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私が子どもだったころ、母はなにを

私が子どもだったころ、母はなにをしていたのだろう。
と、ふと気になった。

母は、平日の昼間はパートタイムで働いていた。
私や姉が小学校から帰るより遅かったから、夕方、5時か6時くらいに帰宅していたのだと思う。

今から20年ほど前のことだ。
インターネットはまだ電話回線。メールのやりとり程度。
テレビは、父の方針であまり見なかった。
また、母は読書をしなかった。雑誌も買わない。
友人と頻繁に連絡を取ったり、出かけたり、ということもなかったと思う。
美容やファッションなど、自分の身を構うほうでもなかった。

夜の時間を、母は一体なにをして過ごしていたのだろう。

今、私自身も母になり、子どもたちがだんだん大きくなって、手が離れてきた。子どもが小学生にもなれば、案外、余裕があると知った。
この時間に、母はなにをしていたのだろう。

そういえば、母は着物の端切れで小物を作っていた。ポーチやキーホルダー、コースターなど。結婚前に和裁を習っていたので、馴染みがあったのだと思う。
小物類は、土産物屋などで委託販売していた。お店を訪ねて交渉して、販路を開拓していた。

母がその手仕事を始めたのは、末っ子の私が小学校の中学年の頃だったと思う。
4〜5年ほど、それを続けていただろうか。

その後、私が高校に入った年に、彼女は自分の店舗を持った。今もそこで、焼き菓子やパンを売っている。菓子づくりは子どもの頃から好きだったそうで、これも結婚前に、製菓の専門学校に通っていた。

こうして母のたどった道を振り返ると、母は、自分の作ったものを買ってもらう商売に興味があったのかな、と思う。

子育てや仕事の傍ら、自分のやりたいことを試して、だんだんと形にしていく道筋の、一つの手本というか、例示が、身近なところにあることに気づく。

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