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支援付き住宅 埼玉県所沢市の状況(NPO法人サマリア)

抱樸が初のクラウドファンディングに挑戦した「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」の中心事業「支援付き住宅の全国展開」において、各地で担っていくパートナー団体の一つであり、埼玉県所沢市を中心に活動するNPO法人サマリアの福場さんにお話しをお伺いしました。

NPO法人サマリアの活動とクラウドファンディングによる支援の拡大

NPO法人サマリアは、埼玉県所沢市に拠点がありまして、現在は所沢市、狭山市、東松山市に全部で20室部屋を借り上げて、誰でも利用できるシェルターの提供と、生活見守りが必要な方に対しては見守り付き住居の提供を中心的な活動としています。また、支援で繋がった人たちが交流するための「友の会」活動や法人後見成年後見制度の利用促進の活動などもやっています。

NPO法人サマリアの大きな特徴は、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っているスタッフがいることです。私たちの活動は元々、社会福祉士や精神保健福祉士がボランティアで始めた活動がベースになっています。それぞれの経験を活かしながらこれまで活動してきました。一方、あくまでボランティア活動がベースとなっていたため、これまで十分に活動を収益化できず、なかなか活動が広げられないというジレンマもありました。しかし、今回のクラウドファンディングによるご支援で、活動の幅が大きく広がり、これまでより踏み込んだ支援ができるようになりました。また、今回のご支援によって確保した住宅が、日常生活支援住居施設(日住)の制度的支援も受けられるようになりそうで、継続的な活動の道筋が立ちました。本当に良かったです。

住居付き支援については、最近は住居に空きがでてもすぐ埋まる状態です。ついこの間までは18人程度の方が利用しておられましたが、今はもう出たり入ったりで延べ21人の方が利用するような状況になっています。

新型コロナ感染拡大後、相談件数が3倍に

いま新型コロナの影響で、仕事を失くして、家賃が払えなくなり、住まいを追い出される方や寮付きの仕事をしていたのに突然仕事を失い、寮からも追い出されてしまったという方が私たちに相談してきます。それ以外にも、私たちは埼玉県の弁護士会と連携して、刑務所から出てくる人や逮捕されたけれど不起訴になって支援が必要な人たちを受け入れています。さらに、最近は警察や福祉関係の方からの紹介で、様々な理由から一時的に家を出ないといけない人たちについての相談も受けています。コロナ前とコロナ後では相談件数は約3倍増加しています。

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コロナ禍で追い立てられる女性

特に去年から今年にかけて、女性の相談がすごく多いなという印象を受けます。例えば、ある女性は今までやっていた仕事がなくなり、栃木の寮付きの仕事を紹介されて一度入ったんですが、実際に働き始めるとまったく聞いていた仕事内容や条件とは異なると。それに異議を唱えたら「解雇だ」と言われ、寮も追い出されてしまった。彼女は歩いて栃木から埼玉まで来て、警察に相談して私たちのところに辿り着きました。

女性からの相談が増えている背景は様々あります。仕事を失ったというだけでなく(DV被害増加などを考えれば)家族の中でストレスが向かいやすい立ち場にどうしても女性がいるのかなと思います。

ちょっと一休みできる猶予期間の大事さ

これまでも住居付き支援では、私たちとしても家賃を支払わないといけないので、収入がない方に対しては生活保護をすすめることしかできませんでした。しかし、今回クラウドファンディングでご支援を得たことで3ヵ月ほどは家賃補助を出すことができるようになり、その間に本人が自分で考え、どうするか決断できる猶予を作り出すことができるようになりました。その間に新しい職を見つけることができた人もいますし、一旦は生活保護を受けるという決断をした人もいます。ちゃんと納得して決めた方はしっかり次のステップに行けるんです。特に若い世代の方、急に職も住まいも失って面食らってしまっているような若い方にとっては、白か黒か今すぐ決めなさいみたいなことではなくて、ちょっと一休みしながら、自分の将来をちゃんと決める時間がとても必要だと思うんです。

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行政との連携―きちんとした仕組みづくりを

(最近では行政が相談者をNPOの支援につなぐということも多くなっていますが)民間を活用していただくのはいいのだけれど、活用するなら、それなりにきちんとした連携の仕組みを考えることも必要だと思います。そして、やはり行政にはこの状態の中での行政の役割、国の役割、いま、国として一番に取り組まなければならないのは何なのかという優先順位を考えて頂きたいです。

ご寄付下さった皆様へ

クラウドファンディングでご寄付くださった方には、もう本当に心からお礼を申し上げたいです。私たちは埼玉県の、東京に直結している私鉄沿線の地域で活動していて、支援のニーズがとてもあるにもかかわらず、ボランティアベースで活動が不安定だったために、ニーズに十分対応できないまま10年やってきました。しかし、今回のことをきっかけにかなり活動が安定して、支援内容も充実させることができたことに加えて、継続的な支援活動の道筋もたちました。たくさんの方たちのSOSに対応することができています。本当に皆さんのおかげです。ありがとうございました。

いただきましたサポートはNPO法人抱樸の活動資金にさせていただきます。