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生成AI技術探索①:音声からの情報抽出アプリケーションを開発してみた


はじめに

NRIデジタルのCoE(Center of Exellence:組織横断の研究拠点)活動では、事業領域で今後必要とされそうな先端技術の知見を組織に蓄積・浸透させることを目的に、日々新技術探索や発信を行っています。
本記事では、CoE活動の中で開発した、生成AIを活用したデモアプリケーションの概要をご紹介します。生成AIのビジネス活用へのイメージを膨らませる一助になれば幸いです。
(執筆:NRIデジタル 渡邉)

デモアプリケーションの紹介

概要


音声から「顧客の声」を抽出し、構造化データとして蓄積することを目的としたアプリケーション開発をテーマに取り組みました。

商品へのフィードバックや顧客自身の志向性を含む「顧客の声」はビジネスを発展させるうえで必要不可欠ですが、非構造化データであるためにデータとして蓄積できていない、という課題があると考えられます。

「顧客の声」が蓄積されていない

そこで音声入力×自然言語処理を用い、営業活動で得た大量の情報を効率的に抽出し、構造化データとして蓄積するアプリケーション開発を目指しました。機能は、営業状況の報告を支援する機能・営業電話からの顧客情報抽出機能・データ分析機能(今回は非実装)を想定しています。
これらの機能を用いることで、顧客に寄り添った効率的な営業活動をサポートできると考えています。

アプリケーションの機能イメージ

デモ


では、実際にアプリケーションを操作してみます。

■ 営業状況報告支援(AI上司)

この機能では、まず上司が部下から報告して欲しい内容をアプリケーションに登録しておきます。
その後、登録内容をもとにAI上司が代わりに報告を受け、内容を整理してデータベースで登録してくれます。

以下のデモでは、「顧客名」「性格」「商品への興味」「その他情報」を部下から聞き出すように登録してあります。
報告者の手間を減らしたいのと、 実際の報告のように整理されていない口語に含まれる情報を得たい、という理由から、音声入力で報告する実装にしています。

AI上司が「顧客名」「性格」「商品への興味」「その他情報」を聞き出す

■ 営業電話からの顧客情報抽出

この機能では、まず管理者が電話から抽出したい項目を決定します(抽出情報定義)。
その後、電話音声を入力し、先ほど決めた項目に対応する情報を抽出して登録します(情報抽出)。
ユーザーは、登録した情報をチャット形式で検索します(データ検索)。

①抽出情報定義

AIとの相談形式で、音声から抽出したい項目を決定します。
また、商品に関する知識を事前に登録しておくことで、データ検索機能に活用する事が可能です。

以下のデモでは、管理者の要望を元に抽出項目の提案を行っています。
提案に対する変更依頼にも対応できます。

ChatGPTと対話しながら抽出項目を決定する

②情報抽出

入力された電話音声を文字起こしし、先ほど定義された抽出項目を抽出して蓄積していきます。

以下のデモでは、会話音声を文字に書き起こし、「契約プラン」「契約期間」「重視している事」「不満点」「問い合わせ内容」「今後のニーズ」を抽出しています。

音声データの文字起こし後、情報を抽出・構造化データに変換する

③データ検索

顧客に関する情報をチャット形式で取得できます。
「商品知識」「抽出した情報」「会話音声の要約」をインプットにしてあるため、抽出項目とされていない情報も取得できます。

以下のデモでは、不満点・メールアドレスは情報が存在するため、質問に対する回答と関連する商品知識を回答する一方、最寄り店舗に関する情報がないため、「わかりません」と回答します。

特定のユーザーに関する情報をチャット形式で質問できる

おわりに

生成AIを活用したデモアプリケーションの開発を通じて、定性情報への新たなアプローチ方法としての可能性を体感した一方で、
実際に商用利用するためには、セキュリティやスケーラビリティなど、検討すべき要素が数多くあると感じました。

生成AIの力を最大限に引き出し、多くの人々に利益をもたらすアプリケーションが生まれていくことを楽しみにしています。

★NRIデジタル社員のテクノロジーに関する知見は、公式ホームページのTECHBLOGでも発信しています。ぜひご覧ください!


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