役職者は翻訳が出来ないと職責が果たせない
これまで大企業から中小企業のいろいろな人達と仕事をしてきました。
製造業を中心に業務をしてきて気が付いたことを記します。
管理監督者に必要なスキルとして翻訳業務があります。
翻訳、それはトップ方針を組織階層に合わせて、具体的に担当者の行動まで落とし込むことが出来ること。
落とし込むとはよく聞く言葉だが、方針を各部門から担当者まで分解することでトップ方針を組織階層に合わせて目標値を決めていくことになります。
翻訳は目に見えない管理監督者スキルの一つで重要なものである。
組織は、トップダウンで目標設定し活動することになります。
トップ方針を上位から下位へ繋がる様に一貫性を持たせることで成果に結びつけること。トップダウンで仕事をすることになるわけです。
特に業務を実行する一般職へは具体化に翻訳することで、行動が出来ることになる。
例えば
製造部の部長
社長からの方針を翻訳して課長に対して責任範囲の提示
製造1課の課長
部長からの指示を翻訳して係長に対して責任範囲の提示
製造1課の係長
課長からの指示を翻訳してリーダーに対して責任範囲の提示
製造1課の係長部下のリーダー
係長からの指示を翻訳して作業者に提示
各組織階層として製造部長、製造課長、係長、リーダー、一般職、と組織階層に合わせて抽象度が下位に向かって具体化し役割に応じた行動が出来るように翻訳することになります。
翻訳スキルは係長が持っている程度なので、組織階層からいけば、課長が係長から一般職まで翻訳するか内容を確認する必要があります。
何故なら、トップ方針が出されても一般職者は、『で、私は何をすればよいの?』となるからです。
役職者は組織階層に合わせて抽象から具体へと部下に翻訳することになるが、抽象化度合いと具体化することが中小企業の係長やリーダークラスでは難しいのです。
トップ方針から翻訳していくには組織階層の概念が理解していないと出来ないことで係長以下一般職は理解出来ていない実態があります。これは、そもそも受け身の姿勢であり、そんなことを考えもしないで仕事しているからですね。
『翻訳』『抽象』『具体』これを説明しても見える訳ではないので中々理解できないのです。
これは、役職者が一般職の段階から教育していないと理解出来ないことです。
トップ方針を翻訳して職場に展開するには、
・職場の全体像を把握していること
・全体像の下位にあたるものが何かを理解していること
・部下の役割が何か理解していること
・部下に具体的行動が出来る所まで言語化すること
翻訳するための抽象から具体の事例
自動車で例えると
A:エンジン
B:トランスミッション(オートマ)
C:ABSブレーキ
D:ECU(電子制御)
①A~Dが車にあるのは理解している
②A~Dそのぞれの機能は理解出来る
③A~Dの相互関係が理解出来る
④A~Dの重要度の階層関係が理解出来る
④の段階を理解していれば、Dの下位にABCそれぞれが配置され階層化されていることが分かります。
車の修理で言えば、車の構造(階層)を理解しておく必要があります。
エンジン、トランスミッション、ブレーキ、、、それらを制御するコンピューター、部品役割、それぞれの機能、、、
これらの知識が頭の中にインプットされていて、故障症状を聞くなかで初めて何処が原因か特定していくことが出来ます。
基本を応用出来て初めて理解したと言えると思います。
例えば、新人に教えたときに、新人は『理解しました』と言うがそれは単に手順を覚えただけと言える。
確かに手順を理解したがその目的背景までは理解できていない。
それは本質的には理解できていないこと、何故なら応用出来ないからです。
翻訳、階層化、体系化、など出来ないのは、全体像を掴めていないことや
目的背景、それぞれの役割が何か、など頭の中で統合されていないからですね。わからないことあるか?尋ねても黙りになるのは、これが原因だと。
組織階層に合わせた翻訳とは、少しずつ分解していくことで抽象から具体と同様な手順になるかと思います。
係長以下の階層で翻訳が出来ないのは、概念の認識が分からないからです。
人は『自分が認識している物事』だけが『自分の世界の全て』となります。
そして人は、自分の知識で認識している物事の範囲内で、考え、判断し、行動することしか出来ないものです。従って「認識」は「自身の世界観そのもの」を決定づける、極めて重要なものになります。
従って、役職者は翻訳が出来ないと職責が果たせないことになります。
まとめ
役職者を目指すのであれば、組織階層に合わせた翻訳が出来ないと職責が果たせません。担当の仕事だけを見ている視点だけではなく普段から上位層の視点でものを見ていく思考が必要になります。『抽象的に見る』ことや、『物事を要素分解する』や『背景を見抜くスキル』は、目に見えないスキルであり、これらのスキルを地道にトレーニングしていけば、他者が簡単には真似できない長期的な競争力を持つことが出来ます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?