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聞いてくれる!? 話してくれる!?

「子どもとの会話」

一言添えることの大切さを

子どもと親の関係は、会社の上司と部下の関係によく似ています。円滑に業務が進んでいる会社ほど、上司と部下の関係は良く、仕事に対しての目的もより明確です。昨日も取り上げた日本シリーズの東北楽天イーグルスの試合を見ているとそれがよく分かります。誰がヒーローではなく、チームが一丸となって王者巨人に挑んでいました。一人が失敗してもそれをチームメイトがカバーする。そして日本一を勝ち取りました。途中降板し、一人責任を感じ涙する巨人の杉内投手とは対照的でした。一流選手が集まってはいても、個人の力はたかが知れています。それがチームワークという、目的を持ったチームとしての仕事のあり方でしょう。

子どもと親の関係も同じです。家庭に於いて新入社員である子どもの誕生は、嬉しくもあり、一人前に導くためには手もかかります。すると、いつしか親は自分の価値観を子どもに強要し始めます。いつの間にか、指示語や命令語が目立つようになります。また、自分の手間を考え、先に先にとことばをかけるようになります。例えばこの時期、急な温度変化があり、親はもう一枚着せようとします。しかし、暑いから嫌だと子どもが言い張ると、そこから口論となって行きます。子どもは大人よりも暑がりです。体温調節もまだ上手く機能していません。親は、自分の感覚から判断するのですが、既にそこには大人と子どもの感覚のずれが生じています。そこで、「今、寒くない?」の一言を添えてみます。「うん、大丈夫」と返してきたら「寒くなってきたら言ってね」と、ことばのキャッチボールができます。この場面では色々なことが考えられます。親の気遣い、感覚の共有、自然な会話、季節感等々、家庭という一生続くチームとして、この気遣いこそお互いが話しを聴くこと、話しができることの環境を温かく包んでくれるのです。まずは、直ぐに結論を言い支持するのではなく、一呼吸置いて、子どもの気持ちになり一言のことばを添えて下さい。

子育ては難しく、常に親として悩むことばかりです。それもそのはず、子ども達は幼いが故に、自分の気持ちを上手く処理できないのです。表現したくても自分の気持ちをことばに上手く表せません。親は、そんな未熟である我が子の気持を理解し、上手に処理できるように助けてあげましょう。親もなかなか気持の余裕など持てないかも知れませんが、一言添える努力をされて下さい。

良く私がすすめる「手伝い」は、子どもにとって大切な心の形成に繋がります。子どもが家庭内の仕事に協力をする。ここで大切なことは、親からの「感謝の気持ち」です。気持を込めて伝えられる「ありがとう」のことばは、人間の持つ本能(脳の持つ本能)を呼び起こしてくれます。それが「人の為になる行動」であり、そこから生まれる「心の喜び」です。昔の日本では、このような「心の教育」が各家庭で普通に行われていました。相手が子どもであっても、いや、子どもだからこそ、大人から「感謝の気持ち」を表す手本を見せてあげるべきなのです。

大人でさえ問題を起こします。子どもであればなおさらです。もし、我が子が友達と喧嘩などして悩んでいたら一緒に考えてあげましょう。どうしたいかを聞きながら、一緒に解決方法を考えてあげましょう。こうした、自然の会話、手伝い等を通し、常に話し合える場を作ること、それが家庭には必要です。すると、親が聞き出すまでもなく、子どもの方から自然に話してくれるようになります。社会全体がコミュニケーション不足です。それは、家庭内のコミュニケーション不足を表しています。そして、社会は人間の本能とは違う方向へと進んでいるように思います。何か気持の上で表現しにくい悩み、物足りなさ、不安、イライラを感じていませんか。それは、本来人間の持つ本能に逆らった生活をおくっているからではないでしょうか。人から感謝されたことはありますか。人に感謝したことはありますか。心からの笑顔で会話をしていますか。何故、いい話を聞くと心がほっとするのでしょうか。それは皆、人のことを思い始めているからです。それを望んでいるからで。まずは家庭から初めてみませんか。家族の笑顔、笑い声がこだまする家庭に!

2013/11/5


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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