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イノベーションを生む「進化思考」とは?

「NIKKEISHA STARTUP TABLE」では、「挑戦」と「変化」を目指す企業の「1→100」のために、成長期に直面するさまざまな悩みや課題に応えるべく、“社会との対話“の機会を提供しています。

先般、1月26日(水)にイノベーションを生物進化の視点から考えた 「進化思考」をテーマに、デザイン事務所NOSIGNER株式会社のCMOである 古川純氏をお招きしお話を伺いました。

今回は、1,「誰もが創造的になれる」2.「創造は生物進化から学ぶ」3.「未来は創るものです」の3点をテーマにお話したいと思います。
まず、私が所属するNOSIGNERは横浜のデザイン会社で、横浜DeNAベイスターズのブランディングや、2025年大阪万博の日本館のプランニングなどの業務を請け負っています。

デザインとはコミュニケーションの一環として使われ、「形態」(HOW)と「関係」(WHY)の往復、つまり「形態で美しい関係を作る」ということです。昨今、アメリカのスタートアップ企業設立者の5人に1人はデザイナーと言われていますが、それはビジネスモデルをデザインすることができるという点が大きいと思われます。これから幾つかのパターンをご紹介しますので、「誰もが創造的になれる」を念頭に置いてお話をお聞きください。
NOSIGNERは2011年東日本大震災の40時間後に、いのちを守るwikiサイト「OLIVE」を立ち上げ、家庭用防災セット「THE SECOND AID」なども作成。社会解決型のムーブメントを作品として残していきたいと考えている会社です。

Q.「創造とはいったいなんだ?」
誰もが斬新な発想をできるということを進化思考で提唱したい。チンパンジーのDNA98.7%は人間と同じ。たった1%の違いだけでこれだけ違うのか?人間も20万年前から5万年前まで石の道具しか使えていない。5万年前から爆発的に道具を創造しています。
Q.「創造性にはパターンが存在する?」
スティーブ・ジョブズ「ハングリーであれ、愚かであれ」挑戦する無謀さが必要。
Q.「未来は持続可能なのか?」
持続可能だと今の子供たちに伝えたい。人間ができることを創造性で解決していく。クリエイティブな発想でソリューションを起こす。2050年には人口が90億人になると言われている。1%でも新しいことを発明する人が現れればまた違った世界が見え持続可能に近づく。
Q.「自然の方が創造が上手?」
扇風機とオリーブの木を分解。はるかにオリーブの木の方が効率的で美しい。動物の系統樹と乗り物の系統樹は似ている。自然の方が創造が上手だと言える。
Q.「創造がもし進化の模倣だとしたら」
進化は言語に似ている。言語によって発現した疑似進化が創造ではないか。
Q.「生物進化から創造性を学ぶ」
創造的な仕事をしていると思っている日本人は43%いるが、世界的では78%。 創造性を持って仕事をすることが大切。

Q.「創造性が求められる仕事は特別なこと?」日本人の約7割は特別と答えている。
世界では24%で創造性は普通の事と答えている。進化思考で伝えていきたい。「進化の学校」コミュニティーは毎週日曜日開校している。「進化思考」書籍は昨年4月刊行、510P、読めば読むほど癖になる、ぜひ読んでほしい。 
Q.「進化はどう起こるのか」
「変異による試み」、「適応による選択」を何度も繰り返して起こる(進化ループ)。「EVOLUTION LOOP」 変異(HOW)は偶然、適応(WHY)は必然。ポストイットでアイデアを出すのは「変異」、それを検証することは「適応」。「ボケ」と「ツッコミ」、「妄想」と「観察」、「挑戦」と「検証」、「バカ」と「秀才」「変異」P(計画)・D(実行)/「適応」C(評価)・A(改善)

図1

「結晶性知能(適応的)」は歳をとることに上がる。「流動性知能(変異的)」は若い時(10代)がピーク。それ以降は下がる。バカな発想ができるのは若者の特権。日本の新任CEOは平均61歳で世界最高齢。世界では平均53歳。GAFAMなどと差がついてしまっている。変化に対応できる世代に意思決定をできる権限を与える必要があるのでは。

図2

■進化にはパターンがある
【変異】9パターン
1.変量:形/大きさ・形状・色:iPhoneを大きくしたiPad。
2.擬態:融合/似せる・溶け込む:カマキリ、ソニーのアイボ。
3.欠失:マイナス/要素の欠失:羽根の無くなった扇風機、蛇は足の無くなったトカゲ。 
4.増殖:群体化・集合化/大きく見せる:液晶、紙→本→本屋・図書館
5.転移:移す/場所の変更:蔦、外来種の拡散、Amazonリアルからデジタルに。
6.交換:融合/代人・入れ替え:カッコーの卵、ほととぎす
7.分離:分ける/要素の分離:トカゲのしっぽ切り
8.逆転:形/鏡像・反転:コウモリ、逆転の発送
9.融合:プラス/概念の融合:カレーうどん、仮面ライダー、狼男、サンドウイッチ

■変化のパターンは意外なほど少ない
「変異」と「適用」を自転車のペダルのように繰り返すことによりコンセプトが生まれる。【適応】4パターン:「内部」と「外部」、「過去」と「未来」で分けている。
1.解剖:空間/ミクロ:ダヴィンチの解剖図、身近で謎に満ちている。
2.系統:時間/過去:温故知新。動物の系統樹と乗り物の系統樹。 
3.生態:空間/マクロ:時速65kmで逃げる捕食種ガゼルを捕まえるためにチーターは120kmで走るよう進化。
4.予測:時間/未来:未来予測を希望に繋げる。野鼠は笹の葉の豊作具合を予測して出産数をコントロール。

・フォアキャスト:過去のデータを用いて未来を考える。聖徳太子、卑弥呼、天気予報。
・バックキャスト:理想的な未来像をイメージする。二刀流の大谷翔平。

適応の時空観マップ:未来は「予測」/過去は「系統」/外部は「生態」/内部は「解剖」

図3

「イノベーションはエラーが引き起こす」
「人の未来は持続可能にできるはず」そのためには、生物進化から創造性を学ぶ。


最後にもう一度、
1.誰もが創造的になれる。
2.創造は生物進化から学ぶ。
3. 未来は自分たちで創るもの。
4. という3つの考え方を進化思考で広めていきたいと考えています。

本日はありがとうございました。

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