身体の声 〜前十字靭帯単独損傷 編〜 Vol.3
Vol.3。
今回は、ACL術後の靭帯の強度。
3〜6週目が危ないですよ〜って話と、太腿の前の筋肉と膝を曲げる筋肉が大事ですよ〜って話をします。
ACL再腱術後、いつの時期が危ない?
移植材によって、少し違うかもしれません。
・移植後数週のうちに再腱靭帯は、阻血性壊死に陥った後、周辺の骨膜や移植のために穿孔したドリル孔から徐々に血流が再開される。
組織学的にも再腱靭帯が正常靭帯様組織となるには数ヶ月〜1年を要する。
※阻血 ischemia=虚血
局所を流れる血流が全くなくなる状態(主な原因は、血流を提供している動脈内腔の狭窄や閉寒など)
※壊死とは→組織の死
・要は、移植した腱は一度壊死します。その後、その周りで新たに組織が出来て、ACLに似たような組織になるって事です。ここで注意するのが、術後3〜6週は靭帯が切れやすい。再断裂が起こりやすく、リハビリで強い負荷が再腱靭帯にかからないように注意します。
・またリハビリのポイントとしては3〜6週の時期はOKC(オープンキネティックチェーン)中心の種目、ROM(関節可動域)を制限すると膝の伸展制限がリハビリの後半にも残ってきます。←これ残ると結構やっかいです。
大腿四頭筋及び膝屈筋群の収縮が十字靭帯へ及ぼす力
①大腿四頭筋(膝蓋腱)及びハムストリングス筋群張力のベクトルの方向は膝屈曲角度によって変化する
②大腿四頭筋単独等尺性収縮に関して、膝屈曲5°では前方引き出し力が作用しているが、膝の屈曲角度が増すほどこの値は減少し、平均45°で引き出し力は0となり、その後は後方引き出し力が増大する
③ハムストリングス筋単独等尺性収縮に関して、膝屈曲5°で後方引き出し力が作用しており、膝屈曲角度が大きいほどこの値は増加する
④大腿四頭筋及び膝屈筋を同時に収縮させると、膝屈曲5°においては、前方引き出し力が作用しているが、この値は膝関節を屈曲させると減少を示し、平均7°でこの値は0となる。その後は後方引き出し力が次第に増加
⑤スクワット訓練などの立位訓練はCKC(クローズドキネティックチェーン)エクササイズの一種であり、また異なるバイオメカニクスが存在する。
⑥膝を屈曲した立位においては、膝屈曲角度に関わらず、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、外側ハムストリング、内側ハムストリングの全筋に筋電活動が認められ、いわゆる同時収縮の状態にある。
まとめ
術後3〜6週は本当に気をつけた方がいいです。結構弱いです。靭帯に似た組織が出来上がるまでは我慢と、膝の可動域(特に伸展)は出さなくてはいけません。
筋力ですが、術後は大腿が細くなっているのと内側広筋が萎縮してるのが顕著に見られます。EMSやパルスなどを使用して内側広筋斜走繊維を刺激するのも大切です。最近では、大腿直筋が最も大切という考えも出てきてます!
初期のリハビリとしては大腿四頭筋とハムストリングの同時収縮がポイントになってきます。
次回は実際のリハビリメニュー、術前術後のリハビリのポイントを書きます
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