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プライスレス・ダリア

花の魅力って何?。唐突に何?。なんだけれど。
花の魅力ってきれいだからぐらいの言葉で片付けているような気がする。
そもそもきれいとは言っても宝飾品や美術品のように不変性がない。
生花に至ってはほんのわずかの命。
タンスの中にしまっておいて、たまに取り出して悦に入るなんてことはできない。
つまり、花には資産的な価値はない。
とは言っても。市場では金銭でやり取りされているわけだし、実際私たちは花をお金出して花を買う。
食べることも、タンスにしまっておくこともできないものできないもの。
日々の生活に何か役に立つかと言えば、頭の中に?マークが並ぶだけ。
だから、なくてもいいかと言えば、そうでもない。
いや、なくてもいいかな?。
でも、あれば、ないよりは心がちょっとふわふわいい心地になる。
そんな言葉で言い表せない微妙な感情をもたらす。
誕生日とか退職のお祝いの花束。
開店や公演のお祝いのアレンジ。
どうして喜ばれるのかな?。
どうして贈るのかな?。
ただきれいということ以外に価値がないものを贈る。
きれいということ以外に価値がないものにお金を投じてくれるという行為にかけがえのない感情を湧き起こすのかも。
これこそ花の存在意義みたいなもの。

そんな前置きから、今回の花へと入っていきましょう。
たくさんある切り花の中でひときわ目立つ花。
人目をひく花。
でもそれは奇抜というニュアンスではなくて。
美しさの王道の基準の座標軸の線上にあるのです。
バラ、チューリップ、ラナンキュラス。。。超主役級の花々はあるんだけれど、これらの花を脇にやってしまうほどの存在感。
それはダリアという花です。
店先に並んだダリアはまさしく主役。
大輪のダリアは一輪だけでも他の花を圧倒する力を持ってます。
魅力はその他にもあります。
ポンポン咲き、ボール咲き、スイレン咲き、フリル咲き等々、形状がたくさんあること。
そして色も多彩で複色も多いのでバリエーションが豊富です。
ダリアの産地は山形の置賜の川西ダリアが有名ですが、最近では秋田のNAMAHAGEというブランドで展開されているダリアが台頭してしてきています。
さあ、こんな魅力満載のダリア、何気に花屋さんで見かける機会が少ないと思いませんか?。
花の旬が短いから?。
そういうことはありません、一年を通して流通しています。
実は、切り花のダリアという花には致命的なデメリットがあるんです。
花が持たないというデメリットです。
冬など気温が低い時期は一週間ぐらいは持つのですが、夏場は美しい本来の姿を維持しているの数日、大輪のダリアなどは一日で劣化が見られます。
ダリアの花持ちは品種によっても前後しますが、他の切り花に比べて特に際立って悪い印象があります。
それにプラスして値段が高い!。
日持ちがしないのに値段が高い。
コスパ面から見ると最悪の商品です。
だから、商品として扱うものとしてはリスクが高く、なかなか手を出しにくいものなんです。
そんなこともあってダリアを店頭に置く花屋さんが多くないという事情があります。
それでも、花の持ちが歩くても高値で流通しているのは、花の持ちという要因を上回るものがあるわけですね。
ここで最初に話した花の価値に戻ります。
きれいということ以外に価値がないことが花の存在意義。
そんな話でした。
数ある花の中でダリアはまさにこれを体現している代表選手のようなものだとは思いませんか?。
コスパ面から見たら極度に劣る花。
でもそのデメリットが最高の強みになっている。
人の価値観というものは不思議なものですね。
花が好きな人でもふだんはなかなか手が出せないダリア。
でも特別な気分の時にはとっておきの場所に位置するダリア。
まさにプライスレスの花なんですよね、ダリアって。

最後に余談?なのです。
ここまで切り花のダリアの話をしてきたわけですが、これから秋が深まってくると、庭などで咲く皇帝ダリアの勇姿を見かける季節を迎えます。
5メートルぐらいの見上げるような位置に咲くピンク色の見事な花姿は目を引きます。
季節季節を彩ったたくさんの花も終焉を迎える頃、今年の花暦の大団円を飾るような花。
こちらのダリアも見逃せませんよ。

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