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教育のグローバル化

「低学年の英語指導について」保護者の方のコメントを読み、私も思うことがあり、自分なりの意見を述べさせて頂きます。

教育改革は驚くほどの勢いで進んでいきます。何故、そんなに先を急ぐのかと思うほど、安倍政権になって先を急ぐ政治となってしまいました。さて、今回の教育改革は英語力アップが中心となっています。また、同時に学習の低年齢化も併せて非常に特徴的な改革となっています。以前お話をしたように、英語力の無さは、会話ではなく受験英語として知識偏重の学習しかしてこなかったことにあります。文法と文法に沿った英訳・和訳の授業が、必要とされる英会話にとって役に立たないことは明白でした。受験制度の見直し、言語として英語をどのように扱うのかという視点が欠けていたように思います。

では、英語教育を義務教育の教科として、小学3年生から指導する事の効果はどれほどのものなのでしょうか。また、問題点はあるのでしょうか。英語をしっかりマスターするのであれば、幼児から耳を鍛え、ネイティブな英語を聞くことです。すると、今言われている小学3年生からという設定はどこから来たのか解りません。中途半端なスタートであることは言えるでしょう。しかし、ここで最も大切な事を忘れています。母国語である日本語の習得です。英語だけを見れば幼児から積極的に英語環境を整えてあげれば良いのでしょう。しかし、前提があるはずです。人間にとって母国語の習得は、言語習得の中で最優先されるべきものです。何故ならば、母国語がベースとなり、多言語の習得が出来るからです。母国語は心の形成の核となるものです。そして、思考の源となるものです。この「心」と「思考」を無視した言語習得はあり得ません。私はそう思います。

帰国子女の方が帰国されてから学力面で苦労されるという話を良く耳にします。まるで都市伝説化している話ですが、その背景には、思考途中の言語選択にあると聞きました。本来母国語で考える所を外国語に入れ替わり、脳が一時思考停止状態になるというものです。言語は心の核となると言いました。その為、およそ3歳までの期間は母国語理解の基礎が形成されるので、言語環境は母国語、つまり日本人であれば日本語の言語環境を整えるべきです。その後は、語彙数を増やし(名詞形だけでなく、動詞・形容詞・形容動詞・助詞・副詞・接続詞等)、表現方法を学びます。語彙数の基礎は6歳までに整えておくべきです。

こうして、人間形成の土台となる言語習得(母国語の)は幼児期に終了します。母国語の習得は保護者として大切な責任となります。では、英語の習得はどうするのかになるのですが、耳を鍛えることが大切だと申し上げました。3歳以降、音楽やCDなどを聴かせることから始めます。これは絶対音感と同じで聴くことが出来れば、それは脳が音。つまり英語音を認識したことになります。母国語をしっかりマスターし、その後、毎日、一定時間の英語視聴で効果は出てきます。欲を言えば、週に1~2回、ネイティブの発音をされる方の実際の音・声を聞き、コミュニケーションを取られると良いでしょう。

学校では、どれだけネイティブな発音を聴く機会を子ども達に与えられるかで指導評価が分かれるでしょう。言語は日常的に自然な形で入ることが望ましく、その環境を学校で築けるか真価が問われます。しかし、それは、母国語である日本語の習得なしにはあり得ません。母国語を軽視してはいけません。今の子ども達を見ていると、極端な語彙数の低下が思考力を低下させていることは明らかです。母国語の乱れを補うことなく外国語の習得はこれまたあり得ないでしょう。最も大切にすべきは、子どもの人間的成長です。心の成長です。そして、物事をしっかり捉え考える思考力をつけることにあります。これを前提に、外国語である英語をマスターさせることではないでしょうか。

外国語、とりわけ英語を話せることが国際感覚ではありません。人とのコミュニケーション能力、自国の事を良く理解している認識力、諸外国の状態を理解している観察力、吸収力、そして、自己主張も併せて持っていなければ国際感覚は持てません。

これはあくまでも私の主観です。

2013/12/14


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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