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子ども達の現状

「低学力対策」

これまで、思考力重視に移行している教育界の問題点として知識偏重を上げました。この視点は分類すれば成績の4~5段階の子ども達に当てはまります。彼らが更に学力を伸ばす考え方を主にお話ししてきました。現在の環境を考えると、教育も一元管理などできる状態ではありません。今後、最も重要になってくる学力向上の対象は、成績中位の子ども達、そして低学力の子ども達です。そして、その対策です。

低学力だから、思考力の指導をしなくても良いとはいう事ではありません。むしろ、気づいた時点から思考力を高める指導が必要です。それは、本人の問題意識の目覚めに通じるからです。低学力に悩む子ども達への対策は、現在、より困難な状況に追い込まれていると言えます。それは、指導者も保護者側も、そして、子ども達自身も学習に対する前向きな考え方を失っているからです。それには長引く不況という、社会全体を包んできた閉塞感があります。勿論、政権交代で多少の期待はあるのですが、現実そう甘くはありません。もう一つの原因が以前の指導要領の影響です。「ゆとり教育」の弊害は、子ども達だけに現れているのではありません。ぬるま湯に浸かっていたのは私たち指導者側も同じなのです。およそ20年近く続いた教育停滞は、おいそれと修復は出来ません。私たち自身の意識改革が必要なのです。

今まで、対象としてきた成績上位の子ども達と比較し、下位から中位の子ども達の状況は一変します。まず圧倒的な語彙数と知識のなさが成績の差となって現れています。それも、学習面の知識が少なく、30年前の子ども達にはあった生活・社会経験や体験も少ないのです。また、学習意欲に関しても、それを語る以前の問題が山積しています。いわゆる緊張感のなさが蔓延しているのです。

また、学習とは直接関係はないのですが、感情的に怒られる経験はあっても、真剣に叱られた経験が無いことも共通しています。以前、自主勉強にきた中学生が途中遊んでいたことを叱ったことがあります。私たちはその子専用にプリントを用意し、指導もしました。ところが、目を離したとたん遊び始めたのです。他の授業妨害もしました。その後、叱られた事がショックで家に帰り泣きながらトイレに入り出てこないと母親から電話が入りました。「うちの子に何を言ったんですか。」実は、叱った事を非難されたのはこれが初めてではありませんでした。これでは、生徒を指導する以前の問題で、私たちの指導の限界を超えています。

このように、学力差だけでなく、今の子ども達は多くの問題を抱えています。学習の基礎は当然ながら出来ていません。そして、生活習慣の乱れが学力低下を更に拍車を掛けることになります。この状態が中学生まで放って置かれた子ども達、彼らはどうにか入れる高校へと進学します。高校の中途退学者が多いことも頷けるのではないでしょうか。高校もほぼ全入時代を迎えています。それだけに向学心や向上心がなければ学習意欲を論じる事さえ難しい状態です。

このような現状から、家庭も、保護者も、指導者も、そして子ども達自身も脱皮しなければなりません。子どもは誰の責任と押しつける訳にはいきません。人生の最終責任者は自分自身だからです。

2013/9/7


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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