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4月28日/2023

(続き)

気持ちの良いトレッキング気分はもはやすっかり影をひそめ、シリアスな雪道登山になってしまった。雪景色を楽しみながら登るとか気楽な言葉は吐きません。これ登るのもいっぱいいっぱいなのにここ下って帰れるのか?という不安が頭ん中で膨らんでくる。そうは言っても、それは後の話。今は目の前の岩の道と雪で足を取られて滑落しないように精一杯登るのが先だ。この目の前の難儀のおかげなんだろうか?。坂道登る疲れとか怠さとかいう感覚は湧いてこない。とにかく目の前の道に集中!!。のんびり行こうといった当初の気分から、一歩一歩集中のゆっくりに理念が転換されている。目先の雪道に囚われていると前方からクマ鈴の音色が。人が来るのか?。自分はロープウェイの始発で来たのだから、クマ鈴の主は一体どうやってここを下ってくるのだろう。もしかしたらロープウェイ使わず下の駐車場から登ってきた?。それとも他の山からの縦走か?。八ヶ岳のことをよくわかっていないので、不意を突かれてビックリ。こんにちは!!。軽やかに雪道を下っていくクマ鈴。こちらはすれ違う足場を確保するのにも精一杯。一度雪の少なくなった岩岩の登山道も再び雪一面の道に戻る。雪は多くなったけど、険しさが少なくなった気がする。山アプリを覗くともうすぐ北横岳ヒュッテという山小屋に到着の模様。思いの外の難儀。山頂まではもう少しあるけど、ちょっとそこで休んでいこう。ということでヒュッテに到着。小屋の周りはまだまだ雪景色。そして閉まっている。でも丸太のベンチやテーブルもたくさんあって休憩の場所としては事欠かない。リュックを下ろして水を一口。ふー、疲労感というものはないが、雪道の緊張度がすごくて精神的に疲れた。山頂まではあと15分ぐらい。靴紐をしっかり結んで、さあ、行きましょうか。再びリュックを背負い。小屋を後にする。そういえば周りは針葉樹の樹林に覆われている。ここもうちょっと前だったら、樹林に降り積もった雪がすごかったんだろうな。今は木々の雪はすっかり消えてしまったけれど、樹林の下に降り積もった雪はまだまだ深い。さて歩き出してまもなく急な雪の斜面。ここ登っていくのか?。登れるのか?。メチャ急じゃないか。チェーンスパイクで登れる?。あ、でも人の足跡を踏んで歩けばいけるな。一歩一歩なんとか踏ん張って急な斜面をこなしていくと上方から声が。こちらノーアイゼンなので先に行ってくださいとのこと。え、こんな雪の急な坂をアイゼンなしで降りてくるのか。信じられない。ストックを片手にまとめて持ち、もう一方の手で枝を握りしめて道を譲ってくれる猛者。ご安全に!。気をつけて。チェーンスパイク履いてても足を取られて登っているのに、そこを何もつけないで下っていく人。すごい人もいるもんだ。山に入ったばかりの時はここには誰もいないんどろうなと思っていたけれど、どういうルートで山に入ったのかは知らないけど、やっぱりいるんだな。急な坂を緊張しつつ登り切ると岩岩の道に続き階段。樹林も切れて視界が広がってくると雪も少なくなってくる。来たか!。頭上に青空の比率が高くなる。頂上だ!。そう認識した途端に突風!!。開けた景色の見事さに心奪われる。目前に蓼科山。その向こうにビーナスラインと北アルプス。振り返れば八ヶ岳と南アルプス。標識を撮影。24716mとある。ここってこんなに高い山だったんだ。改めて驚く。考えてみればこんな高いところ、富士山除けば来たことないかも。山頂はさほど広いわけでもなくベンチとかもないので、とりあえずその辺の岩に腰下ろして風景を眺める。とは言っても風が強いのでそんなにゆっくりもしていられない。ここは北横岳の頂上ではあるんだけど、北横岳南峰。ここからさらに15分行ったところに北峰というのがある。そっちに行かないと北横岳をコンプリートしたことにはならないのかもしれないけれど、登ってきた雪道を下るといった憂鬱がさらなる山行への気持ちを妨げる。そんなことを考えながら目前の絶景を眺めていると人が登ってくる気配が。こんにちは。今度は男女のカップルだ。景色を一瞥すると呼吸を置くこともなく、北峰への道を進んで行ったよ。さあ、山頂の景色は名残惜しいが、この風にさらされているのも地味に辛いので、下の小屋まで降りて食事して帰ろう。靴紐をキツく結えて、さあ、降りていくぞ。北峰の山頂が垣間見える。あっちにも行ってみたいが、今日はやっぱりやめておこう。歩き始めると小屋も見える。あそこから15分?。遥か下に見えるんだけど、あそこまで降りなくちゃいけないのか。慎重に慎重に雪道を降りていく。気を抜いたら、どこまでもどこまでも滑り落ちていきそうだ。案の定一回尻餅ついた。そのまま尻餅ついたまま滑り降りたら楽なんじゃないのかという考えも浮かんだ。何箇所かの急坂の難所をなんとか乗り切って小屋の前までやってきた。ふう、誰にも会わなかったからいいけど、なりふり構わぬみっともない降り方だった。まあ、無事にここまでこれたからいいんじゃね。リュック下ろしてパン取り出す。さてここでゆっくり食事タイムだよ。ランチパックとあんぱん。噛み締める。うまいな。水を一口二口。生き返る。ここから先もまだ雪道残っているけれど、とりあえずここまで降りてこれたからほっとした。景観はないけれど樹林に囲まれていて風もない。日差しを浴びてのんびりした気分に浸れる。パンも食べ終わり。帰り支度。ゴミとかまとめて、また靴紐締め直して。まだ余力充分で下山開始!。さてまだまだ難しい岩岩と雪の道は続く。緊張感を持って慎重に行こう。まあ、あと1時間頑張れば、ロープウェイが待ってるわけだし。この先もまだまだ険しい道が続く。登るのも大変だったが、やっぱり下りは神経使う。てで岩や木の枝を掴んだりしておそるおそる岩岩の道をこなしていく。難儀しつつ一歩一歩下っていくにつれ雪の量は減っていく。登ってくる人数人とすれ違う。この先のアイゼンの有無を問われるが、そりゃ、もちろん必要でしょ。だよね。ご安全に!。行ってらっしゃい!。何度目か九十九折りの道を下ると、チェーンスパイクを装着した場所に戻ってきた。わあ安心の風景。トレキングロードに戻れた。ここで岩に腰下ろしてチェーンスパイクを脱ぎ、ポールを折り畳みリュックにしまう。そこを出発するとまもなくロープウェイの駅が見える。カメラを持った人々がちらほら。思えばこんな高いところまで安楽な格好と気持ちでやってこれるなんてすごいことなんだね。そういう安楽な気持ちでやってきた自分も想定外の山行楽しめた?。というわけだった。もう今シーズンの雪は勘弁だな。駅に真っ直ぐ進んでいくともうすぐ発車します。という呼びかけが。迷わず乗車口へ。車内に乗り込むと先客は一人だけ。帰りも貸切状態だ。万歳!。時刻12時ちょっと前。すぎてしまえば、こんなところまでロープウェイできて3時間ほどの山行。超お手軽なのかもしれないけれど、それはそれで厳しさも絶景も味わえたわけだし、やっぱり今日も山の神様に感謝だな。ありがとうございます。次もよろしくお願いします。さて、帰りの道程はめちゃ遠い。気をつけて帰ろう。

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