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広がる二極化の嵐

「格差の拡大」個人主観

学力格差は、教育現場において実感することができる。学校では同学年でも先生の能力差で大きな学力差が生まれている。この問題は、今始まったことではない。人は二人いれば能力差は必ず出るものだ。ただ、両者の能力差が極端でなければよいが、現状では、指導力を疑う教師も出てきている。保護者から相談を受けた一つのケースに、以前にも取り上げたが、授業の大半が好きな野球の話で、あとは雑談が中心という小学校教諭の問題があった。当然、他のクラスと進度が大幅に遅れた。注意をしても効果がなく、教頭や校長が授業を代講する場合もあったという。このケース学校も教育委員会も適切な処置をとっていない。結果、子どもの学習遅滞は我々民間教育が補う結果になった。このケースのように、いわゆる「塾任せ」がまかり通っている学校もある。一つの背景として、学習内容の大幅増から、積み残し授業が目立つようになり、指導時間が足りないので宿題に回すこととになる。負担は家庭、そして子ども達に重くのしかかる。よほど家庭学習を徹底しているか、塾で事前に学習している子か、何もしていない子との格差がこうして広がっていく。

大切な基礎学習を学ぶ時期である小学1年生~3年生、この基礎学力をマスターすることができない子ども達の学力は低下する。一方、民間教育も、基礎学力は小学校任せであった。高学年から指導を行う場合が多い民間教育では、基礎学力を指導するスキルを持っていないところが多い。かけ算をどのように指導するのか、それ以前の足し算をどう指導すべきかを知らない。既に、学力格差は負の連鎖と化している。

私は、ゆとり教育の次に来る「学習の負の連鎖」を恐れている。基礎教育の大切さと指導スキルを持った教師が少ないことに大きな不安を持っているからだ。教師にも、自己研鑽に励む人と、そうでない人では大きな指導力格差を生んでいる。中には、基礎教育を「簡単な問題」と単純評価する人たちがいる。公教育でも民間教育でも、基礎教育に対する理解不足は、子ども達に多くの苦痛を与えることになるだろう。

テストは、子ども達の理解力を判断するためのものと、教師の指導力をみるものの二面性を持っている。その為にも、テスト結果は非常に重要なデータとなる。

子ども達が学ぶ以前の二極化現象は、更に指導を受ける子ども達に大きな影響を与える。すると、成績の良し悪しの評価は子ども自身が負うことになる。それも点数でしか我が子を評価できない保護者であったなら、子どもはどこに救いを求めていけば良いのだろうか。まさしく、家庭環境というものにも二極化が現れていると考えるのが当然かも知れない。

今年に入り、講師のスキルアップを願う先生方が目立ち始めてきた。また、基礎教育という、教育の原点に戻ろうという意見が多く聞かれるようになってきた。岡山M塾のM先生は、基礎教育の重要性を理解されているだけにかなりの危機感を感じられているのだろう。これからは、更に、食品添加物の危険性、ゆとり教育で育てられた先生達の増加、放射能汚染(農産物から飲料水まで)、TPP導入から遺伝子組み換え食品の大幅増加等々、教育だけでなく子ども達に影響がある諸問題が数多く出てくる。それらに、私たち大人は鋭い視線を送って行かなければならない。子ども達の未来がかかっている。民間教育という立場で、私たちの存在意義が問われてくる。

保護者の方々も、家庭教育の見直しをしていただきたい。学習習慣、食育、家庭力、子ども達を守る為に、また、心身の成長を促すにも、家庭環境の充実が大切だと思う。二極化の嵐は、今後更に激しさを増していくと思われる。

2013/5/26


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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