見出し画像

東京で震度7の大地震?そなエリア東京

異次元空間は、世界のヘンテコを追う同人誌「異次元空間」のオンライン版で、風変わりな場所と構造物の紹介がメインです。

日本の首都、東京。関東大震災で関東一円が大きな被害を受けて以降、過密する都市部では災害のリスクが増大することが指摘され、都市計画への防災対策の織り込みと日常生活での備えが叫ばれてきた。しかしながら、防災や備蓄といっても漠然としていて具体的なイメージが浮かびにくくもある。

今回の異次元空間では、防災について学ぶことができる施設、そなエリア東京を紹介する。

そなエリア東京の最寄り駅はゆりかもめの有明駅か東京高速臨海鉄道りんかい線の国際展示場駅である。この駅については説明不要だろう。夏と冬にはお世話になる駅である。混んでないときに行くと違和感しかない。

太い柱に大きく看板が出ている。施設の学習体験は無料で、団体でなければ来訪にあたって事前の予約は必要ない。

この施設では、最初の72時間を生き延びるのに必要な知識を学習することができる。

そなエリア東京は、地震災害後の支援が少ない時間を生き抜く知恵を学ぶ防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」を中心とした防災体験学習施設です。
被災地や避難所の様子を再現した実物大のジオラマ展示がございます。
首都直下地震について、なぜ起きるのか?いつ、どのような被害想定なのかを紹介する首都直下地震特設コーナー、地震発生後を生き抜くヒントや備えたいグッズの紹介もございます。また、首都直下地震発生時に緊急災害現地対策本部の候補地となるオペレーションルームも見学窓からご覧いただけます。
東京臨海広域防災公園ウェブサイトより

東京直下72hTOURは端末を使用した体験ツアー方式であり、1時間に1回ほど実施されている。ツアーでは係員の説明のあとエレベータに乗る。

※顔にはぼかしを入れています。

商業施設のエレベータに乗っていたときに大地震に遭遇した……という仮定でツアーが始まる。エレベータ内では地震を模した振動と音響が流れる。

ツアーの内容自体は端末に表示された箇所に行き、端末に表示される防災の知識を学んでいくという内容である。施設内は大地震で被災した東京の町並みが再現されていた。

倒れた電柱とビル、消えた信号機、壊れた店舗。ポスターや看板など細かい部分まで作られたセットが体験者にリアルな緊張を与えてくる。

暗い施設内で放送される巨大ビジョンでは、被災時の報道を模した番組が繰り返し流れていた。

東京駅の様子や震度のマップなど、一見本物と見間違うほどの作り込みである。

施設内には被災した住居の展示もあった。壁に掛かっていたであろう時計も落ちて床には物が散乱している。

自分が助からないと、となりの人を助けられない。

防災において必要な心構えが示されていた。まずは自分の身を守ることが重要である。

避難所で必ず問題となるトイレ。
水洗トイレが使えない!
安心できるトイレがほしい!
だれがトイレを掃除する?

衛生面においても精神面においてもトイレ問題は切実である。

組み立て式の簡易トイレが展示されていた。災害時には水洗トイレは使用できなくなるため、簡易トイレを工夫して使用するしかない。

避難所ではストレスから身を守るためにプライベート空間の確保も問題となる。写真ではダンボール製の仕切りを使用していた。

仕切り内の再現では、収納はバッグやビニール袋を使っていた。避難所ではあるものを最大限に使って工夫して暮らす必要がある。

ゴミ箱、ウエットティッシュ、懐中電灯、消臭剤……いずれも実用的なものの中にぬいぐるみが置いてある。非常時にはこういった物もストレス軽減の効果がありそうだ。

2011年の震災当時の避難所が再現されているため、充電場所にはかつての携帯端末が無造作に置かれていた。「緊急時のみ各自責任をもって充電してください」の注意書きもリアルである。少ないコンセントを有効活用するためには延長コードを多用して譲り合いながら充電していくことになるのだろう。

展示コーナーには災害時のノウハウが分かりやすくまとめられていた。緊急時において知っていることと、知らないことの間には大きな隔たりがあるのだろう。

そなエリア東京の施設は防災展示だけではない。災害が起きたときのためにあらかじめ現地対策本部が設営されている。

ずらりと並ぶ机と設備が壮観である。映画で見るような災害対策本部が実際にあることに驚いた。

そなエリア東京には防災グッズや軽食を提供するカフェも併設されていた。訪問時には冬の非常食セットを食べることができたようだ。

日常生活の中で避難生活を想像するのは非常に難しい。だからこそ、こういった施設によって、来る日に備えることの重要さを身を持って知るのが必要なのだろう。

日本にはまだ見ぬ不思議な光景があるものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?