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【プロジェクト紹介】特別なスタンスとスキルを持つ介助者の実態把握とネットワーク構築

【繋がる活動】
特別なスタンスとスキルを持つ介助者の実態把握とネットワーク構築のご紹介

1.プロジェクト概要

「私たちを見る目が普通のヘルパーとは違うのでわかるのです。私たちをあったかく優しい眼差しで見ているだけではなくて、その目は注意深く、何かあったらすぐに対応するというものです。」

これは、当団体の理事長岡部宏生(ALS当事者)が特別なスタンスとスキルを持った介助者を表現したときの言葉です。

当団体には、特別なスタンスとスキルを持つ介助者の会が存在します。
このメンバーは、長年重度訪問介護に従事し、地域で暮らす当事者のパートナーとなり生活を支え続ける全国各地のメンバーです。

ALS等の重度障がい当事者やその周辺に深くかかわる人にとって、特別なスタンスとスキルを持つ介助者は一目瞭然です。
この人がいれば安心。
この人であれば大丈夫。
誰もがそう思う人材がいます。

一方で、その存在は当事者や深く関わるものにとっては明確なのですが、一般的に表現しようと思うとなかなかそれを伝えることができませんでした。

本プロジェクトは、熟達した介助者同士の語り合いからその専門性を追求し、一般への理解を目指しています。
また、その専門性を活用し様々な個別相談に応じながら、介助者が孤立せず共有・共感・支え合いながら働くことのできるネットワークを構築していきます。

本プロジェクトは、知ってもらう育てる繋がるの3つの柱すべてをつなげるメインプロジェクトに位置しています。

当団体では、熟達した介助者のことを「仙人ヘルパー」と呼んでいます。


2. プロジェクトの目的

1) 特別なスタンスとスキルを持つ介助者の専門性を広く一般に理解してもらう
2) 介助者の孤立や離職の解消
3) 重度身体障がい者の暮らしを支えられる介助者を増やす


3.プロジェクトの目標

1) 特別なスタンスとスキルを持つ介助者の実態把握
2) 介助者が日々の悩みを共に考えアドバイスできる場の提供
3) 重度身体障がい者の暮らしを支えられる介助者の育成方法の確立


4. これまでの活動報告(2019年度~2022年度)

2019年度 -特別なスタンスとスキルを持つ介助者の会の設立

「私たちが!?当たり前のことを当たり前にやってるだけですが…特別なスタンスとスキルなんて言われても…。」

これは、境を越えてネットワークを活用し集めた情報より特別なスタンスとスキルを持つ介助者の会のメンバー候補らに打診をした際、声をそろえて返された言葉です。
しかし、その後の交流会で語られたメンバーらの仕事への向き合い方は、やはり特別な存在感を感じました。

・重度障がい当事者のサポートは、もはや介護という言葉では収まりきらない。
・どうしたら、生きる希望と持ち続けられるか?どうしたら少しでも楽になるか?どうしたら私たちと同じように過ごせるか?を問い続け、寄り添う仕事だと思う。
・重度障がい当事者のサポートは哲学。いや人間学なのでは?

特別なスタンスとスキルを持つ介助者らの片鱗が見えた初年度は、介助者同士で自分たちの仕事への想いや葛藤を話せる場を作ることからスタートしました。

2020年度 -自分たちの仕事への向き合い方を言語化してみた 

設立以降、定期的に交流の場を持ちながら、感覚的に実施していた自らの仕事へのスタンスの言語化をスタートさせました。
ある日のテーマで出た言葉をご紹介いたします。

  • 仕事をしていく上で大切にしていることってなんだろう??

・この仕事は、命を次の時間につなぐ役割があることかな。
・当事者の人の真意をくみ取る、これにつきる。
・ラインを見極める。どこまで主体的に動いていいのか、どこからNGなのかのか?
・時間に乗せられるケアじゃなくてその人の望むことができるケアをしていきたい。
・想像力を膨らませること、その方が今までどう生きてきたかまで考える。
・コミュニケーションを諦めない。

交流を深めていくうちに、自分たちの考えの共通点が明らかになってきました。

2021年度 -特別なスタンスとスキルを持つ介助者を第三者的視点からみてみた/現場で悩む介助者が抱える不安調査

定期交流の場で自分たちで自らの仕事への向き合い方や葛藤を話し合いながら、個別聞き取り調査を実施し、第三者的視点より特別な“スタンス“をみていくといくつかの共通点が明らかになりました。

1. 当事者の方を一利用者としてみる前に「人」として見ている。
2. スタッフの育成を大切に考えている。
3. 当事者を含めた「チーム」とのコミュニケーションを大事にしている。
4. この仕事を生業としている。
5. 自分の成長について意識している。

また、地域で暮らす重度身体障がい者に関わる介助者が抱える不安調査を同時並行で実施(調査責任者:石島健太郎:当団体理事・調査部 東京都立大学准動の資料として学びました。

2022年度 -私たちを知ってもらおう、増やそう

これまでの交流会や実態調査を踏まえ、“特別なスタンス”を伝えるコンテンツとして“当事者と介助者のある日常動画“作成をスタートしました。

また、特別なスタンスとスキルを持つ介助者は、当団体に寄せられる介助者の方や当事者の方の関係性構築における相談に、個別相談アドバイザーとして対応しております。


5. これからの活動方針

本プロジェクトは、日々進化と深化を続けております。
当事者と介助者をパートナー会員としている当団体にとって、主軸となるものです。

今後は、境を越えての他のプロジェクトとの連携をより強固にしながら、地域で暮らす当事者の方、介助者の方を応援できるプロジェクトの一つとして成長していきたいと考えております。


6.お問い合わせ

info@sakaiwokoete.jp

他にも様々な活動をしているので、他記事もぜひチェックしてみてください☆
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