見出し画像

日中韓の若者が考える東アジアの超高齢化研究会#1

開催趣旨

東アジアでは、急速に高齢化がすすんでいます。世界で最も高齢化している日本は、2021年に高齢化率29%を超えました。隣国の韓国は、出生率が0.8を切るほどに急減しているとともに、毎年1%というスピードで高齢化率が上昇しています。膨大な人口をかかえる中国は、将来的には4億人もの高齢者が発生します。2020年から2040年は東アジアの高齢化が急速にすすむ時期であり、20年後には全く違った国際情勢が出現していると考えられます。

このような深刻な事態に対しまったく議論がすすんでいないことに問題意識を感じ、日中韓の3カ国の若者が集まって議論をする研究会をはじめることにしました。定期的に開催していく予定で、どなたでも参加可能なので、興味のある方は是非一緒に議論できればと思います。

話題提供

第1回目となる今回は、日中韓の若者に8名に加え、りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一氏、中国で高齢化問題のパイオニア的活動をされているSSIDICの田蘭寧氏、日本で公共哲学の学問を牽引し、その後韓国で老年哲学の運動をはじめられた金泰昌氏、未来共創新聞社の山本恭司氏のシニアチームも加わり、豪華なメンバーでスタートを切ることができました。

はじめにNPO法人Talking代表理事の日渡より、東アジアの高齢化の現状について話題提供がありました。西洋の先進国と東アジア各国の人口動態を比較し、高齢化の構造がまったく異なること、人口減少と高齢化が急激にすすむ東アジアは、西洋諸国とは同じやり方での問題解決は不可能であり、独自の解決策を模索する必要があることが述べられました。

スクリーンショット 2021-11-25 14.00.28

また、日中韓の3カ国の課題としては、日本ではこれから人口減少のスピードが加速すること、韓国は膨大な貧困の老人が発生するリスク、中国は課題の地域差とIT活用の可能性の指摘がありました。


ディスカッション

その後はディスカッションの時間となり、各国が背景と社会問題を共有しました。

中国のメンバーは、都市部の出生率の低さを問題視し、原因は高騰する不動産価格にある指摘しました。中国では不動産を持っていなければ結婚できない、戸籍を得られない、信用スコアに響くなどの問題があり、結果として子供を育てられない、子どもに教育を受けさせられないといった状況となっているようです。

さらに一人っ子政策の影響から、若年層が結婚しても両家の親を介護する必要があり、さらに子どもを3人産むことなると、4人の親の介護と3人の子どもの子育てをすることになり負担が大きすぎるという問題もあるようです。また、社会保障制度に関しては、各都市、各省ごとに異なるため、中国全体の制度として考えることが難しいことも議論のテーマとして挙げられました。

少子化が急激に進行する韓国では、ジェンダー問題があがりました。韓国ではジェンダーの議論が過熱し、男女の対立が激化しているため、恋愛や結婚が少なくなっていたり、子どもを残したいと考える人が減ったのではないかとのことです。中国と同様に、ソウル周辺に膨大な人口が集中し、都市部の不動産価格が高騰していることも結婚ができず少子化が加速する原因の一つのようです。

最後に金泰昌先生より3つの指摘がありました。これまでの若者が高齢者をささえるという考えから高齢者が若者をささえて導いていく発想に転換が必要であること、ユヴァル・ノア・ハラリが指摘するように、ITや科学技術の発展とともに人間のあり方そのものが変化していく可能性、コロナにより生命か経済かの対立が問題となったがそれらを乗り越え、若年、壮年、老年の三世代が未来を共創する必要性があるとのコメントでした。


まとめ

キックオフとなる第一回目の研究会でしたが、若年世代からの活発な意見や、シニア世代からの本質的なコメントをいただき、たいへん充実した会となりました。超高齢化問題は日中韓の人々が、対立を乗り越え共に向き合っていくべき課題です。そのための議論の場をこれからも定期的に開催していくことの意義を参加者全員が改めて確認しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?