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あなたの会社は、社会とともにありますか

ある日、転職した企業へ出社すると、会社のビルの前で多くの人たちがなにやら騒いでいるのです。
私は、理由がわからず騒いでいる当人へ、なにやってるの、と確認してみました。争議行為だ、というではありませんか。
私は、この企業に労働組合は、あったけ、と。

私は総務部門の責任者で入社していたことや入社間もないことから人事部門が、どのような課題をもっているのかを知りませんでした。
人事部門の人間から話を聞くと、労働組合に加入している従業員が一人います、ということでした。
なるほど、それで争議行為か。

この企業、私が入社する以前に従業員の不当解雇をおこなっており、訴訟で完全敗訴していました。
従業員は、解雇無効を勝ち取り現職復帰していました。
そんななかでの争議行為(ストライキ)だったのです。

組合員が一人しかいないのに、なぜ、大勢の人たちが争議行為に参加するのか、といえば、それは組合が合同労組であったことで、その組合に加入している人たちが争議行為の応援にくるのでした。
それにしても大変でした。

組合側は争議行為ですから正当な権利としてストをおこないますが、もっとも時限ストライキですから、2時間ほどで終わるのですが、この会社は都会の住宅地のど真ん中にありました。
当然、近所の住民から電話がなりっぱなしです。
たまに警察が会社を訪問してくることがありましたが、その状況説明をすることになります。
警察も正当な争議行為となれば、それ以上のことはできません。

今でも、都会の中でこのような光景を目にすることがありますが、争議行為ですから労働者の正当な権利です。
他方、住んでおられる住民からすれば、争議行為の音声などは、騒音にしか聞こえないものでしょう。
組合側は、要求を呑めということでしょうが、会社側もそうそう簡単に要求を認めるわけにはいきません。

やはり経営は、原理原則に基づいておこなっていくことしかありません。
この企業の場合、そもそも不当解雇した点で創業経営者が経営判断を誤っているのです。
結局、このような経営判断の誤りとともに業績は悪化していき、企業は売却され、その後、紆余曲折はありましたが会社はなくってしまいました。
本社は自社ビルでしたが、そのビルと土地は売却され、現在ではマンションが建っています。
まさに栄枯盛衰の景色をみているようです。。。

創業経営者による経営判断の誤りが、自身の会社と従業員にも、そして近隣社会にも迷惑をかけるという典型的な事例です。
経営者は、常に社会性を認識しながら経営判断することが求められる理由でもあります。

あなたの会社は、社会とともにありますか。





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