見出し画像

鍛える時期がある

「感覚を鍛える」

昨日も述べたが、温故知新の言葉通り、書写学習の奥深さを改めて認識した。文字をなぞるところから始まる書写だが、なぞる為には其の準備段階がある。しかし、多くの指導は直ぐになぞりから始めてしまう。幼児から始まる教育を前提とする石川メソッドではあり得ない。全てに基礎というものがある。学ぶ事にも基礎がある。では学ぶための基礎とは何か。幼児期の子どもは皆この学ぶ基礎を初めから持っている。それが脳の本能だ。しかし、次第にその本能に異変が起こる。年齢が上がる毎に様々な環境、刺激により子どもの意識に変化が生じるからだ。そこには、比較・差別・劣等感などが子どもの周囲で渦を巻き始めるのだ。

子どもが、本能的に持っている向学心という心を失いかけた頃、保護者は高学年や中学生になった我が子の成績を見て先の人生を案じ始める。極小数の子ども達にはまだ残っている「やる気」を探しに塾へと通い始める。塾の表も裏も知っている私は、そこに「お客さん」と呼ばれる子ども達を数多く見てきた。いきたい学校ではなく、行ける学校を与えられ進学する。「教育は思考力の時代を迎えている」といっても、対象になる子ども達は極一部なのかもしれない。だから、人は鍛えられる内に鍛えるべきで、その時期を逃すと喜びや感想よりも、返って苦しさや辛さの方が増してしまうだろう。

素読学習は書かれている内容を理解する学習ではない。耳を鍛える学習だ。難しい言葉だからこそ、真剣に何度も聞かなければ脳が認識できない。今の時代のように便利な道具など存在しない。だから、自分の目と耳を鍛えた。聞くことが出来なければ学習できない。勿論、見ることも同様だ。見ること、聞くことを鍛えるには幼児期が最適であることを昔の人は知っていた。幼児期でしか鍛えられないことを知っていたのだろう。

脳の言語分野には、耳から、目から入ってきた言語刺激を理解する感覚性言語中枢がある。ここで内容を理解するのだが、この部位は、これら言語情報を文字に変換したり音声に変換はできない。運動性言語中枢に送られ文字や音声に変換する。こうした言語情報の流れを理解しておくと学習のあり方もこれに習う必要が出てくる。プロの指導者はこうした背景を考えている。言語情報がどのように入力され処理し出力されるか、ここに人間が学習する過程がありこれにそって指導をすることになる。ここに、指導者は、教科の理解だけでなく情報を受け取る感覚器官の発達に目を向ける必要が出てくる。情報は、主に目や耳だが、皮膚感覚も大切な情報であることを忘れてはならない。すると、フラッシュカードの指導法、書写の指導法、素読の指導法、その他教科の指導法に変化が生じてくるはずだ。こうして全てに意味のある指導法が存在することになる。これを裏付けという。その指導法を活かすには何が大切か、先人達は、脳科学などない時代に、学ぶ事の基礎を幼児期に置いていた。幼児期から学ぶための環境を整えておく、それは、子ども達が「学びたい」と願っていたからだと思う。それは何故か、周囲の人々が、幼い内から学び、立派に成人していく人生の手本を数多く見てきたからだろう。そこに、「知りたい」「仲間になりたい」という脳の本能が作り上げた学ぶ場所である寺子屋や塾・道場の存在があったはずだ。

現代っ子は過保護だ。寒い冬の朝、水で顔を洗う子ども達はどれだけいるだろう。部屋は暖かく、至れり尽くせりだ。こうした快適な生活が子どもの感覚器官の発達を妨げている。子どもの能力はこうした感覚器官の未発達に比例し身体と知性のバランスを大きく崩し始めている。脳は、様々な感覚から情報を集める。その情報がバランス良く入ってくれば良いのだが。何故、鍛えるのか、それは、赤ちゃんから成人までを考えれば一目瞭然だろう。人はこの時期に驚くほどの発達を遂げるからだ。芯のある人間、芯は後から入れるものではない。

幼児期の学習では、目を鍛えること、耳を鍛えること。「見る力」「聞く力」を養うことが大切だ。更に言語指導の一つとして「書く力」を上げておく。書写指導、素読指導はこれらに最も適した指導と言える。家庭では、保護者の読み聞かせが良い。勿論、適切な指導で書写や素読も家庭で十分出来る学習だ。

コメントで「右脳教育」についてのご質問がありました。ブログに大脳科学に関する記述がありますが、一度も右脳や左脳の話しは出ていません。つまり、脳は見た目で右脳と左脳と分かれていますが、今の脳科学では、右脳・左脳という大まかな分類ではなく、機能的に脳内の各部位分類され、その活動に注目が集まっています。科学は日々進化しています。その中でも脳科学はまだ歴史的に日が浅い科学と言えるでしょう。大まかな判断で決定できるほど脳は単純ではないと言えるのではないでしょうか。

2014/4/19


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

幼児教室・学習塾のキッズスクールアップル富ヶ谷
内容は公式HPへ

相談やお問い合わせ、無料体験教室の申し込みなど最新情報も受け取れる公式LINEアカウントも開設致しました!
ぜひお友だち登録して下さい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?