【セミナーレポート・1時間目】「小1の壁」解消に、企業とNPOができることは?
こんにちは!いつも放課後NPOアフタースクールのnoteをご覧いただき、ありがとうございます!5月に「小1の壁」について考えるオンラインセミナーを開催しました。そのダイジェストレポートを3回に分けてお伝えします。
今回は1時間目をお送りします。
小1の壁って?
早速ですが、皆さん、「小1の壁」という言葉をご存じでしょうか?
「小1の壁」は子どもが小学校入学するタイミングに、就労家庭が子どもの預け先に困り、子育てと仕事の両立が難しくなることを指します。保育園では、延長保育があるところも多いですが、放課後児童クラブ(学童保育)では18時や19時で終わる場合があります。そうなると、子どもは、家で保護者の帰りを待つことになりますが、小学1年生の一人で留守番は、まだまだ安全面でも精神面でも心配なものです。また、子どもが小学生になるタイミングで時短勤務制度が終了する企業も多く、子どもの小学校入学を機に、本当は続けたかったけれど、非正規雇用に切り替えたり、仕事を辞めたりと、働き方の変更を迫られるケースがあるのも実状です。
「#学童落ちた」がトレンドワードに~いま、「小1の壁」がますます高い壁になっています~
厚生労働省の調査では、昨年5月1日時点で、学童への入所を希望しても断られた児童は1万5180人と、前年と比べ1764人増えました。また、この春は学童保育に申し込んでも利用が断られるケースが相次ぎ、公立の学童保育の多くで結果が出る2月頃から、ソーシャルメディア上に「#学童落ちた」ということばが並んで、「小1の壁」で悩む保護者の声を多くのメディアが取り上げました。預けられる時間が少なくなるだけでなく、預かりそのものもなくなると、就労が難しくなり、「小1の壁」がまずます高い障壁になっています。
企業と私たちで、何かできない?!まずはオンラインセミナーを開催しました!
このような社会の動きから、企業の方からも、「小1の壁」を企業としてどう考えていけばいいの?といったお声をいただき、まずはこの春に起きた状況をお伝えするオンラインセミナー「~#保育園落ちたが#学童落ちたに~ 今こそ企業が知るべき『小1の壁』」を開催しました。
▼当日の動画ダイジェスト版も絶賛期間限定公開中!(6月中)▼
1時間目:「小1の壁」を知る
◎キーワードは、「学校」「放課後」「職場」
「『小1の壁』を考えるうえでポイントになるのは、『学校』、『放課後』、『職場』です。この3つが、仕事と家庭の両立に、大きく関わってくることが私たちの調査で明らかになりました。今回はそのなかの『放課後』と『職場』をキーワードに考えていきたいと思います。」と、この日のスピーカーである放課後NPOアフタースクールの代表理事・平岩さんは話し始めました。
◎あるご家庭の「小1の壁」~今年4月、我が家はこうでした~
続けて平岩さんは、「セミナーにあたり、何人かの小1の働くお母さまにお話を聞きまして、このケースが最も壮絶だったので紹介します。」と、あるお母さまの今年4月のスケジュールを紹介しました。このご家庭は、お子さんが小学校入学し、学童保育に通いだしたそうです。
学童初日、お子さんは楽しそうな様子だったとのこと。しかし、次週から「人が多くって疲れちゃった」とお子さんがぼやくようになりました。重なるときは重なるもので、4月中旬にお子さんが発熱でダウン。時期を同じくして、ご実家のお父様ががんの手術で入院。その後、パートナーの方も発熱でダウン。家族の体調が回復してきた4月17日にお子さんから、「(学童)無理していかなくてもいい?」と言われたそうです。保護者会やPTA総会が平日昼間にあっても、先週の仕事のツケが回っていて欠席。その後パートナーが1週間海外出張でワンオペだった際、とうとうストレスと相まって、子どもたちを叱ってしまったそうです。
― 平岩さん 「もちろん、これは一例に過ぎず、置かれている状況は個人差があります。ただ、多かれ少なかれ、『小1の壁』を感じている就労家庭は多いのではないでしょうか。」
◎子育てと仕事の両立の悩み~アンケート調査結果から~
ー平岩 「まず、働きながら子育ては大変ですか?と聞くと、当然といえますが、84.7%の方が『はい』と回答されました。なぜ働きますかと改めて聞きますと、当然といえますが「会計のため」が87.8%となりました。女性が働いていると『自己実現をしているのだから、多少の苦労はしょうがない』といったことをおっしゃる方もいますが、とんでもない。皆さん当然働く権利があるし、ましてや家計の為にみんな働いているのだという基本的事実を確認できました。」
ー平岩 「そして、子どもの小学校入学にあたって働き方の見直しを検討したという方が、過半数に及びました。実際に働き方を変えた方の理由を聞いたところ、上位2つは、当たり前と言えば当たり前なのですが、子どものことがきっかけで、小学生のタイミングで結構多くの方が働き方を考え直すという事実があります。以前は保育園の時点でしたが、保育園の問題が解消できてきておりますので、保育園の時点では諦めないけれども、小学校の時点で諦める人がいるのではないかと思います。」
ー平岩 「子どもの小学校入学で子育てに関する負担や悩みが増えたか聞いたところ約6割の方がそうだとお答えになり、内訳としては、子どもの勉強サポートや夏休みなどの子どもの世話といった、保育園時代には少なかった悩みが上位に入りました。また、先ほどの事例にもありましたように、負担が増えたことで、イライラしたり、自分が体調不良になったり、夫婦喧嘩があったりといったことも起きていきます。ちなみに、親のイライラ・ストレスはそのまま子どもたちにうつると考えたほうがいいと思います。子どもが一番いやなことは、親のイライラ・ストレスで、その状況が子どもにうつって、学校や学童でイライラ・ストレスを発散するといったことも起きてしまいますので、見逃してはいけないポイントだと思っています。今までの説明で、なかなか大変な状況というのは皆様ご理解いただけたのではないかと思います。」
1時間目は、「小1の壁」が深刻な状況であることが、当事者の声とデータで示されました。2時間目は企業の方に知っていただきたい、放課後の現状についてお伝えします!