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自分で決めて、歩んでいく。| Hello! Senpai. Vol.06 ショウさん

こんにちは!
NPO法人DNA 授業「未来の教室」 スタッフの「なんしー」こと南条です。

このマガジンは、NPO法人DNAが取り組む授業「未来の教室」に参画している学生や社会人へのインタビューを通じて、”群馬の10代と社会をつなぐウェブマガジン”「Hello! Senpai.」です。

インタビュー第5弾!
今回は「ショウさん」こと高草木さん(社会人センパイ)にインタビューしてきました。

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ショウさん(高草木)
教育業界で子どもたちと関わる仕事をしている。2019年5月よりセンパイとして参画。授業だけでなく、センパイコミュニティのイベント運営などにも携わる。現在は自身の経験からキャリアカウンセラーの道を志し、働きながら学び続けている。


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僕が学生の時に考えられなかったことを、いっしょに考えられるようなことがしたい。

── よろしくお願いします!ショウさんはどんな高校生だったんですか?

ショウ:ちゃらんぽらんとしてたというか、ふわっとした学生時代を過ごしてました。その当時、僕は自分が何をしたいかをよく考えていなくって。進学する高校を決めるときに「みんなが志望するなら、僕もその高校に進もうかな」みたいな。友だちみんなで同じ高校へ進んだので友達は多かったですね。
高校はやんちゃなやつらが多かったんですけど、「こういう風にしなきゃいけない」とか、「ああいう風に考えてるやつって嫌だよね」というのは少なくって。「おまえのそういう考えおもしろいな!」って、とげとげせずに、ウェルカムな雰囲気がありました。だから男子も女子も仲が良くて、すごくおもしろかったですね。

── ちゃらんぽらん!意外です(笑)そんなショウさんは、どんな気持ちで授業「未来の教室」に取り組んでいるんですか?

ショウ:僕は、人生の様々な選択の場面で、他の人の意見に呑まれて自分で決めてきた実感がなくって。例えば、大学受験とか、就職活動とかで。そして、社会人になってから、自分のやりたいことというのが分からない自分に気付きました。
もし、自分が大学生の時に、何をやりたいかっていうのが決まっていたら、違う未来になっていたんだろうなあと思います。働き方は、極論を言えば自分の好きなことをやって、無限にお金が湧いてきて、無限に時間があるっていうのが僕の一番の理想です。でも現実はそうではないから、うまく折り合いを付ける必要があるんだっていうのは、今なら分かる。ただ、学生の時の僕は考えられなかったし、気付けなかった。自分が何を好きなのか、どんな風に働いていたいのかとかを、考えてこなかったんですよね。だから社会人になって、「自分の好きなことはなんなのか?」とか「やりたいことはなんなのか?」っていう問いにぶち当たったんだと思います。
ただ、これは、ここまで積み重ねてきた経験値があるから、気付けたことなんだと思うんですよね。だから、無駄にしたくないって思うんです。社会に出る前の学生の子たちとかに、将来のことについて、「きみはどう考えるの?どうしていきたいの?」というような、自分ができなかったこと、僕が学生の時に考えられなかったことを、いっしょに考えられるようなことがしたいんです。今はそれを仕事にしたいと思って転職活動をしています。授業に関わろうと思ったのも、こういう「自分のやりたいこと」がしたいと思ったからですね。


他人の意見があたかも自分のものみたいになっちゃってるって気付いて

── 自分の好きなことや自分のやりたいことに目を向けて、自分で決めることにこだわりを持つようになったのはなぜですか?

ショウ:大学受験がひとつの分岐点だったんですけど……。漠然と「ノリで良いのかな」と思っていて、何をやりたいとか、何になりたいというのをちゃんと考えないで、なんとなく大学を選んだんです。そんな気持ちで選んだので、大学生活もなんとなく4年間過ごしてしまって。結局、就職もなんとなく選んだんですよね。大学で、どうやったら売れるのか?どうやったら知ってもらえるのか?というような、広報につながることを研究していたので、「広告代理店」に就職することにしました。そのときは業界のことを何も知らないままに就職したんですが、実際に働いてみて、きらびやかなイメージをよく持たれているけれど、水面下ではすごく泥臭いことをしているんだってことに気づいたんです。
ある時に、働き方がハードだったのか、何がひっかかっていたのか自分でもわからないけれど、先輩に「もう無理な気がする」って言ったときがあったんです。そのとき先輩から、「ショウは何をやりたくてこの会社に入ったの?何を成し遂げたかったの?それができたから次に進みたい、っていうのならわかるよ。でも、ショウはここで何をやって、これからは何をしたいの?」って言われたときに、立ち止まったんですよね。そのときに、走馬灯のように中学生時代からのことを思い出して。
そして、「ああ、自分は何も考えてこなかったんだな」って気づきました。それからは、自分のやりたいことを見つけたい、自分で何か決断したいと思って、それが見つかるまで同じ会社で働き続けることを決めました。

── そうして自分で決めてこなかったことを自覚したあと、どんな風に自己決定をしていこうと思ったんですか?

