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ことばと絵本 「いじめ問題を考える」

ことばは心を形成する

子ども達はどれだけ「心のこもったことば」を聞いて育っているのだろう。

幼児期のことば掛けは大切だ。「ことばはしつけ」この言葉通り、子ども達の行動にも、ことばを通したしつけが大切になる。最近では「しつけ」と称して、我が子を薄汚いことばでののしる人がいる。また、肉体的苦痛を与える人もいる。これらを称して「幼児虐待」と言う。悲しいのは、これらの行為が「虐待」であることに気付かないことだ。幼児期はその人にとって最も愛される時期でもある。それは大人同士の愛とは違う。この両親からの愛を「無償の愛」と呼んでいる。愛の中でも、最も尊いものがこれだ。両親から思い切り愛された分だけ、人を多く愛することができる。しかし、両親から精神的、肉体的に傷つけられた子に、無償の愛は育たない。愛に多くの代償を求めるようになる。すると、自己中心的なものの考え方に及んでくる。

多くの子ども達と接してみて、彼らの殆どが真剣に自分と向き合ってくれる大人を欲している。その第一番目に両親がいる。中学生であっても、両親の愛情を欲している。それは、お金や物ではない、温かい両親の思いやりだ。私達の生活は便利になった。物も豊富にある。いや、あると錯覚している。生活が豊になることは心も豊かになると誰もが思っていた。しかし、それは違うと考えるようになってきた。

メディアの報道の中で違和感を感じた。「三人の友人にいじめられていた。」という、この表現に似たものを何度か見聞きした。いじめた人間を「友人」とは言わない。彼らにこころはあるのか。もし、それを失っているとしたら、その原因はなんなのか。

殺伐とした世の中で、更に、人と人との関わり方が苦手という若者が増えてきた。現代社会では、若者よりも、大人達が病んでいるのかもしれない。全国で公表されつつある「いじめ」被害の状況は、子ども達からの間違いなくSOSだ。彼らに対する指導や、その前の子育てから見直されなければならない。

私達は、幼児教育を行っている。だから幼児教室に入室すべきだという短絡的な事は全く考えていない。幼児教室も数多くある。子どもを自由にさせ、知的教育を行っている教室もある。私達の教室は、少し違う。「ことばのしつけ」として、当然、授業であるから座る姿勢にも指導がはいる。これを「塾的だ」と非難する方もいる。この20年ほど、自由な幼児教育が行われてきた。しかし、その結果はどうであったのか。子どもは、ことばを持った時から、同じように心を育んできた。そのことばの使い方を誰に指導すべきか、もう、お解りだろう。子どもにとって、ことばの先生は母親だ。男女平等であると言われるが、男は、こと子育てにおいて女性にはかなわない。だから、共に学ぶことが大切だと思う。

「いじめ」問題が急速に社会問題となっていく過程で、私は、自分達の教育の考え方、指導に対し、今まで以上の自信をもった。子どもの教育に必要なのは「ことば」と「こころ」の指導なのだと。必要とされる教育であること、私は誇りに思う。プリンスジュニアの先生方が行っていることばの教育、絵本読みを通して訴え掛けている。9月から、「ことばともじのセミナー」が始まる。幼稚園、保育園の先生方にも呼びかけると聞いた。是非、ご参加頂き、皆で子育てについてもう一度考えて行きたいと思う。まず、私達から!

2012/8/2


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川幸夫

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