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ハナを止めるな!!

雨が降り続き、気温もだんだんと上がってきて。
モヤモヤとジメジメに塗れてくる季節。
不快な感情だけが口に上ってきて気が滅入る季節。
それは花の店先にある花にとっても同じこと。
ほんとなら自然の植物にとっては恵みの雨と気温の上昇は成長を促進してくれるありがたい応援団のはずなんだけどな。
人間のために無理に捻じ曲げられ人間の生きてる現場に拉致されてる植物にとっては人と同じようにこの季節は苦手だ。
花が生けられた花瓶の水はあっという間に濁ってくる。
花の茎はどんどん腐って、花の商品価値は短くなりロス率は上昇する一方。
外売り場の花苗や花鉢も過密の環境の下、雨に降られる→気温上昇。
このリピートのストレスで徐々に弱り倒れていく。
何もいいことないじゃんとふて寝したくなるような有様。
でも、濁った花瓶の水にはバクテリアが繁茂してるはずだし、アスファルトの隙間には雑草がしっかり根を張ってる。
生命に満ち満ちてる幸福な世界もパラレルに存在してるわけ。
人にお金をもたらしてくれる商材が外からの要因で価値を失っていくこと。
人だって手をこまねいて見ているわけではなさそうで。
ちゃんと食べて生きていかなくちゃいけないしね。

日持ちしない花。
販売する方にとっては不利な商材。
これって購入する方にとっても同じ。
同じお金払っても、一週間持つ花と一日しか持たない花だったら、どっち買うかという選択の判断。
花というものの価値って持ちの良し悪しで簡単に決められないからそう単純ではないのだけれど。
ま、普通の感覚ならより持ちがいい花を購入したい。
そこで、持ちがいい花について。。。
花屋の店先に並んでいる花って八百屋で一年中並んでいる野菜のごとく、本来の旬を逸脱して出回っているものがたくさんあります。
バラやガーベラや菊。
一年中花屋に並んでいるから一年中咲く花?。
みたいなことになっているけれど、本来ならばこれらの花にもちゃんと咲く時期というものがあるはず。
ムシムシで暑い季節にもへこたれず、逆に生き生きとする旬の花だってあるわけ。
それが花持ちのいい花の条件の一つなんです。
夏の花といえば?。
空想広げてください。
ヒマワリ、ユリ、グラジオラス。。。こういったものが代表選手です。
夏らしさを演出する花というだけでなく、夏でもすぐにはダメにならない花として貴重な存在なんです。
これらの花の特徴は夏が旬の花というだけあって花を支える茎がゴツくて丈夫。
切り花として水に浸かっていても比較的腐りにくいという特徴があるんですよね。
逆に花は持っても茎がすぐに腐ってしまって花を支えられなくなってしまうものもあって。
それがガーベラ。
カラフルでシンプルな意匠のこの花は一定の人気がありますが、半袖で過ごすような季節にガーベラを購入するのは避けたほうがいいかも。

夏の花。。。別視点からいきます。
夏のイメージで思い浮かべてみましょう。
自分のリアルにはありえない、無い物ねだりの世界。
トロピカルという妄想。
花屋の世界は視覚に訴えるもので生業立てているわけだから、もちろんそこは抑えているわけで。
南国チックはトロピカルフラワーは南国諸国から輸入されてきます。
アンスリュームや多様なラン類。
これらのトロピカルフラワーも南国情緒を演出するために需要が高まるだけではないのです。
夏に旬を向かえる花は持ちが良いという話をしましたが、夏が常態の環境で育まれたトロピカルフラワーはさらに日本の夏に強いのです。
他の季節には季節感先行で季節感がアイデンティティーだと思っているジャパニーズには軽視されているトロピカルフラワー。
酷暑がじわじわと近づいてくるに従って市場の相場も上がっていく商材となります。
トロピカルフラワーとともに花の表情を支え引き立てるグリーンも同時に人気が上昇していきます。
この季節に限っては花を引き立てるだけでなく葉っぱ自体が主役ともなりえます。
グリーンだけを花瓶に飾るといった使い方。
ヤシ類、ドラセナ類、モンステラ、アンスリュームなどなど。
南国植物の葉のデザインは個性的で魅力的なものがたくさんあります。
昔、観葉植物というものが流行った時代もありました。
今時は固定資産的な鉢物の観葉植物を部屋に置くようなめんどくさいことする流行は無くなりました。
花瓶にグリーンとしての生花を飾るのが身軽で軽やかな印象があります。
存在感ある南国植物の葉っぱが一枚部屋にあるだけでもテンション上がりますよ。

前向きとか積極的とか、そんな概念を横に押しのけていたいような酷な暑さに見舞われる不快な季節。
ネガティブモンスターの心を少しでも軽くしてくれるかもしれない気分転換に花や植物、活用してください。

補足です。
グリーン。
南国植物以外にここ数年とても需要が高まっているものがあります。
ドウダンツツジ。
ツツジとは言っても、春に鮮やかな花を咲かせるツツジとはちょっと違います。
スズランみたいな可愛い花を咲かせる植物なのですが、用途は葉を茂らせた樹姿を楽しむ枝ものとしての扱いとなります。
初夏からドウダンツツジは出回りますが、一本花瓶に生けて置くだけでなんとなく森林浴を妄想できます。
何週間も切り花として飾って置くこともできるのでコスパも良し。
ただ人気が高まっているので値段も年々高くなってきてますけどね。

それと最後に。
グリーンから花に戻って。
真夏に移行する前に旬を向かえる花。
紫陽花という超主役級の花があります。
実はこれも持ちの良い花としての一面もあるんです。
えっ、紫陽花の花ってすぐにくしゃっと萎れちゃうんじゃない?。
そういう印象も確か。
紫陽花という花を切り花として延命させるのはけっこう難しいんです。
この花は見るからに大きいですよね?。
大きい花を保つにはそれだけ水を吸い上げることができるような処理をしてあげないといけません。
紫陽花は切り花にする時は葉をできるだけ落とす。
切り口はハンマーなどで軽く叩いて潰します。
この時に茎から白い綿見たいものが出るのでこれをナイフなどで取り除きます。
茎が水に触れる表面積を増やすことが目的です。
そしたら新聞紙とかの紙で花をきつめに包んで深めの水につけて一日ぐらい置きます。
うまいこと水が上がればけっこう長持ちしますよ。
でも、必ずうまくいくかというとそうでもなくて、数日で花が萎れてしまうこともあるし、なかなか難しい。
どんな紫陽花に出会うかという運というのも大きく作用してます。
一番見ごろになっている旬の紫陽花は切り花として本当に価値があるんですが、見ごろをちょっと過ぎて立ち枯れ状態に入ってきている花が実は水上げもよく長持ちします。
それと、紫陽花と一口に言っても、本当はいろんなタイプがあって、切り花として向いているものとそうでないものがあるんです。
長持ちを前提に紫陽花を選ぶなら、秋色紫陽花とか水無月といった晩夏から初秋に出回るドライになる直前の紫陽花。
梅雨時のイメージがある紫陽花にしてはちょっと季節外れの頃に出回るので注意。
秋色アジサイや水無月は水に生けてしばらく楽しんだ後は水から離してドライフラワーとして楽しめますよ。

以上。。。

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