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『セカコイ』この涙の意味は

『今夜、世界からこの恋が消えても』をみた。

みっちーと莉子ちゃんって美しくて良いなあ〜。と最初はその程度だった。

モエカレを観に行った時に、予告を観て「観に行きたい」に変わった。

真織ちゃんの記憶が寝たら消えてしまう物語。
ではなかった。

透くんにも秘密があった。

それが気になって、
観た人がみんな泣いたと言っているのが気になって。


ネタバレ含むであろう、感想を、忘れないためのメモとして。


サイトを開いたら愛おしくて、また泣いてしまいそうになった。それくらい、真織と透くんのことが好きになっていた。

毎朝、「何も覚えていない」という絶望からはじまる真織ちゃん。

自分が記した日記で1日1日をやり過ごしている。

そんな真織ちゃんに、クラスメイトを守るために告白したのが透くん。

2人は、「お互いを本気で好きにならないこと」を約束して付き合うことになる。

と、まあSTORYにも書いてある通り。

いじめられっ子を守るポジションであった透くんは、クラスの中で中心的な存在ではないことがわかる。

一方で真織は人気者らしい。
真織を守っているのは幼い頃からの親友の泉ちゃん。
真織の記憶のことも知っている。

お互いのことを好きで付き合い始めたわけではないにも関わらず、付き合っていることを多くの人に知られている2人は毎日を一緒に過ごしていく。


放課後デートに休日デート。
真織は透くんにたくさん質問して、たくさんメモをとる。
それが明日以降の自分が透くんと過ごしていくために必要なものになるからだ。

あるデート中、真織は眠ってしまい、記憶がなくなってしまう。
自分がどうしてここにいるのか、横にいる人は誰なのか、わからない。

泉ちゃんに助けを求めた真織は、冷静さを取り戻し、透くんに秘密を告げる。記憶が消えてしまう話をしたのだ。

そこで透くんが言ったことは「今日あったことは日記に書かなければいい。そうしたら明日の日野はこのことを知らない。」と。
秘密を打ち明けたことを、今日の真織と、透くんだけの秘密にしたのだ。

もうこの時点で透くんが素敵人間すぎる。

好きにならないわけがない(私が)。


真織の秘密を聞いて、受け止めた透くんは「日野の毎日をとにかく楽しいものにする」と決める。

透くんが彩ってくれる真織の日々。

そして、昔絵を描くことが好きだった真織に、透くんが伝える。
"形状記憶"というもの。

一度自転車に乗れるようになったら、ずっと乗れる。と聞いたことがある人もいるかもしれない。

それだ。

絵を描くことも、腕や手が覚えていて、毎日記憶が消えてしまう真織でも続けられるものだというのだ。

それを聞いた真織は、透くんの絵を描き続けていた。


そしてある夏祭りの日。

いつものようにデートをした真織と透くん。

とても美しいシーンで、印象に残っているのになぜか全然覚えていない。
ただ、真織が透くんに告げる。

「3つ目の約束(本気で好きにならないこと)を破ってしまうかもしれない」と。

そうしたら透くんは真織に言う。
「そんなの、僕はとっくに破っている。」と。

普通なら、嬉しくて、ポカポカしそうなシーン。美しい告白。
でも、なぜか涙が止まらなかった。

2人はそれからも、2人らしく1日1日を楽しく過ごした。

しかし、その日は突然やってきた。

透くんの死。母親を心臓の病で亡くしていた透。突然死だった母親と同じく、少しの前触れだけで、真織の前から姿を消した。真織の親友・泉ちゃんの前からも。

そんな透が泉ちゃんにお願いしていたことがあった。

それは、真織の日記から自分を消すこと。

真織は毎朝絶望から毎日がはじまる。
そんな中で日記を読んで、思い出せない恋人の死を知る。

そんな毎日で、平穏に過ごせるわけがなかった。

透くんはそれを見越して、泉ちゃんにお願いしていたのだ。

悩みに悩んだ結果、「透くん」として記されていた記録は、「泉ちゃん」に変わった。

真織の毎日は、泉ちゃんのおかげで平穏さを取り戻したのだった。


ある日、真織の記憶が少しずつ戻りはじめる。前日のことを覚えてたのだ。

そして見つけた、透くんを描いたスケッチブック。

真織は知らない人のはずなのに、透くんの絵を描き続けてしまう。透くんが教えてくれた、形状記憶だった。

記憶障害が治りつつある真織に、本当の日記を返した泉ちゃん。

真織は人生に透くんを取り戻した。

記録の中でしか会ったことのない人だけど、真織はその腕で、その手で透くんのことを覚えていた。



物語を忘れたくなくて、思い出しながら書いていた。
やっぱり書きながら涙が出てきた。

終わった後も感じた。

この涙は何の涙なんだろうか、と。

この映画を映画を観に行く前に、私は涙活に行く気持ちだった。
そして、「よく泣いたなあ」と夫に話し、「感動したんだね」と言われた時に、"うーん、気持ち的には感動とは違うんだよなあ"と思った。

同情でもない。


すっかり物語に入り込んでいるのかもしれない。

映画でいうなら、泉ちゃんくらいのポジションに自分がいるのかも。

当事者のように悲しいから泣く。

そんな涙なんだろうなと思った。


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