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呼吸回数とIE比の調整方法

1. IE比の基本とは?

人工呼吸器設定におけるIE比(吸気時間と呼気時間の比率)は、適切なガス交換と患者の呼吸の快適さを確保するために重要です。

通常、IE比は1:2に設定され、吸気時間1に対して呼気時間が2となるバランスが保たれます。


2. 呼吸回数とIE比の関係

呼吸回数が通常範囲(8-12回/分)

目標IE比: 1:2
解説: この範囲では、吸気と呼気の時間バランスが重要です。適切なガス交換が行われるため、標準的なIE比が維持されます。
臨床背景: この設定は、肺損傷を避けながら、患者の呼吸をサポートするために最適です。

呼吸回数が少ない(<8回/分)

目標IE比: 1:1.5 または 1:1
解説: 低い呼吸回数では、吸気時間を長くとることで、十分なガス交換を確保します。この場合、IE比は通常よりも小さく設定されることがあります。
臨床背景: 肺のリクルートメントが必要なケースでは、吸気時間を確保することが重要です。

呼吸回数が多い(>12回/分)

目標IE比: 1:2.5 または 1:3
解説: 呼吸回数が増加すると、呼気時間を確保する必要があるため、IE比の呼気バランスが増加します。
臨床背景: 高い呼吸回数では、呼気時間を確保して肺の過膨張や空気閉塞を防ぐことが重要です。


3. 呼吸回数が12回以上のときのIE比の調整

呼吸回数が12回/分を超える場合、IE比の呼気バランスが2より小さくなることがあります。特に以下のような場合です:

気道狭窄やARDS: 吸気時間を確保するため、IE比を1:1や1:1.5に設定することがあります。これにより、酸素化を改善する効果が期待されます 。

ただし、呼気時間が短くなると、肺に残留する空気(auto-PEEP)が増え、過膨張や肺損傷のリスクが高まります。このため、呼吸回数を増やしながらIE比の呼気バランスを小さくする際は、細心の注意が必要です。

4.臨床上でよくみるIE比の設定

全身麻酔中の呼吸器設定を見ていると、呼吸回数が12回以上のときはIE比を1:1.7とか1:1.6に設定している先生をよく見ます。

これまでの説明からすると、呼吸回数が増加するとauto-PEEPが増えるので、できるだけ呼気時間を確保するようにしたほうがいいように思えます。

先生方に聞くと、「より生理的だから」という答えがよく聞かれます。

確かに、自分の呼吸で試してみると、呼吸回数が増加すると1:2より1:1.5くらいがしっくりきます。

特に呼吸器疾患のない、健常な人の呼吸器設定においては、換気回数を上げざるを得ない場合(EtCO2の上昇時、気道内圧が上がりTVを下げる場合)においては、生理的なIE比を意識するといいのかもしれません。

5.まとめ

今回の記事は、「呼吸回数を上げているのに呼気時間が短く設定されているのはなぜ?」という疑問から作成しました。

生理的なIE比に関する資料は見当たらなかったので、正確な根拠はここでは示せませんが、より生理的な呼吸器管理となるようにIE比の調整にも気を配るべきだと思いました。


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