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素敵なボタニカルライフとマウント取り合う映え

花屋近辺で交わされる抽象的な言葉。
曖昧でぼんやりした言葉。
フローリスト、素敵、カラフル。。。等々の入門編的な言葉。
そこからちょっとステップアップするとスタイリッシュ、和モダン、ニュアンスカラー。。。こんな言葉も使いたくなってウズウズしてまいります。
そんなお業界の変遷を抽象的曖昧な言葉で負けずに応じていきましょう。
花屋っていう「業界」にも、様々な潮流、「トレンド」がそれぞれの時代に存在しました。
大昔のことは知らないし、花屋の大河ドラマを狙ってるわけでないので知ってることを浅ーく書き残すぐらいの趣旨でいきます。
では始めます。
きっと日本の花屋ってもともとは宗教的行事に寄生して食い扶持を維持してたビジネスなんだと思う。
お墓まいりとかお葬式の花を商材として成り立ってた。
そこにウェディングとかの仕事も加わって、「メモリアル」オンリーから「セレブレート」な要素も感じられるようになってきたのではないのかなあ?。
お葬式や法事の時に必要とされる花屋に誕生日や入学や結婚記念日の時にも花屋が必要とされるようになった。
「供える」という用途に「贈る」という用途も加わった。
さらに暇でお金を持ってる人たちが増えて自分のために花を買って「飾る」という人たちも増えてきた。
このニーズがピークに達したのはいわゆるバブルの時代。
テレビや映画で見たような外国(西洋)の日常の風景。
部屋に飾られた豪華な花や恋人間で交わされるブーケ。
憧れの風景の中に自分も一度は立って見たい。
そういう漠然としたニーズに花屋はブレイクした。
ここら辺から花屋はフローリストになり、日本語の「花なんとか」という屋号から「フルールなんとか」というショップネームに変わっていった。
切り花という商材に加えて外売り場、園芸というジャンルにもバブルは影響与えたんだ。
錦鯉が泳ぐ池を配した日本庭園が富の象徴だったりしてたし、庶民は芝生が青々と茂った庭を持つことが幸福の到達点みたいなのがお金を持つことで概念が一掃された。
イングリッシュガーデンみたいなのが入ってきて日本の高温多湿には全然適してない植物が高価で市場に出回るようになってきた。
このイギリス礼賛の花々は切り花としても市場を席巻した。
赤バラにかすみ草からイングリッシュフラワーのナチュラルなブーケ??みたいなことになってきた。
豊かさが求める欲は「ゴージャス」から「ナチュラル」に移ってきたのもこの辺なのかな。
初めはなかなか手に入らなかった「ナチュラル」なイングリッシュフラワーが日本でも栽培されるようになり値段もちょい安価になったり、ホームセンターなんて巨大なお店が需要に応えるようになってきて、憧れの対象みたいなオーラも徐々に失せてきた。
そうなってくると消費者自身で思い描く自分と他者の差別化で優越感覚えるために「ナチュラル」的な概念を逸脱する商材求められ始める。
成熟した市場に「個性」というキーワードが現れてきます。
オーストラリアや南アフリカなど南半球の国々原産の植物。
ワイルドフラワーと言葉でカテゴライズされて登場。
最初の頃は新し物好きの目を引くニッチな商材だったのですが、ドライフワーの素材になる点でクリスマスシーズンのドアスワッグの素材としてブレイク。今現在もワイルドフラワーの人気は現在進行形で続行中。
もう一つ似たような感じで多肉植物ってのも一時すごい人気ありましたね?。今もその人気は続いてるのかな?。
こっちはたくさんの品種があるので、カテゴライズ大好き、コレクション大好きなおっさん達も食いつきました。
おっさん達が出てくることで「cool」って概念も加わってきたのじゃないでしょうか?。
多肉植物という商材は観葉植物というジャンルから派生してきたのかなとも思う。
日本的建築から集合住宅の無機質な個室に人々の生活は移っていく。
その空間に自然の曲線やら色合いを添える植物としてテーブルやクローゼットや椅子と同じような扱いでいっときはガンガンに売れまくってた観葉植物。しばらくすると観葉植物は家具とは違うってわかるんだよね。
育つし、死ぬ。
殺さないためにはちゃんと管理しなくちゃいけないし。
育ったら育ったで手に負えない繁茂の仕方する。
めんどくさい!!ってなる。
もちろんそうじゃない人もたくさんいるのはわかってるんだけど。
そんな観葉植物を持て余している人の前に部屋の風景を根こそぎ変えるような存在感はないけれど、ちょっと目を引くし手間が楽、そんな多肉植物現れた。
