしい、話していて楽しい、一緒にいるときの居心地がいい、こういうところがすごいなぁと思うとか、そういう感情はある。でも、好感と恋愛感情のボーダーラインがわからない。自分は理屈っぽいから、まだわからないだけだと思ってた。

先日「恋愛小説やラブソングが売れるのは、多くの人が共感できるからだ」という意味合いの文章を読んで、衝撃を受けた。共感という捉え方があるんだ!?!?!!!もともと恋愛小説や少女漫画は貪るように読んでいたし、性描写も全然平気。というかむしろ興味があるから小説も漫画も動画も同性の平均の数倍は観ていると思う。でも共感したことは一度もない。それなのになぜそんなに吸収したがったのかというと、知りたかったから。どんなときに相手のことを好きになって、どんなきっかけでその人のことを好きだと自覚するのか。恋に落ちるというように、一瞬で好きになってその瞬間に自覚するのか、徐々に好きになって好きになった後に自覚するのか。それを恋だと確信する決め手は何なのか。わからないから、サンプルを収集して知りたかった。だから自分にとって恋愛絡みの創作物は共感するものではなくて資料だった。

もしかして自分にとっての当たり前は少数派なのでは…?と思って調べ始めて、行き着いたのがアセクシャルとノンセクシャルという単語だった。具体例を読んで、いくつも当てはまるところがあった。もちろん違うところもあったけれど。あぁ自分が普通だと思っていたことは普通じゃなくて、でも自分がおかしいのだと悩んでいたことと同じ気持ちの人がいるんだと知って、気持ちが楽になった。腑に落ちた。

昔から、普通に話したりするだけなら男の人と接するのも大丈夫だけれど、その人を恋愛対象としてみようとすると途端に気持ち悪くなった。髭が濃い、毛深いとかの男性らしい身体的特徴や、BMI24以上ありそうな体型(肉肉しさが生々しい)が苦手だった。でもただ男慣れしていないだけだと思っていた。

異性に告白されたことも数回あるけれど、告げられた直後から相手のことが生理的に無理になった。自分は友達だと思っていたのに、いつから違う視線で見られていたのだろうという裏切られた気持ちになった。自分はひ弱そうに見られるからチョロいと思われていたのだろうとか、(私は自分のことが好きではないので)私のことを好きになるなんて趣味が合わないなとか、好意を素直に受け取れないのは自己肯定感が低いからだと思っていた。

そんな私でも、異性と交際したことが二度ある。

一人目は、「話していて楽しいので付き合ってほしい」と告白してくれた。私は会う度に、もう会えなくなったらさみしいと思っていたし、話やペースが合うのは共通認識だと思えるほど居心地もよく、数回会った程度で好きになれるとも思えないので告白とはいえ軽率に好きだと言わないところに好感がもてたので了承した。一緒に過ごすうちに好きになっていければいいと思ったし、好きになれそうだと思っていた。その後付き合っていって、これほど話やペースが合う人はそうそういないだろうという認識は強くなったし、いいなぁと思えるところもどんどん募っていった。好きか嫌いかでいえばもちろん好きだし、とても居心地がいい。なのにどうしても、恋愛感情としての好きだと思えなかった。結局、身体の関係も最後まではできなかった。どうしても気乗りはしなかったけれど一年以上何もしないのは申し訳なくて(とはいえ無理やりされるようなこともなかったのだけれど)、気持ちを押し殺して臨んだもののどうしても無理だった。最後に関しては気持ちの問題というより、どう考えても物理的に不可能じゃない???と怖気付いたのもあるのだけれど、その前の段階もなんというか意味が見出せなかった。そもそもそういう展開になったものの恋人から「したい」と言われたのではないので本当に恋人はこれがしたいのか?これに何の意味があるのか?ただの通過儀礼?と脳内でぐるぐるして最中なのに虚しくなってくるし、はじめてキスをしたときも、あぁ想像通りの感触なんだなぁキス程度じゃ世界は変わらないんだなぁと虚無だった。

女性が恋人に性行為を望むのは、それ自体が気持ちいいからというのもあるだろうけれど、相手に好かれているとか欲されていると実感したいというのがあるらしい。私には全然わからなかった。どうしてこれを通して好意を実感できるの?好きかどうかは感情なのに、どうして肉体の話になるの?友達や家族への気持ちは気持ちなのに、どうして恋愛だけは身体まで関わるのか? さっぱり理解できなかった。結局この人には振られた。

2人目に付き合った人は、なぜか初対面からとても懐いてくれた。とても不思議だったけれど、あるとき不意に「◯◯なところがいいですね」と性格面で褒めてくれて、自分では自覚がなかったのだけれどなるほどそういうところを気に入ってくれたのかと腑に落ちた。それから顔が好みだった。前の恋人は、はじめにみたときは好みだと思ったはずなのにどうしても顔が苦手に思えてきてしまって、それが身体的接触を望めない原因ではないかと考えていたので、見た目は重要だった。けれど、結論からいうと、2人目の恋人でも付き合い始めてから見た目が苦手になってしまった。ぼんやりとみていれば、好みのお顔だなぁと思えるのだけれど、自分の恋人だと思うと無理だった。合わないと思うところもいくつもあったけれど話し合いで擦り合わせられると思っていたし、一緒に過ごすのは楽しかったから、徐々に好きになっていけるだろうと思って交際の申し出を受けた。その後も何度も会って、他愛もない話をするだけでも楽しいけれどこれは恋じゃないんじゃないかなぁと思っていた。そしてひょんなことから口論になり、「好きで付き合っているのか、とりあえずで付き合ってくれているのか不安」と言われ、結局別れることになった。

これからは、きちんと相手のことを好きになってから付き合おうと思った。徐々に好きになれれば…が許されるのはお互いがそう思っているときだけで、熱量が違うのは双方しんどい。好意を与え続けてもなかなか返ってこない相手を想い続けるのも、好意をわかった上で同じ感情を相手に返せないのも。でもそもそも、好きってなに???恋愛感情って???

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