高校生インターンシップの事前学習、相手の気持ちを想像するトレーニング
矢掛高校では2年生から探究学習として「やかげ学」を実施しています。やかげ学は、木曜日の午後(3時間分)を使って、生徒たちが町内の事業所(小学校や福祉施設、商店街の店舗など)に2年生2学期から3年生1学期までの1年間、インターンする取り組みです。
2年生1学期は、その事前学習が行われるのですが、その事前学習プログラムの一部をNPOだっぴで考案・実践させてもらったので、noteに整理します。
本プログラムは、
の2つの軸で実施しました。
やかげ学の目標設定ができる
目標設定の成果物として、社員証を作成します。
社員証作成は、下記3ステップで行いました。
自分との誓いは、やかげ学の中で「自分は必ず○○をする」という自分との約束を掲げます。最低限のものでよいので、達成できることを継続することで、やりきる力を養うねらいです。
やかげ学の目標は、やかげ学が設定しているルーブリックから、特に目標としたいものを生徒が1つ選ぶかたちで行いました。4つは以下のとおりです。
TPOに応じて、自分の振る舞いを変えることができる。
自分なりに工夫して、よりよい成果を出すことができる。
他の人の気持ちを想像し、よい関係性をつくることができる。
自分の苦手なことでも、前向きに挑戦できる。
最後に、canvaで社員証をデザインします。3パターンのフォーマットを用意したので、生徒はそのうち1つを選んで編集します。canvaの使い方はあえて教えずに、自分たちで使いながら使用感を得ていく過程をつくることで、創造性に制約をつくらないようにします。
課題解決の練習をやってみる!
課題解決の練習は、Yahoo!知恵袋をモチーフにしました。相談者の悩みが全体に提示され、生徒は実習先のグループに分かれて、相談者の悩みを解決できる回答を生み出します。今回、相談は3つ用意しました。
お悩み①②はワークシートに記入するかたちで、グループ回答を回収し、ベストアンサーを決めます。
課題解決のポイントとして、
ことを挙げ、想像しきれない部分は聞くという行為を行うことで、「他者のために行動する」「他者の気持ちを慮る」練習をします。
よい回答を生み出すためには、相談者から情報を引き出すことが必須です。相談者である私からはいっさいの情報を出さず、グループで質問を考えて情報を引き出しに来ます。
お悩み③は教室を飛び出して校内での撮影を各グループで行い、最終的にpadletで全体共有します。
実践後記
探究学習において、自分たちがやってみたいことを実践することは心のエンジンとして重要ですが、その内容が独りよがりのものになっては勿体ない場合もあります。とりわけインターンシップの場合は、相手方の事業所に負担を強いるかたちになるので、事前学習・指導は重要な意味をもちます。
今回は、相手の気持ちを想像して行動するトレーニングを行いました。こうした立ち居振る舞いは実際の仕事をするうえでも非常に大切です。しかし、高校生たちは(私も高校時代そうだったように)自分のことで精一杯で、相手の気持ちにベクトルを向けられないこともあります。
やかげ学においては、実習先の事業所で、そこで働く人たちのため、その事業所の顧客のために行動することが求められますので、事前にその感覚だけでも養うことができればと考えた次第です。事前学習においては、相手のことをどのように想像して、その結果どう行動したのかという思考の過程を振り返って明文化することで、思考のクセをつけることもよいかもしれません。
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