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【続編⑰】第六章〜第二、三、四節 これならできる!運動指導初心者の指南書〜特定保健指導、介護予防指導などで必ず役立つ!

2.バランス感覚の重要性


 ここでいうバランス感覚とは、客観的な、または科学的な視点と、自分の感覚的な、主観的視点。この2つの視点をバランスよく活かしているか、ということ。そういうバランス感覚を普段の生活の中で確認することが大切な時代だと思います。

 ここで健康診断を考えてみましょう。会社員の方ですと会社から指定の医療機関などで受診するように指示があるか、自営業者、フリーランスの方ですと国民保険で年に一回の健診を自主的に受けられる方がいらっしゃると思います。

 会社ですと、その結果によっては人事査定に引っ掛かるということで健診の少し前から節制した生活を過ごして血液検査などを少しでも正常値に近づけておこうという涙ぐましい努力をされるという話も聞きますが、残念ながら、意味ないと申しましょうか、それでまた健診後、メチャクチャな生活習慣に戻って、潜在的な病巣が現れて床に伏せるようなことになっては人事査定も何もありませんね。

 また、健診は問題なかったけど、その後癌になってしまって、という話も時々聞きますね。

 健診はすべての病をチェックできるはずもなく、罹りやすい病のチェックを主にするわけですね。ですから、当然ながらすり抜けてしまう病もあるわけです。

 確率論の問題です。

 それと、健診の結果はだいたい1ヶ月後くらいに連絡がきます。そう、健診からすでに一ヶ月時間が経過しています。この一ヶ月間で、一ヶ月加齢しているわけですよね。

 カラダは生ものです。細胞の入れ替わる期間は、短いものだと肌の細胞はほぼ1ヶ月で入れ替わりますし、血液は約4ヶ月です。もっと身近なところで言えば、髪の毛は1〜2ヶ月で整えるために美容院や床屋さんにいきますし、爪も1週間に1回は切りますよね。体は一瞬一瞬変化しています。

 健診は年に一回。その日は確かに大きな病はないかもしれない(でも、隠れている病もあるかもしれない)。でも、健診の次の日には、病のスイッチが入る可能性はゼロではないです。

 そんなこと言い出したらキリがないわけですが、大切なことは、年に一回の健診日以外の364日、自分の体に関心を持っているかどうかだと思うのです。

 でも、毎日自分の体に関心を持つって。。。どうすれば良いのかなと思いますよね。

 それは実に簡単なことなんですよ!


3.「循環」の重要性


 『祇園精舎の鐘の音。諸行無常の響きあり』。。。

 この世の全ての現象は常に変化している、と言う意味合いで使われる言葉ですね。

 800年以上前の鎌倉時代から使われてきたこの一文。我々日本人は長年にわたって、この自然の摂理を生活の中で体感してきたわけですね。

 先ほど体は常に変化しているお話をしましたが、我々の体もこの自然の中で存在するものですね。

 健康な時は、ずっとこの健康が維持されると人は勝手に思っていますが、次の日に熱が出たり、お腹が痛くなったり、体調を崩すこともあるわけです。

 そう、今日のこの健康も永久に続くわけではなく、良い時もあれば悪い時もある。常に変化しているわけです。

 この「常に変化している」ということですが、「常に動いている」とも言えると思うのです。

 東洋医学の視点で考えると、この「動き」を「気、血、水の循環」で捉えています。この気、血、水を常に循環させておくことが大切なわけですね。

 先ほどお話ししました「自分の体に関心を持つ」ためにはどうするか、ということですが、この血液と水分(体液)を滞らせないために、生活の中で体を動かす機会、つまり『運動』の場面があるかどうかはチェックポイントになりますね。

 「気」についてはどうでしょうか?私はここは「人との交わり」だと思うのです。

 我々は「人間」ですね。「人の間」で存在するのが「人間」です。

 また、我々人間は集団的動物とも言われますね。他者との関わりの中にあって生きていく動物なわけです。

 他者との交わりの中で、気と気を循環させて生きていきます。

 生まれだばかりの時、我々は親、兄弟姉妹という小さな人間関係の中で育ち、徐々に友達、先生という学域、そして隣のおじさん、おばさんという地域社会との関わりを持って人間関係を広げていく中で、人として成長していきます。

 ですから、「気」の循環のチェック方法として、人との交わりがあるかどうかもポイントになるのではないでしょうか。

 体を動かす機会、そして人との交流する機会が生活の中にあるかどうか、それが普段の生活の中で簡単にできる健康管理方法ではないでしょうか。


4.『八快』の原則


 さらに、生活の中で健康管理をチェックする具体的な方法をご紹介しましょう。

 これは、私が30歳の頃ですから、今から30年以上前のことです。今の私の年頃の保健師さんから教えていただいたことです。

 今から挙げる8つの項目が、「あー、心地よいな(快)」と体感できているかどうかを普段の生活の中で時々チェックしてみて下さい。

 食・睡眠・便・尿・声・歩・談・笑

 以上の8項目です。

 さらに、この8項目を見た時に面白いことを発見しました。

 この8項目の中で「入れる」ものは「食」だけ。

「睡眠」は日中取り入れた情報を整理する時間です。

 そして、残りの6項目は「出す」ことですね!

「便」、「尿」は排泄ですね。

「声」は発声することですね。

「歩く」はエネルギーの消費です。

「談」は話すことですから、「声」を発して、気持ちを表すということですね。

「笑」は、「ハ、ハ、ハ!」と声を発しながらの行為ですね。

いかがですか。8項目のうち6項目は「出す」行為なんですね。「入れる」ことは「食」のみなんです。

しかし現代社会は「情報過(禍)社会」でしたね。「入れる」ことが多過ぎる時代なんでうね。

もちろん、エネルギーも情報も必要な分は取り入れなくてはなりませんが、入れたら「出す」こと、つまり「循環」させることが大切であることをこの「八快の原則」は示唆してくれています。

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