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経営者目線に挑戦したが、見事に失敗した

しばしば経営者目線で仕事をしなさいなどという言葉が聞かれますが、この言葉を話す経営者に、私は疑問をもっていました。
私は、企業へ入社してから多くの疑問や違和感をもって生きてきましたが、経営者目線で仕事などしたことはありませんでした。
毎日、目の前にある問題や課題、疑問や違和感を克服することに集中することはできましたが、経営者目線などわけがわからないことはできなかったからです。

業界他社の方と話をすることで自分がいる会社と経営比較することで、企業の経営能力を理解できたことは、数少ない機会だったかもわかりません。
企業によってこれほど大きく経営に対する考え方が違うのか、という驚きがあったものでした。
日本に存在する企業は、上場会社だけで3000社ほどあるのですから、経営に違いがあることのほうが当たり前なのでしょう。
まさに経営者の経営能力といえるのでしょうか。

私が話を聞いていて気づいたことは、外資系企業ほど独自性が高く、それぞれの経営に対する明確な姿勢があることでした。
日本企業をながめてみれば、言葉は悪いですが、おバカの横並び状態だったような。。。
それでもユニークな取り組みをおこなっている日本企業は、経営者の経営能力が高いということは、私でも理解できました。
私には、経営者目線など、とてもという状況でした。

経営者目線が少し理解できるようになったのは、ソニー子会社へ入社して自ら事業計画をつくったときからでしょうか。
毎年、部門の計画を作ります。
部門の運営方針、部門の重点目標、アクションプログラム、数値計画等を自分でつくっていくことでようやく経営者目線のほんの一部が理解できたくらいでしょう。

その後、転職して創業経営者が率いる企業へ入社してから、経営者をまじかにみることで、さらに少しだけ経営者目線が広がったように思えます。
とくに資金繰りは、強烈でした。
経営者とは、これほどまでに運転資金や投資のための資金について頭を悩ませているのか、と。。。

そういえば私の父も個人事業主でしたが、銀行の支店長とのやりとりが多かったことを思い出します。
おそらくですが、事業の資金繰りをおこなっていたのでしょう。
父のそんな苦労も知らずに遊びほうけていた私ですが、だからでしょうか、こんな年齢になってはじめて経営者目線のわずかな部分を理解できるようになりました。
まったく、ただの間抜けな人間でした。

経営者目線など簡単に言葉にするものでないこともよく理解できました。
やはり自分で起業し事業をおこなっている人たちと同じ目線で仕事をすることなどできないことを体得しました。
私ができることは、やはり大きな企業のなかの一部分の仕事か、あるいは創業された企業経営者をサポートしていく仕事レベルです。

起業とサポートでは、雲泥の差があり、とくに創業経営者の経営目線を理解することなど私にはほとんどできないでしょう。
しかし、卑屈になることはありません。
真面目に事業に挑戦しようとされる創業経営者を少しばかりの専門的な知識と、これまでの経験で支えるような仕事はできるからです。
こうして随分時間がかかりましたが、やっとこの年齢で私なりの仕事というものが自覚できたようです。
長い道のりでしたが、こうして創業経営者や父との違いがわかっただけでも、私には、とても意味がある人生を歩かせてもらいました。

職業生活(キャリア)とは、労働とその経験から学ぶのが一番でしょうか。


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