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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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2023年9月の記事一覧

幼児の算数、幼児の国語

「年長児の義務教育化で何が変わる」 「幼保の年長児に、小学1年生の国語と算数指導を」というニュースに、様々な方から御質問やご相談を受けました。また、コメントも寄せられました。これからの審議によるかと思いますが、導入が決定されると、教育界の底辺からの改定ですから大きな影響が出てくるのは必至です。幼保の年長に対し、公的に行われる小学校の教科対象となる国語、算数の指導ですから、小学校受験も大きく影響を及ぼすことは避けられません。ただ、現在、対象児童の全員が幼保に通っているわけでは

考えない子ども達

「算数の問題で…」 多くの小学生が躓く問題があります。それは、「距離・速さ・時間」・「割合」・「比例・反比例」「単位換算」などです。その中でも、「距離・速さ・時間」に関係する問題と、「割合」では相当手こずっているようです。算数では、よく計算の重要性が叫ばれます。それは、その後出てくる多くの問題を解く際に必要な学習だからです。計算ができなければ答えを導くことはかなり難しいでしょう。だから、計算練習が多くなるのです。ただ、計算問題ばかり練習しても、算数を理解したとは言えません。

15秒で完結する指導 ②

「聞く指導と見る指導を」 学力新時代に入り、学習の進め方の中で「フラッシュカード」に注目が集まり始めています。聞くことができない子ども達の増加は、居行く現場に於いて、学習指導の難しさと直結しています。思考を高める教育が柱である新指導要領ですが、残念なことに、子ども達が、思考に辿りつくまでの語彙数と基礎知識が不足しているようです。そこで、注目を集めた指導が「フラッシュカード」です。 長岡の保育園でも、新たな試みのカード授業を模索し始めています。0歳の子ども達から年長の子ども

使いこなす

「生活力向上を!」 先生の話や、説明を聞くことが出来ない子ども達が増加していると、教育現場簿の先生方は口を揃えて仰います。同じく、授業中、先生や黒板の方を見ない子ども達もぞうかしてと。こうした事を背景に、共通するのが「指導しづらい子」の増加です。 改めて、基礎教育で指導すべき内容を精査すべき時代に入りました。社会に於いては、科学の進歩による情報伝達の超高速デジタル化がもたらす影響が出始めています。情報過多による人間の持つ情報処理能力を遙かに超え、情報の選択能力と共に判断力

15秒で完結する指導

「再考:フラッシュカード」集中力・記憶力・見る教育・聞く教育 今月初め、新潟長岡にある保育園へ、先生方の指導で尋ねたことは既にご報告しました。これからの幼稚園、保育園では、言語と数の指導が基本となる幼児教育の導入が検討されています。教育の低年齢化は、幼児の成長発達を語る場合に、多くの方々が参考にされる「スキャモンの発達・成長曲線」があります。脳の成長、神経の発達は、生後、両親や兄弟から数多くの知的刺激(聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚・固有感覚・前庭感覚から)を受け成長、発達し

見る絵と聞く絵

「幼児の絵は…」 殆どの学校が今日から夏休みに入ります。子ども達には、これまでは水の事故に注意を促していましたが、それ以外の注意喚起が必要になってきました。岡山で起きた女児行方不明事件から、我が国でも諸外国並みの登下校の管理を強化する必要が出てきたようです。我が国の安全神話がこのまま次第に崩れていくのでしょうか。 今回は、幼児の絵について再び述べさせて頂きます。幼児が描く最初の絵は、殆どが何を描いているのかわかりません。スクリーブル(殴り書き)が始まる1歳~3歳は、言葉の

考えること

「質問の反芻(はんすう=繰り返す)」 授業中に生徒達に向けて行う質問、投げかけられた生徒の反応がそれぞれ違います。ある生徒は即答し、ある生徒は首を傾げます。そんな中に、私の質問を何度も繰り返し声に出す子がいます。  先生:「この計算はどこから始めますか?」  生徒:「この計算はどこから始めますか。」     「この計算はどこから始めますか。」     「うぅーん、えーと、この計算はどこから始めますか。」 質問を繰り返しながら、問題に取り組みます。最近、このように問

