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数指導 何が大切?

「低下傾向にある算数」

算数の学力低下が叫ばれ初めて久しく時がたっています。学力低下に至った原因を追及するのに、算数の教科だけしか見ていると、問題の本質は探れません。算数の学力低下は国語力の低下が真っ先に上げられますが、本質を探っていくと国語力プラス生活経験のなさが浮き彫りされます。この分野は、私たちの幼児教育では「ちえ領域」に入ります。幼児教育で多くの知識を得ても、実際の場面でそれらをどう活用するかが重要で、生活の中から幾つもの場面が浮かび上がってきます。

算数指導では様々な生活場面から考えさせることが多く、それが幼児教育の数指導として大きな特徴となっています。それは極自然のことで、生活の中にある、より具体的な物事の仕組みが理解できなければ、その後登場する抽象的な数の学習を積み上げていくことは出来ません。

昨日の「遊び」の重要性と共に、日常体験から学ぶことは多く、20年前ほど前、幼児教室では、その体験を活かし抽象化へ向けた数指導を行っていました。今は、それが次第に難しくなっています。子ども達には必要な知識が少なく(場合によっては、ほぼ0に近いことも)、不必要な知識が先行しすぎているように思います。

体験、経験は感覚的な記憶と、具体的行動に伴う「ことば」を子ども達に与えてくれます。それは名詞ではなく数多くの動詞です。足す・加える・合わせる・まとめる・いっしょにする・もらう・ふえる・引く・とる・へる・食べる・かくす・だす・切る・すてる・あげる・わける・くばる等、これらのことばは数指導には欠かせません。これをプリントで指導することほど、教師にとって悲しいことはありません。なぜなら、具体的な経験体験から生じたことばは、数指導という場で抽象的な記号や式に変化していくからです。足す、増える、貰う等が「+」という記号一つにまとまられていくからです。

子ども達に対して、当たり前の経験をさせられなくなってきたことをまず私たちは反省すべきです。また、数を数えられない子ども達も増加しています。それも小学生です。基本的な知識は大切です。しかし、幼児期に何が必要なのかもう一度考えるべきでしょう。一つの動作からうまれたことば、同じようなことばが集まり、記号として一つにまとまる。体験を通して記憶されたことばは、記号として新たな抽象化の道をたどり記憶されていく、学ぶことによって起こる記憶の化学変化が思考です。記憶は次の思考を促すものでなければなりません。考え悩むことで、新たな変化が生まれます。

算数で必要なことばは、昨日の「遊び」を通して沢山得られます。お父さん方もお子さんと沢山遊んであげてください。じゃんけんをしてお菓子を分け合ったり、一緒にガラスふきをしたり、子どもは、話しながら一緒になって遊んでくれることを(家のお手伝いも)大変喜びます。家族で一緒に、観光地や遊園地に行くだけが遊びではありません。さあ!お子さんと遊びましょう!

2013/9/28


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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