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気功生活 Vol.130

2022.5.7 発行

平和
胸に花が開き、
どこまでも
微笑みが広がる。

【目次】
争いのない生活  天野泰司
初夏の養生
翠と平和の総会 / 会計報告 / 『懺悔の生活』紹介
The Book of Life 3/30・4/6
暮らしと気功1 料理、ときどきケーキ  和田泰典
つれづれ湯遊記7  あや
「京の気功入門」開講〜講座ノート・中之島初回
春夢幻   吉田純子
講座案内



争いのない生活


                          天野泰司

初夏を迎えて
 緑の美しい季節になりました。蔦町の庭では、庭師の良文さんに新しく植えていただいたオガタマの木が、たくさん花を咲かせてくれています。漢字では「招霊」、古くから御神木とされてきた木で、花が開くと、どことなくトロピカルな独特の良い香りがします。
木々が枝葉をぐんぐん伸ばしていくように、私たちは胸が開き、関節がゆるんで広がり、心も体も伸びやかになっていきます。明るい心持ちで思いをふくらませ、行動に移すのにとても良い季節です。

無所有というあり方
 私たちは、戦争という過ちを何度も繰り返してきました。お互いを大切にしあう本能を持った人間どうしで、なぜ奪いあい殺しあうようなことが生じてしまうのか。そのことを徹底して悩み抜き、「争いのない生活」へ立ち戻り、それを鮮やかに実践してみせた西田天香(一燈園創設者、明治5〜昭和43)という人がありました。
気功協会設立当初の2000年に、長女たまが一燈園小学校に転入したご縁で天香さんのことを知り、その「無所有・無一物」のあり方は、気功協会を立ち上げる時の精神的バックボーンとなりました。貴重な技法も、場所やお金も、全てが私たちに托された預かりもの。それをどう全体のために生かすかということが、気功協会の非営利活動です。

 組織や集団というものは、素晴らしい目的や志を持っていたとしても、往々にして派閥や権威主義を育て、対立や争いを生み、個人の自由を奪い、特定の誰かの所有物のようになったり、独善的になりがちです。
 そんな芽がどこかにあったら、何のために気功をしているのかわからなくなってしまいます。
 禅密功の劉漢文先生は、「偉い先生などいない」「私たちは同じ自然を学ぶ生徒だ」「小学校の同級生のように交流しよう」と、よくおっしゃっていました。その、教えと学びが常に同居したスタイルが、「気功の学校」や「禅密の学校」に引き継がれ、それまで学んだ多種多様の気功や心身技法が、ひとつの流れにまとまっていきました。
 一燈園のあり方を暫定的に示した「光明祈願」という一文の中に、「別に一宗を立てず、単に一派に偏らず」というくだりがあります。これは気功協会の立ち位置ととても近いように思います。私たちは、人知を越えた、大いなる大自然の摂理のようなものを学ぼうとしていて、そこへの道程は先人が数多く示してくれています。  「天野気功にしたらどうか」と進言される方がありましたが、それでは根本から違ってしまいます。これは自分の技法、これは自分のお金、自分の領土、そうした「所有」という概念から争いが生じます。天香さんは「物そのものは本来誰のものでもない、全て全体のものである」と表現しましたが、気功もまさにそうで、誰のものでもありません。いつもニコニコしながら、十全に力を発揮し、健康に生きていく。そのための公共技術としてずっと育んできました。
 争いや葛藤に苛まれる生活は果たして健康と言えるでしょうか。そして、争わないように頑張ることもまた葛藤です。そこから離れていくやさしくてわかりやすい方法が気功の中にあります。

 世の中には、たくさんの障壁があるようにも見えますが、その壁を動かないものにしているのは、もしかしたら、私の中の頑なな気持ちなのかもしれません。
 心は、今この瞬間に変わることもできます。地球上で戦火の絶えない今、初心の「争いのない生活」に立ち返り、「心の平和」の自然な広がりを作っていきたいと思います。

npo-kikou.com

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