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帰国 イワシじゃなくて羊でもなくて

10月5日、日本に帰ってきた。

今回は、ダラス経由だった。

一旦アメリカに入国し、改めて出発ロビーに進む形だったと思う。
保安検査場前には順番待ちの長い列ができていた。
空港職員の人たちが、その人混みをものすごい勢いでさばいていた。

イワシの群れの中の一匹になったようなものか。
いや、イワシたちは周りの動きがわかっているし、見えない糸に操られるように一斉に動く。
その時の私はというと、細かい指示に頭がごちゃごちゃになっていた。靴を脱ぐとか、電子機器は取り出すとか……。(同じことをなんども言うなら、書いておけばいいのでは?)

私を含めた乗客たちは、毛刈りのために追い立てられる羊の群れのようだった。

あまりに急かされ、慌てていて、かばんと一緒にパスポートをX線検査用のカゴに入れてしまった。
気づいてはいたのだが、荷物が検査機から出てきた時、タブレットの再検査を求められて、パスポートのことを忘れてしまった。

荷物をなんとか詰めなおし、出発時間を気にしながら搭乗口に向かおうとしたところで、背後で自分の名前が呼ばれた。
危うく、パスポートと生き別れになるところだった。

羊は刈られた毛を置いていけばいいけれど、人間はそういうわけにはいかないと思った。

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