ショウ:会社の仲のいい先輩からの一言が大きかったですね。その先輩から「こうやって仕事するといいよ」って仕事の仕方や働き方を教えてもらっいてたんですけど、断り続けてました。
ある日、「ショウは他の人の仕事のやり方を断っているけど、周りの働き方に対してどういう思いがあるの?」って言われて。僕は、「効率よくないですよね。あと、本にもよくないって書いてあったので、あんまりよくないですよね。」って言ったんですよ。そしたら「本に書いてあるから良くないってショウは思っているみたいだけど、ショウ自身はそれを経験したことがあるの?」って言われて。そのとき、僕は「他人の意見を自分の意見にしてるな」って思ったんです。今までずっと、自分の経験値じゃなくって、他人の意見をもとに、自分の考えを決めてるなって気づいて。
振り返ると、これまでいろいろ手を差し伸べてくれた人の手を「自分には合わないよ」って、つっぱねてきたことがあったのかもしれない。僕、かっこわるいなって思ったんですよね。
だから、自分で決定したいし、さらにそれを自分の経験に基づいて決定するようにしたいなって思うようになりました。それからは、とにかくやる。自分がやって、自分の経験から決断したり、考えたりするようになりましたね。

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そうやって変えていこうとする10代ってすごいなって

── ショウさんが、生徒から学んだ一言ってなんですか?

ショウ:生徒が”FUTURE PASSPORT”に書いた「これからは自分らしく生きていきたいです」という言葉です。この一言にはとても考えさせられました。その生徒は、裏で心ないことをいわれていて、そういう環境に自分がいるんだということを僕に話してくれたんです。そして最後FUTURE PASSPORTに、「自分らしく生きたい」って書いたんですね。
僕も自分らしくありたい思っているんですけど、大人になった今も難しいんですよね。自分の理想を思い求めるのが、難しい。
高校生の時の自分が、その生徒と同じ立場だったらどう思うだろうって思うと、こんなこと考えてなかったと思うんですよね。もし僕に心ないことを言う人がいたら、僕は「あいつが嫌なやつだから仕方ないんだ」って結論を出して終わりにしていた。何かを変えようとは思わなかったと思うんです。
でも、その生徒は変えたかったんじゃないかって思うんですよね。相手を変えたいのか、自分の想いを変えたいのかはわからないんですけど、「変わらなきゃいけないなって感覚」を生徒が持っていることを、生徒から感じたんです。そうやって、自分で決めて、今を変えていこうとする10代ってすごいなって思ったんですよね。今の10代ってこういう風に生きてるのかって。

【FUTURE PASSPORT/フューチャーパスポート】
授業の終わりに、生徒が今の気持ちや考えていることを書き留めるもの。授業後にセンパイが回収し、メッセージを書いてから生徒に送り届ける。いつでも持ち歩けるような手のひらサイズで、筆箱に入れたり、学生帳に入れたりして肌身離さず持っている生徒もいる。



── ショウさんが、最近自分で決断したことってありますか?

ショウ:会社を辞めたことですかね。自分のやりたいことがあって、その準備ができる会社に転職をしたんです。
僕は今、社会に出る直前の大学生の就労支援をしたいと思っています。でもその仕事は、前の仕事とはまったく違うから、頑張らなければならないことがたくさんあります。しかも、やりたいからといって、必ずやれるとは限りません。だから、本当は大学生の就労支援をやりたいと思っているんだけど、踏み切れない自分がいました。でも、やりたい仕事に必ず就けるって想いでやっていったらいいんだって思って、会社を辞めて今の仕事に就きました。大きな決断でしたね。
今は、やりたい仕事に就くまでの準備をしているんですけど、いろいろな条件をクリアしていかないといけないんですよね。でも、まずはやりたいって気持ちで動くようにしたら、気持ちが楽になりました。自分で決めたから、自分で責任を取ればいいし、誰も文句は言わないし。自分のやりたいことを目指せるから、身軽になれた感じがします。

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ショウさんの、「自分で決めるから楽になったんだ」という言葉を聞いて
ショウさんが自分の人生を自分で楽しもうとしているんだということをとても感じました。
自分で決めることは楽しいことでもあり、苦しいことでもある。でも自分で決めたことに意味や価値がある。そんなことを学ばせてもらえました。
仕事も、生活も「自分はどうしたいのか」を問うこと、大切に日々過ごしたいです。
 
[取材・文・写真]南条[編集]櫻井


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