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精神科夜間救急②~忘れられない女性患者👩違法薬物の恐ろしさ😱中編~

 入院して来た彼女は、寝付いたように見えた。ようやく、交代で職員が夜間の休憩を取ることになった。看護助手の彼女は、明らかに限界の表情であったし、先に休憩が必要だった。彼女から休憩を取ってもらうことになったが、相勤の看護師からも反対はなかった。

 記入してもらった入院手続きの書類の処理や入院時の詳しい記録など、間を開けずにやりたいことが看護師側には残っていたから、都合が良かった面もあった。

 今では考えられないようなことだが、当時の電子カルテは、時々止まった(フリーズ)。時々では分かりにくいか?、だいたい30分に一回5分位止まる😅。で、戻らないと再電源を立ち上げる作業をした。

 そんな経験をしてない看護師は、電子カルテZ世代だろう。始めから快適な電子カルテ環境にいたのだ✨。サポートデスク部門がある病院なんかは、こんな苦労はわかるまい😁。

 ようやく全ての入院に関係する業務を完了したところで、看護助手の彼女が休憩から戻って来た。というより、休憩途中でナースステーションに戻って来たのだ。

「なんか、凄い笑い声が聞こえるんですけど…」💦

 どうやらそれは、保護室から聞こえるようで、我々は保護室に向かった。

 保護室は一室ではなく、連なって三室並んでいるが、笑い声は先ほど入院した女性患者👩の部屋からだった。

 私は分厚い鉄の扉🚪に、ちょこっと付けられている観察用の小窓から中を覗いて絶句した😨。後から覗いた、他の二人も同様だった。それは、先ほどまでの彼女とまるで違う姿で、自慰行為に耽っている彼女の姿だった。いや、自慰行為自体は何の問題もないが、そのやり方が尋常ではない💧、服こそ着ていたが、大声をあげ、歓喜して笑い、叫び、男👨の名前さえ呼んだ。我々が覗いて声をかけているのに、だ。

 看護助手の彼女は、「早く止めさせてあげて!」と入室するよう迫ったが、私は相勤者の看護師に、「先に当直医に連絡しよう。」と伝え、そうした。

 我々がいくら素晴らしい看護をして、いくら事実通りの素晴らしい記録でも、夜勤バイト🌙🏢が書いた記録という不当な扱いを幾度受けただろうか?これは、直接見てもらうに越したことはないと判断した。

 この判断が正直正解かどうかわからないが、室内の彼女は明らかに興奮し、状態は悪くなっていたが、自殺・自傷行為と違い、危険ではなかった。また、せん妄(訳がわからなくなり、意識疎通が困難)であっても、既にベッドから降りて床で横になっている状態であったことも、そう判断した理由だった。

 情報が少な過ぎるのも不思議で、自宅から来たはずなのに、家族の付き添いがなかったこともおかしな点だったし(もしかしたら、事務所が家族から先に聴取して、その後誤って帰した可能性もあるが)、とりあえず彼女の情報は少なかった。

 また、ボディチェックにも正直自信がなかった。(前編参照)。このような場面で、相手が女性であるとか、こちらが複数で有利であると判断して、うかつに保護室に「オラ、オラッ」て入った男性看護師が、酷い逆襲を食らう場面など、既にこの歳で再三見ていた。

 わざわざ扉🚪一枚有利な状況を放棄して、自慰行為を止める必要はなかった。それは我々(夜勤者)が好奇の目や口を閉じていれば済む問題であり、私は自分や仲間を危険に晒すつもりはないし、男性医師(当直医)が到着すれば、更に有利になると判断できた。それからでも、入室は遅くはない。

 ただその後、看護助手の冷たい視線を浴びるだけでなく、そこでの仕事は暫くやりづらいものにはなったが(特に女性スタッフと)、流石に私が一目置く女性看護師の配慮で、なんとか誤解は溶けていったようだ✨。

 そして、当直医が到着して、同様に小窓を覗く、彼女👩の状態に変化はない。

「これは、フラッシュバックしてるね?」

 確かに、男性の名前は二人出て来ているようだったし、二人と会話しているような口調も見受けられた。そういうプレイのフラッシュバックなんだろうか?

「ん~これは、何かの薬物だわ~」

 当直医は何かしらの違法薬物の離脱(抜ける時に起こる症状)の可能性を感じたらしい。確かに、報告では精神科の既往はなかったので、この線は濃かった。

 でも、ここまで酷い症状が出るだろうか?相勤者と首をひねったが?まあ、医師が言うなら、そうなんだろう。私もまだ若く、経験値は余白が多かった。

「特にこのままで、拘束とかいらないでしょう。」

 え?先生マジですか?転倒されたら困るんですが…💧。

 帰ろうとする当直医を制し、とりあえず入室。彼女の外傷確認だけは、当直医と済ませたが、その後、当直医は颯爽と白衣🥼を翻して帰って行った。

 仕方なく我々は、巡回を密にし、女性である看護助手に付き添ってもらい、小窓を覗いた。何かあれば直ぐ入室出来るように、彼女の付き添いは絶対必要だった。男性看護師だけでは、出来ない事が多かった。大変申し訳なかったが、彼女の休憩時間はもうなかった😢。このあたりは、恨まれて当然かもしれない💧。

 室内には、監視カメラもあったので、モニター📺で生存確認すれば良いと言われそうだが、当時のカメラは電気(灯り)を落とすと何も映さなかった💧。

 別に覗きたい訳ではないが、確かに入院した女性患者👩は、かわいかった。しかも、その辺りにいるレベルではなかった。そして、その美しさ✨が彼女を不幸にさせた原因と知ったのは、その後しばらく振りの夜勤でのことだった。

つづく

※15年前の精神科看護の場面ですので、現在では考えられないような対応や表現もあろうかと思いますが、ご不快な点があれば、ご容赦ください。また、以降のお話はショッキングな内容を含みますので、ご理解のうえ、お読みください。

今回も長文お付き合いいただき、ありがとうございます。

この続きもぜひ読んでいただけますように、よろしくお願い致します🙇