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組織や人にゆらぎをあたえることで内部牽制がかかります

企業における力関係をみると、明らかに部門間格差が存在しています。花形は、なんといっても売上をあげる営業部門でしょう。さらに、企画部門や開発部門、あるいは製造部門といったところでしょうか。
人間が介在するところに格差あり、というのが現実でしょう。やはりどのような企業でもこのような実態があると想像されます。
昔、ある企業の先輩が揶揄していました。この会社は、「士農工商サービス」だ、と。

営業部門に在籍していた私からみれば、この先輩が言う言葉には重みがありました。それが現実だからです。しかし、この企業が不正をおこなうレベルまで組織機能が落ちているわけではありませんでした。あらゆる問題を解決するために、悪戦苦闘する姿を、私は知っているからです。
その部門からみれば、日が当たらないと、感じていたのでしょう。このようなことは、どの企業でも程度の差こそあれ、格差があるのが普通ではないでしょうか。

問題は、近年、品質検査における不正が多くなっていることでしょうか。現場には、だいたい強い製造部門と弱い検査部門の格差があるように思えす。
理由は、不良品が出るのは製造側の問題ですが、不良品を合格させているのが検査部門だからです。どの企業でもみられことかどうかわかりませんが、強い部門の不始末を弱い部門へ押し付けることが品質不正の本質ではないでしょうか。

不良品を合格させる理由は、計画通り、また予定通りに生産をおこない部門の目標を達成したいからでしょう。
誰が何のために達成したいかは、これも簡単です。
優秀な、優秀と思われているのかもわかりませんが、そのような経営職、あるいは管理職などの上昇志向や保身のために品質不正が行われているのではないか、と想像しています。
近年、このような優秀なエリートと呼ばれる人たちは、指示を出しません。いわば不作為によって不正を助長するという手口が多くなっているように感じます。

現場は、このような優秀だと思われている経営職や管理職から、予定通り進捗しているんだよな、とか言われるのでしょう。
そこで、現場の担当者たちは自らの意思を喪失させ、優秀だと思われている経営職や管理職に飲み込まれていくのかもわかりません。

組織構造に問題がありますが、組織構造に問題が出るのは、弱い決定しかできない責任者を配置するからです。
私がみてきた企業では、このような弱いと思われる部門に強力な発言権もつ経営職を配置し、徹底的した改善をおこなっていました。
本当は簡単にできることです。
多くの経営者は、このような健全な人事異動をおこないません。
業務執行権限がある経営者が、強い人事異動などをおこなわないことで、益々優秀だと思われる経営職や管理職は、わが意を得たように不正を助長するような不作為をやるものです。そして無能な意思決定を繰り返すことになるのでしょう。
行きつくところ、どのような不祥事も同じようなものではないでしょうか。

組織や人には、常にゆらぎが必要です。そのゆらぎを作るのが経営者です。あるいはモニタリングボードのメンバーのはずなのですが、現実の企業では、このような簡単ことができていないように思うのは、私だけでしょうか。
経営とは、人間をどのように活用するかという複雑系の一部に属するのかもわかりません。
ゆらぎがあるからこそ、いろいろな条件下で、あっと思うようなことに転換され、新たなビジネスの種が宿るような気がしています。

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