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ビルの基礎工事は、創業企業の基盤をつくっていくのと同じです

ある企業に勤務しているとき、となりに21階建てビルの建設工事がはじりまりました。
私がいたビルから工事現場全体がよく見えました。
これほどまじかにビル工事をみる機会は、私が生きてきたなかにはありませんでした。

みていて驚いたことがありました。
21階建てのビルですから、当然、土を掘り起こしてビルの基礎工事がはじまります。
基礎工事の工事期間でした。
2年以上かかっていたでしょうか。
これほど地面の中にビルを支える支柱などが、必要なのか、と毎日目を凝らしてみていました。
気が長い仕事です。
しかも、基礎工事が終了すれば、ビルを支える基礎部分は、きれいにコンクリートが流され、まるでなにもなかったかのようになっていきます。

私が在籍していた企業は、ちょうど立ち上げ業務をおこなっていた時期でしたから、この光景が脳裏に焼き付きました。
企業の創業期は、ビル建設の基礎工事と同じようにものではないか、と考えるようになりました。
経営者、上司、私を含めて多くの従業員は、今まさにこの企業の基礎工事をおこなっているのだ、と確信しました。

残念ですが、企業の基礎作業もビルの基礎工事と同じように、その仕事は埋め戻され、誰の目にも残らないようになるでしょう。
しかし、ビルと同じように、大きくて高いビルほど強固な基礎が必要なように、今、日本にある大企業は、目にはみえませんが、それぞれの創業期に多くの人たちの力を結集して、事業の基礎や基盤を作っていたのだろう、と私は個人的に考えるようになりました。

その後、私がいた企業は順調に事業が成長していき、そのビルの竣工直前に他のビルへ移転しましたが、そのビルは、今も、駅周辺の再開発とともに、時を超えてオフィスビルとして見事に機能しています。
このビルの基礎工事をまじかにみせてもらったものとしては、私のいた企業が成長し、社会のなかで輝いているように、このビルが、今も社会の中で機能し輝き続けていることで、私は現在でも力をもらっているようです。

若い日、このビルとの出会いも、私の仕事に対する姿勢を確立させてくれた大切なものでした。
私は立ち上げ仕事が好きですが、仕事をしているとき、必ず、このビルの基礎工事の姿が思い浮かべて仕事をすることが常となりました。
部下にも言いました。
今やっている仕事は、ビルの基礎工事と同じように、光が当たらないかもわからいけど、企業の将来を支えていく大事な仕事なのでしっかりとやろう、と。

勉強する対象は、私たちのまわりにたくさんあります。
それをどのように自らに取り込んでいかは、やはり自分自身です。
人や本に限らず、意外なところから人間は学ぶことができる唯一の生き物なのかもわかりません。

私は自分がおこなっている仕事を、どのように自分自身の中で位置づけるかということは、とても大切なことだ、と考えています。

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