教え子の将来 独り言

「まさかの…」 このブログは、できる限り政治色を廃して書こうと決めていた。しかし、どうしても書く必要が出てくることに、別の不安が出てきた。私は、今まで数多くの生徒の指導をさせて頂いた。昨日も、姉妹で赤ちゃんを連れ尋ねて来てくれた。教え子の将来については、自分の元を離れたと言っても心配だ。2年ほど前、教え子から大学進学の相談を受けた。医学系を目指す教え子は、国立校の2校を選択したが、最終的方向で悩んでいた。様々な問題もあることから、最終的に防衛大を薦めた。その後、彼の持つ人間

子どもの貧困 16.3%

「この現状をどう考えるか」 厚生労働省が昨日、2013年「国民生活基礎調査」を発表した。安倍政権が声高に叫ぶアベノミクスとは反対に、「相対性貧困率」(お金の面で普通の暮らしが難しい人の割合)が過去最悪だった2009年より0.1ポイント悪化した。その中で、17歳以下の子どもの貧困率は、何と前回を0.6ポイント上回り,16.3%に達した。これは、全体の貧困率を初めて上回ったことになる。我が国の子どもは、6人に1人が貧困で苦しんでいることになる。この結果は、調査を開始した昭和60

読み聞かせ

「地獄と極楽」 子ども達への読み聞かせは、言語教育として国語指導の基礎になると言われています。文科省が考えている年長児教育に、こうした幼児期の言語指導の重要性を評価、認識して頂いた事は教育界にとって大きな進歩だと思います。 幼児期の子ども達は、大脳の発達を示すように言語領域の活動がより活発になります。ことばの投げかけは、ことばに興味を示すことに通じ、更にことばを欲するようになって来ます。乳幼児のことばがけが、次のことばの獲得を促すのです。こうしたことばのコミュニケーション

幼児に小1学習内容 文科省方針

「平仮名の読み書き、足し算、引き算の計算が」 10年に1度改定される学習指導要領に、大きな変化があるかも知れません。今まで何度か話題となっている、教育の低年齢化が始まりそうです。文部科学省は時期指導要領改訂で、現行の小学1年生の学習内容の一部を、幼保の教育・保育内容に移行させる検討を始めました。幼稚園や保育園から小学校に上がる際、教育内容が円滑に接続できることや、質の高い幼児教育が将来に好結果を及ぼすという研究成果から、この方針に踏み切ったと思われます。文科省の諮問機関であ

子どもの学習履歴

「学習の積み残し」 学年が上がる毎に増してくるのが学習内容の積み残しです。この積み残しが最も顕著に表れるのが、国語では漢字であり、算数では計算です。このどちらにも共通するのが、「演習量」です。つまり、ある程度の量を繰り返し行うという、子ども達にとって家庭学習の積み重ねが問われます。このブログで何度か申し上げたように、例えば1年生の漢字は80文字です。何でこれだけの数を覚えられないのか?と疑問に思う保護者は意外にも多く、表面的な数字でごまかされます。漢字を分析すれば、音読み・

子どもを勇気づけることば

「こどもが望むことば」 私は野球が好きで、少年野球チームに我が子を入れていた。三男は、幼児の時から硬球を握っていた。少年野球のチームは、お父さんがコーチや監督をすることが多い。自分の子どもを贔屓してしまうコーチもいる。人間的に信頼出来るコーチや監督に出会う機会は少ないと聞いていた。息子は恵まれていたのかも知れない。小学生チームのとき素晴らしいコーチと監督に出会った。 ある試合の時、息子は5回までのピッチングを託された。華奢な体つきで体力が無い、ただ、コントロールが良いので

宿題の増加 家庭に丸投げか?

「悪い癖がつく宿題の処理→ケアレスミスの増加」 「アァー疲れた!」最近多くなってきた言葉が教室に響きます。「面倒くさい!」「疲れる!」は子ども達がよく使う定番のことばです。たぶん、大人が多く使っているのでしょう。それにしても、「疲れた!」は多すぎます。予想はついていました。宿題の量が夏休み前になり、今まで以上に増えているのです。以前と違い、増量された教科書の問題量は、「家庭学習に回さなければ消化できない。」と現場の先生方は嘆きます。極端から極端に変更される教育指針は、現場に