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2021年1月の活動

2021年1月は1件(1月18日)のオンライン個別相談を行いました。

指伝話メモリを使い始めてちょうど1年くらいの親子です。
気管切開をしており自分自身の声を出すことは難しいので、自分の声となる機器(iPad)を操作することを考えました。操作できるスイッチとその操作方法を何年も探し、ようやく確立してから約1年。
指伝話メモリでことばのカードをどんどん増やして、自分の中に貯まっていた伝えたいことを伝えるパワーには、毎度驚かされます。

そうだよね、これまでもずっと、言いたいことはいっぱいあったんだ。

今回お話を聞いた中で最も印象的だったのが、学校でクラスメイトに話しかけるために用意したということばの内容。

自分のペースでつい先に行ってしまいがちなクラスメイトに対して
「〇〇くん、ちょっと待って〜」

一度興奮状態に陥るとなかなか落ち着けないクラスメイトに対して
「大きい声出したら、〇〇ちゃん(自分より年下のクラスメイト)がびっくりしちゃうよ」
「〇〇(自分)も、びっくりしちゃった」

なんとかクラスメイトを落ち着かせようと頑張っている先生がいるとき
「〇〇先生が困ってるよ」

特別支援学校には、重度の身体障害を抱える子や発達障害、知的障害を抱える子、重複障害を抱える子、様々な子が在籍しています。また、クラスも縦割りで別な学年のクラスメイトがいる場合もあります。
自分より年下のクラスメイトに対しては、優しくしてあげたい、守ってあげたい、気遣ってあげたいという気持ちがあるんだそう。だから、クラスメイトをそれぞれ安心させるような声がけを自分で考えて、自分が伝えるためのことばとして追加しておきたいと、お母さんに伝えたのだそうです。

これが、効果抜群。
パニックや興奮状態に陥った子だって、周りにいる大人や先生に「落ち着こう」「静かにしようね」から注意を受けたとしても、それができないから困っているわけで、かえって興奮度が増して収拾がつかなくなることもあるでしょう。

そんなときに近くにいる友達からやさしく声をかけてもらうことで、すっと自分の混乱状態から抜け出せる瞬間があったようです。

こういう声がけは、特別支援学校かどうかに関わらず、先生が生徒に指導の一環として教えることはできます。
ですが、声をかける側の友達を想う気持ちが込もっていなければ伝わるものも伝わらない。難しいところです。

だからこのエピソードを聞いて、クラスメイトを想う声がけを自分で考えたこの子はすごいなぁと心底思いました。その子にとっては、なんら難しいことはない、普通のことなのですが。

大人になって、こうやって隣にいる人を想って丁寧に声がけすることができているだろうか?
大人になったからこそ、難しいときもあるように思います。

伝わるように、相手を思いやって伝える。
自分が相手のことを気にかけているよって伝わるよう工夫して、ことばを選ぶ。

病気や障害により声を出せない人が機器を使ってただしゃべれればいいわけではない、ただ自分の用事を人に伝えられればいいわけじゃないのは、こういうことだと思っています。

私もこの子のように、やさしい気持ちを持ち続けていたいな。
何ともあたたかい気持ちになった、1月の相談会でした。

相談・記録:島津あすか


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