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キックバックは政治の世界だけでなく、企業において十分注意が必要なところです

政治の世界ではキックバックが話題になっていますが、企業活動においてもキックバックはかなり問題があります。
しばしば税務調査で発覚しますが、企業側からすると発見しにくい面があります。
発注元と下請け企業の間で人間関係を構築しておこなわれることが多く、しかも下請け企業側は、経営者がすべてを取り仕切る経営をしていることから、発注元は下請けを利用しようとします。常に発注元は、下請けに優位な地位にあり、下請け企業から断るのは、なかなかむずかしいという関係になっています。

動機はいろいろとあるようです。
個人のポケットに入れるケース、あるいは企業における裏金作りなどとなっている、と推定されます。
建設業では、接待による受注慣行があるようですから、そのためのお金を下請け企業を利用しながら、個人的にやっていたり、会社ぐるみでおこなわれているケースがみられます。

手口は、外注費の水増し、あるいは架空発注が常套手段ですが、発注権限者であれば比較的簡単にできるからでしょう。そのうえで、下請け企業から水増し分や架空発注分をキックバックさせるという方法です。
架空発注は、それほど簡単ではありません。なにを発注するかにもよりますが、だいたい部材など物が絡んでいることが多く、検品作業などが入りますから、不正をおこなう段階で、第三者の目がはいりそれほど簡単ではありません。あるいは、会計システムの取引履歴や工事製番管理(プロジェク
ト管理)のシステムで簡単に発見することが可能です。もちろん、月次管理ができていることが前提になります。

このような単純な不正であれば、現在では、比較的簡単に見抜けるのですが、建設業では、設計事務所をかませていたりと、その手口は相当巧妙なようです。
私が経験したなかに実際にありましたが、原価が増えてくれば、協力会社と共謀し増加分の原価を付け替えたりと、よくおこなわれる手口でした。
また、工事の工程で不要となった鋼材(スクラップ)を社内申請をすることなく売却し、その代金を着服するといった手口です。
首謀者は、建設業の仕組みをよく理解しており、しかも発注権限があり、下請け企業や設計事務所に顔が利き、自在に発注関係のとりまとめができる地位にいる管理職などが中心になっているのが特徴でしょうか。
また、管理部門からすると目が届きにくい現場で発生するスクラップなどの管理の盲点をついてきます。
スクラップは、現金取引が多くおこなわれており、業者もその時点で不正化どうかはある程度わかっていると思われますが、小企業の業者であれば、スクラップ調達のために簡単に取引に応じるでしょう。
この点は、企業がスクラップ業者を指定し、管理部門の社員が立ち合いのもと廃材管理をおこない、売却するといった方法など企業において牽制がかかる方法を取り入れる必要があります。これでも完全に不正をなくすことは簡単ではありませんが、牽制がかかる仕組みを入れることがポイントです。

さらに担当者のジョブローテーションは、確実に実行されなければなりません。私がみてきた企業では、このような対応をすることなく、管理職にいいようにやられていました。
もっとも経理部門でも、少しチェックをかければ不正を把握できるのですが、システムに問題があると同時に、基本的なチェックをおこなっていませんでした。また、このようなチェック体制を構築することができない経理部長だったことにも問題がありました。

内部牽制の基本は簡単なのですが、簡単なだけにすぐに手を抜くのです。やはり相応の工数をとられますから、無駄な作業程度の認識の経営者が多いようです。このような経営者は、必ず大きなダメージを負うことになります。

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