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「数・算数・数学指導を考える」

子ども達の理解力に差が出始めています。その原因は、学習の過疎化です。ゆとり教育時代から次第に表面化してきたのが学力の二極化です。「ゆとり」ということばから、「無理して学習しなくても」という意識を持つ人達(子ども本人、保護者、教師、学校、社会)が増加しました。すると、学習は疎かになり、学習内容の定着も不確かなものとなっていきました。このような意識低下は直ぐに軌道修正はできません。それどころか、小中髙生に学習の躓きが沢山見つかるようになってきました。見えない学力である「概念形成」に危険信号が灯っています。

子ども達の躓きは、足し算・引き算・かけ算・割り算という基礎計算から始まっています。そして、逆算・分数・小数・概数・換算・割合と範囲が広がっていきます。この状態は当然のこととして中学生、そして高校生までに広がっています。なぜなら、それぞれの学習内容について大切な「概念」が未定着だからです。「概念」とは事物の本質を捉える思考の形式です。学習の本質を捉えていない場合、その先の応用には至りません。概念指導はしっかりされたのか、されていたとして学ぶ意識が足りなかったのか、この結果は、学力の二極化として現実になっています。「落ちこぼれ」の再燃かとささやかれ始めていますが、既にそれはゆとり時代から始まっています。ただ、深刻なのは、新指導要領の下、教育内容の高度化、学習量の増加が始まっていることです。

私たちは、数指導に「タイル」を使用しています。数・算数指導は、「論理数学的知性」を育むものです。その為、論理的な指導体系が組まれたタイル指導は最も適した数・算数指導だと考えられます。数字練習帳・タイルさんすう(幼児算数のオリジナルテキスト)で学ばれた保護者の方々から「数字指導に入るのにここまで基礎を行うのか!と驚きでした。数字の扱いを簡単に考えていました。」とコメントを寄せられました。仰ると通りで、概念を指導するには、論理的系統性と指導力が必要です。数字指導までの長い道のりには大切な指導が含まれています。「置き換え」という指導です。これからの算数・数学学習に必ず出てくる概念です。この「置き換え」の指導、私たちの指導では様々な所で行われています。「☆=いち=□=1、☆は、いちと読み、タイルの□と同じで、1と書きます」、また、5のタイル指導がそれです。具体から半抽象、そして抽象へと導きます。こうして、タイルを使った概念形成が行われ、それぞれの問題を指導していきます。

図にあるように、加減乗除、それぞれタイル表記に特徴があります。それ自体、多用な考え方があることや、大切な概念も示しています。タイルは、そのままテープ図、発展して数直線へと受け継がれていきます。これから、思考力が問われてきます。知識だけでは思考力は育ちません。概念という本質を理解しない限り、次のステップには進めません。

多岐にわたる躓きの範囲から、早めの対策が必要です。幼児期の学習でタイルへの導入が終わっている場合、ここまでの過程で「置き換え」の考え方が随所に出てきています。概念と思考は切り離して考えることはできません。タイルを使用した数・算数指導は、こうした概念形成が自らの操作を含めて自然の形で行われています。面倒くさがらず行うことが大切です。これらを総合すると、幼児期の指導が如何に大切か見えてくるはずです。思考力は、こうして概念指導と共に、数指導とことばの学習で形を成していきます。幾つもの考え方や捉え方がある、そんな四季の概念、動植物の概念、時間的概念などを「知恵」の部分が受け持ちます。躓きは、子ども達の見えない学力です。一見して気付かず見過ごしてしまいます。経済的に許せる範囲であれば、幼児教育から基礎をしっかり学んで下さい。また、小学生でも、いまから躓きの確認をして早い内に対策をしておきましょう。

2013/10/4


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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