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先取り教育の是非

「小学1年生からでは遅すぎる!?」

早いもので今日から7月、時の流れるのが早く、あっという間に上半期が終わってしまいました。下半期突入最初の仕事が女性誌の取材でした。非常に丁寧に対応される女性記者の方でできあがりが楽しみです。子ども達はまもなく夏休み、この長い休みの過ごし方で、お子さんの学習の立て直しを考えているご家庭もあるでしょう。それは小学生や中学生とは限りません。幼児もその対象です。では、学習とは、小学校から始めると皆さんはお考えですか。

子どもの発達で身体以上に急成長を遂げるのが脳です。スキャモンの成長曲線では、脳神経の発達が顕著に表されており、3歳でおよそ60%、6歳では80%の値を示しています。これは、脳神経の繋がりを意味しています。このことから、一般的に幼児教育では3歳までが大切と言われているのです。これは決して誇大広告ではなく、3歳頃までに、幼児はことばを覚えるという大切な時期であるという意味を含んでいるからです。人は、生まれてから直ぐに生きるための学習を開始します。

子ども達は学ぶことが好きです。幼児期は好奇心の塊です。その為、保護者の方々は上手に学ばせることが望まれます。無理矢理の学習は、学ぶことに嫌悪感を持つのでNGです。時間的にも長時間させるのではなく、その年齢にあった学習時間で行うべきでしょう。

子ども達は、満6歳から義務教育が始まります。あくまでも義務教育の開始です。ここから学習が始まるわけではありません。義務教育で使用される教科書、書かれているのは勿論ひらがなと漢字、数字、記号などです。たぶん、ひらがなと言えば「五十音表」を思い起こされるでしょう。しかし、実際は違います。

  • 清音 46文字(内、助詞「を」、撥音「ん」を含む)

  • 濁音 20文字  半濁音 5文字 拗音 21音  長音 44音

  • 他に 促音、拗長音、拗促音などがあります。

これらを考えると、幼児期にひらがなの読み学習は重要だと言えます。ひらがなが読めなければ、教科書に書かれている内容を読み取ることが出来ません。それが、学力遅滞の大きな原因になっています。そして、漢字学習も年長からスタートしてよいのではないかと思います。漢字学習を始める前には、ひらがなの書き順をしっかり学習してから臨んで下さい。ひらがなの筆順は、漢字の筆順の決まりとほぼ同じだからです。

小学1年生の配当漢字は80文字ですが、何度も申し上げているように、音読み・訓読み・送り仮名・筆順・画数・部首・熟語と覚えることが多く、早めの指導が必要です。これらは「先取り教育」と言われ嫌な印象を持ってしまいます。今は、ゆとり教育時代とは違い、教科書のページ数はかなり増えました。それを全て事細かく指導できているか、それは正直不安です。それこそゆとりを持って学習に臨む、それが出来なければ、学校の指導について行けません。先取り教育は、それが中学、高校となると進学の為当たり前のように行われています。疑問視することはありません。しかし、それが幼児となると、途端に否定的になります。学習することを非難されるのは幼児教育に集中しています。幼児には学ぶ力がないように見えるかも知れません。しかし、彼らは立派に学べます。難しい日本語を3年で覚える能力を持っています。先取り教育というより、本格的な学習の事前準備と言えるのではないでしょうか。多くの方々が、この夏から入学準備を開始します。最も大切な事前学習はことばです。そろそろ、教材の準備をされて下さい。

2013/7/1


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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