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支援付き住宅 岡山県の状況(NPO法人岡山きずな)

抱樸が初のクラウドファンディングに挑戦した「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」の中心事業「支援付き住宅の全国展開」において、各地で担っていくパートナー団体の一つであり、岡山県を中心に活動するNPO法人岡山きずなの川元さんと岸武さんにお話しをお伺いしました。

NPO法人岡山ホームレス支援きずなの活動

2021年の10月に、「NPO法人岡山ホームレス支援きずな」から「NPO法人岡山きずな」に改称したばかりの私たちの団体は、来年で活動20年を迎えます。
はじめたばかりの頃は、路上生活者の方の命を守るために炊き出しを行い、そこから活動を広げていきました。


現在は、「安楽亭」という、路上生活者の方の居場所の確保、入浴・洗濯サービスができる拠点を運営しています。
安楽亭では、週に2回、食堂形式での炊き出しを開催し、おしゃべりを楽しんだりしています。

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また、安楽亭の敷地内では野菜を育てているので、収穫できた野菜を炊き出しに利用したり、地域のお店で販売していただくこともあります。

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生きるための基盤を失わせず、地域に開かれた拠点となる居場所づくりをしています。

毎週水曜日には夜回り活動として、岡山駅地下街にいる路上生活者の方々への声がけ、相談対応、軽食の配布等を行っています。
ボランティアの方々のお力を借りながら、長く続けている活動ですね。

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中国・四国地方では唯一の、ビッグイシューの販売も支援しています。

こうした自主事業については、ボランティアの方々にお力添えをいただきつつ、寄付や会費で運営費をまかなっております。

一方、自主事業とは別に、岡山保護観察所からの委託事業として刑余者のための施設や、岡山市から委託を受けた生活困窮者自立支援制度に基づく18歳以上の方の一時生活支援施設の運営をしています。

ボランティアの方とのつながり

この団体は、もともと教会関係者有志の方々から活動が始まったという経緯もありまして、ずっとボランティアの方々に支えられています。

炊き出しの調理メンバーで長年ボランティアとして来てくださっている方もいますし、毎週水曜日の夜回りは深夜帯でもありますから、そちらの方が都合が合う方は夜回り活動をしていただいています。
活動によって活動時刻、活動内容は異なりますから、ボランティアの方々が行けるものを選択し、共に活動しています。

教会関係の方が多かったボランティアですが、ここ最近になってホームページを整備し、ボランティアの応募フォームを作ったところ、そこからアクセスして応募してくださった方も多くなりました。

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今まで出会わなかった方からの応募が、ホームページの応募フォーム設置によって増えた印象を受けています。
やはり、ちゃんと見てくれる方やアクセスしてくださる方はいるんだなと思いました。


きずなが大事にしている”食”の支援は、コロナでどう変化したか

安楽亭でこれまで行っていた食堂での炊き出しは、昨年のコロナの感染拡大から行わず、お弁当配布の形に切り替わりました。

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お弁当配布になった最初の頃は、デメリットを感じたのも事実です。
これまでとやり方が違う分、はじめはやりづらいなと思っていましたが、お弁当配布になってから、お食事の提供数が増えたことに気づきました。

これまでの安楽亭での炊き出しとなると、常連さんだけが多数でしたが、お弁当配布の形になってからは、私たちがこれまで出会えなかった方もお弁当を受け取りに来られるようになりました。
親子でお見えになったり、子どもの分も取りに来られる親御さんもいて、そうした方々はこれまでの食堂での支援ではあまり出会えていませんでしたね。
食堂の時よりも、食事に困っている方がアクセスしやすくなったのはコロナ後の変化の利点だと思っています。

ただ、配布にも課題があるというのが正直なところです。
お弁当配布の場合、受け渡しだけに終始してしまって、来てくださった方とお話ししたり、その方の背景を知ることは難しくなってしまいます。
顔の見える関係づくりにまでは踏み込めていないのが今の課題だと感じています。

やっぱり、お弁当が必要で来られてるということは、食べることに困っているだとか、やりくりがうまくいってないだとか、生活上の問題があるのだと思います。
しかし、配布のみだとそこまで把握することができずにいるので、食堂での支援の時にはできていたことができなくなっている状態をどう打開すべきか、考え続けなければいけないと思っています。

コロナの影響を受けた住宅支援

私たちは、行政からの委託事業として共同生活型のシェアハウスも運営しています。
しかし、コロナの感染リスクを考えると、施設の運営も難しくなっていきました。以前と同じような受け入れができなくなってしまうことは残念なことですが、受け入れる人数をセーブしながら、様子を見て続けている現状です。

クラウドファンディングを受けての支援住宅は、地域の方々のご理解をいただき、無事2021年の9月に開所することができました。

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現在は20代から70代までの男性6名の方が入居しており、うち4名が要支援者の方です。
それぞれに苦しい状況を抱えており、DVを受けていた人、心身の不調を抱えている人など、なんらかの事情でこれまで住んでいた住居に住み続けることができなかった人が入居しています。

施設は、寮であった建物を借り上げたので、毎朝一度、住んでいる方の訪問に伺います。体温や体調、困りごとなどないかを確認しています。
開所からまだ3ヶ月しか経っていませんが、徐々に入居者は増えていますので、これからも受け入れていきたいと思っています。

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開所にあたり、はじめは住民の方の反対も受けたという経緯もあったことから、地域の中にあるこの施設についてとても考える機会をいただきました。
入所されている方がこの地域の中でどう暮らしていくのかを、地域の方々に見ていただき、地道に積み重ねてやっていくしかないのだと思います。
少しずつこの施設のあり方を地域の皆様にみてもらいながら、いずれは地域に開かれた施設にできたらと考えています。

孤独になりやすい方、なかなか支援の手が差し伸べられない方は性別や年齢を問わず多くいらっしゃいます。
それぞれの背景は異なりますが、なんらかの事情で生活に困った方の支援を行えるよう、こちらの施設を続けていきたいと思います。


ご寄付下さった皆様へ

今回、クラウドファンディングでの寄付をいただいたことで、「日常生活支援住居施設かなで」という施設を運営できるようになりました。

開始することができました今、こちらが初めに想定していた高齢者層の方だけではない方への支援も必要だと気付かされています。
一人で生活をすることに困難を抱えている方、サポートが必要な方は全年代におられます。
そうした方が、こうした支援住宅にアクセスできるようになることができて、本当に良かったと感じます。

ご寄付いただいた皆様には本当に感謝しかありません。
心よりお礼申し上げます。

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いただきましたサポートはNPO法人抱樸の活動資金にさせていただきます。