見出し画像

支援付き住宅 北九州の状況(2020/10/10)

抱樸は2017年から「生活支援付き安心居住事業」を開始、今回のコロナ対策での「支援付き住宅」のモデルケースとなる住宅運営を既に北九州市において行っていました。

そのケースでは、空室に悩まされていた大家さんから(1つのマンションの)まとまった部屋数を抱樸が借り上げ、そのかわりに賃料を下げて頂いていました。
そのお陰で、抱樸に相談のあった生活困窮者に、生活保護の最低基準住居扶助の金額で入居してもらうことが出来るのです。
賃料と家賃収入の差額分で、マンションには管理人を置き、支援体制を取ります。
日々、「すぐ来てくれる管理人さん」が様々な相談を受けたり、安否確認を行ったりしています。

画像2

そこへ新型コロナが到来しました。
健康だけでなく経済活動に大きな打撃を及ぼす感染症。
これから更に困窮者が増え、「支援付き住宅」が必要とされる・・・
すぐさま住居提供を中心にした「コロナ緊急対策事業」を立ち上げました。

しかし5月1日時点で、運営していた46室は満室。お問い合わせも続いていました。そこで、(どのくらい集まるか見えない中ではありましたが)クラウドファンディングと並行して、5月末までに追加で25室を確保。「自力のみでもやる!」という覚悟は出来ていましたが、なんと6月にはクラファン参加の皆様の力でマッチング寄付が成立、村上財団様がその3,000万円を「すぐさま」送金して下さったので、一部改修工事と家具家電の準備をスピーディに進めることが出来ました。ほんとうに嬉しく有り難いことでした。

画像1

そして7月、様々な事情の7人の方の入居を受け入れました。

ある男性は、やっと就職した先(タクシー会社)で仕事を始めたとたんコロナで減収になり、保証会社の審査が通らない状態に。支援付き住宅がなければ、ホームレスになるしかないところまで追い詰められていました。

また親族と同居していたシングルマザー(子どもは1歳)は、働いていた親族の収入がコロナで激減、しかし収入ゼロではないので生活保護も受けられず、子ども家庭相談室へ相談の結果「世帯分離」して、母子だけ生活保護を申請し、抱樸の支援付き住宅で生活をリスタートさせられたらベスト、ということになりました。
家族と離れて一人で子育てするのは厳しく辛いことですが、支援付き住宅管理人と抱樸スタッフが、出来る限りの伴走をしています。

8月には、更に2人の入居がありました。ご高齢の方々です。
おひとりは、一人暮らしが出来ない状態になった方でしたので養護老人ホームに入る予定が、コロナで入所に「待った」がかかり、途方に暮れてました。
年金があるのですが、老人ホームが受け入れ再開するまで(いつになるか分からない、数日の短期かもしれないのに)一般アパートを(敷金礼金を払って)借りることも困難でした。

もうひと方は、老人ホームに入っていたけれど事情で出てしまい、着の身着のままで一度は野宿状態になりました。すぐに抱樸でシェルター対応しましたが、新たな老人ホームは「コロナでどこも受け付けてくれない」。

おふたりとも、臨時的に支援付き住宅に入って頂きました。
着の身着のままだった方は、もちろん家具を買うお金もなく、この支援付き住宅にはクラウドファンディングで寄せられた家電・家具が揃っていたからこそ、「その日から」お湯を沸かしてベッドで眠る暮らしがスタート出来ました。酷暑の中、クーラーも命を守りました。

画像3

入居者のケアには抱樸スタッフだけではなく、ヘルパー、訪問看護、保健師など、必要に応じて専門家と連携して当たっております。

9月も入居があり、ご相談も続いており、空き居室も少なくなって来ました。更に部屋を確保することも計画しています。

2020年10月10日現在「プラザ抱樸」
・確保住宅数・・・・・・・・25室
・支援世帯数(入居数)・・17世帯(15世帯 ※)
※高齢のお二人は無事施設へ入居できたため退居

クラウドファンディングで1億円という大きな額が寄せられたわけですが、これは全国10団体と案分しますので、終わりの見えないコロナの状況で更に困窮の方が抱樸にたどり着いた時「断らない」ために、独自の寄附集めを続けています。

皆様のご寄附で確実に、救われる「いのち」があります。守られる「生活」があります。

どうぞ引き続き、心をお寄せ下さい。

                    (文責:広報T)

いただきましたサポートはNPO法人抱樸の活動資金にさせていただきます。