そして、それが人の心を掴んだわけだ。
補足ですが、禍のおかげでwebで会議したり飲み会やったりが着々普及してますね。自分の部屋が外に向かって公開される時代。
ここでね、ちょっと雰囲気出すために観葉植物が見直されています。
ま、これはトレンドになるほどの動きじゃないけれど、何がどこでどうなるかなんて誰にもわからないですねー。
ワイルドフラワーや多肉植物的な「個性的」と括られるジャンルには毎シーズン色々な商材が投入され、もはや何がトレンド?なんて問いもできないような状況です。
ただ、なんとなく感じるのは、ちょっと前までは花屋でものを購入される方々は「素敵」を求めていたと思うんですが、現在は「かわいい」を求めていらっしゃるようなそんな気がします。
これって単純に購買される方の世代を言ってるわけではありません。
お金と暇がある人々とお金はあるけど暇があるわけではない人々の違いみたいな。。。
どっちにしても花にお金落とそうとする人はお金に苦しんでいるわけではないので同じって言えば同じですから。
かわいいを求める人とは、家事や育児に時間取られて、たくさんの花生けて水を毎日替えたり、庭に花を植えて水やり、そんな時間はありません。
「素敵」な花のある豊かさより、生活の場にちょっと「かわいい」があって癒されたい、そんな小さな幸せを求める人々といったところでしょうか。
さらにその「かわいい」を共有してマウントを取り合う SNS。
世界から流れる情報というものは、今時、雑誌とかテレビなんかのメディアなんて前時代的になってしまって、 SNSやネットサービスで得るというのが主流。
「かわいい」という概念も「映え」という気持ち悪い言葉に乗ってどんどん拡散されていきます。
花屋の商材なんてこの「映え」の格好の標的になるわけで、ここ数年で今までなんでこれが?というものに需要が集まってきてます。
まずここでも何度か出てきていますが、ドアスワッグ。
これはドライフラワーをちょこっと束ねてリボンつけて逆さに吊るしてドアや部屋に飾るってだけのもの。
これがクリスマスシーズンには大人気。
クリスマスリース作るのはめんどくさそうだし、ポインセチアはすぐ枯れるし、ドアスワッグは自分でも簡単にできるし、いつまでも持つし、リボンをお正月仕様ヌすればお正月飾りにもなるよ。
こんな感じで12月にはドアスワッグの連呼です。
次はミモザ。
こちらは普通にかわいいので昔から人気なのですが、「映え」のSNSで今まで花なんかに興味もなかった人々がおしゃれなカフェのワンプレートの写真を拡散するみたいにミモザの魅力を拡散してくれたおかげで、相場は高騰。
「ミモザありますか?」の質問に「ありますよ」という返事ができない日々がやってくるとはねー!!みたいなことになってきてます。
次にドウダンツツジですね。
これは特に花が素敵とか一目引くようなメリットどこにあるのかな?って感じの普通の枝ものです。
ツツジという名前が付されてますが、花を売りにしているわけではありません。
枝がいい感じで張っていて、葉っぱもボサボサと茂ってる感じじゃなくてスッキリ。
この枝を大きめの花瓶に生けておくと変に花をごちゃごちゃ生けてるよりはずっと「スタイリッシュ」でまるで我が家がショップのよう!!になるのです???。
さらにこれって夏の花が持たない時期でも水に入れてほったらかしておいても相当持つのです。
コスパ的にも最高。
でも、以前は夏の定番の枝ものってだけで生け花ってカテゴリーの商材だったのに。
人気と共にこちらも価格高騰。
そして昨年の秋には巨大なススキのお化けみたなパンパスグラスという植物。なぜか問い合わせ急増。
これも昔からある商材ですが。
やっぱり、一本花瓶に生けとけばショップ感出る。
コスパがいいという理由はドウダンツツジと同じかな?。
こんな風に、今は次にどんなトレンド来る?なんて誰も予想できないし。
こんなものがなぜ?が続くと思う。
花屋が花の本当の魅力はこういうものだよとか表層だけで判断しないでとか言ったってさ、ネットで高速で交わされる人の欲動にはついていけない。
むしろ、振り回されてるぐらいがちょっと面白いじゃんね!!って楽しんでる自分は野次馬の場所にいることでアイデンティティー保ってます。
自分の花の体験や記憶を誇りに思ってマウントかますなんて泣きだし、誇りなんて埃じゃん。
自分を壊すことでしか新しい自分見つけられないし。

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