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【書評】アメリカの高校生が学んでいる投資の教科書(債券投資の重要性)

投資関連書籍を読むことが趣味化している私だが、久しぶりに良著に巡り会うことが出来たので、アウトプットを兼ねて読者の皆さんにシェアしていきたいと思う。タイトルは高校生向けとも見て取れるが、内容は私のような長く個人投資家をやっている者にも為になる本であり、同時に投資初心者にも文章が簡潔で分かりやすいため自信を持ってお勧め出来る本だ。

類似本で「アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書」という本があるが、今回私が読んだ本は「アメリカの高校が学んでいる投資の教科書」であるので、混同しないように願いたい。

結論から先に述べると、投資で最も重要なことは「分散」である。

株式投資、債券投資、不動産投資の全てに共通することは「分散」である。つまり、インデックスファンドをドルコスト平均法で買っていくことが安全な投資の基本と著者は述べている。

「市場に勝つのではなく、市場に連動するファンド」を目指すインデックスファンドは、長い目で見れば資産を築く確実な方法だ。そして、このインデックス投資と相性が良いのが「ドルコスト平均法」と呼ばれる同じ投資商品を、同じ金額ずつ、同じペースで買い続ける投資法である。

インデックス投資とドルコスト平均法を組み合わせることで、私のような凡人投資家であっても、投資期間が20年以上あるならば、着実に資産を増やすことができるということだ。

ここまでは、普段から投資を勉強している賢明な投資家であれば、既に分かり切っていることであり、私のnoteでもインデックス投資とドルコスト平均法の重要性は何度も触れてきたことである。

この本が良著だと感じた一番の理由は、「債券投資」の重要性をしっかりと述べていることだった。

YouTubeやTwitterなどのSNSでは、得体の知れない若い個人投資家がインフルエンサーとなり、米国のSP500や全世界株式に投資していれば安泰という雰囲気を醸し出している。

老後2000万問題が話題に上り、NISA、iDeCoなど国策により、低コストのインデックスファンドが普及し、投資環境がここ数年で一気に整いつつある日本ではあるが、投資に関する歴史は欧米諸国に比べれば、まだまだ浅いと言えるだろう。果たして、リーマンショックを経験しているインフルエンサーがどれくらいいることか。

火事や事故、病気が心配だから保険にはしっかり入っておこう。日本人には、資産運用(資産管理)において慎重な姿勢を持つ人が多い。しかし、投資においては何故か株式一辺倒であったり、レバレッジ商品を好む個人投資家が多いのも事実だ。実際に私もそうだ。

リーマンショックのように株価が暴落する確率と火事が起こる確率はどちらが高いか。リーマンショック級の暴落が起きれば、広く分散された全世界(全米)株式のインデックスファンドであっても、資産5000万の人は40%、つまり2000万の資産が目減りする。1億なら4000万だ。この額だと火事で家を失うことと何ら変わりはない。つまり、資産が大きくなればなるほど投資においても「債券という保険」を組み入れておくべきではないか。

私は、本著を読んで「資産を守る」「資産を防衛する」ことの重要性を学んだ。資産を正しく配分し、インデックスファンドを中心にした攻撃的すぎないポートフォリオを長期にわたって運用することが堅実な資産形成に繋がるのだ。

現在の私の金融資産は1500万程度なので、守りを意識した投資はまだ必要が無いのかもしれない。しかし、堅実な資産運用を目指すなら債券投資は欠かせないだろう。債券は株式ほどのリターンは見込めないかもしれないが、それでも2~3%のリターンは期待が出来る。株式投資と同様に絶大な力を持つ複利の恩恵を受け取ることが出来るならば、債券は火災保険や医療保険のような掛け捨てとは異なり、着実に資産を形成してくれる立派な保険だ。

もちろん、適切な資産配分は人によって異なるため、自分の目標やニーズをきちんと明文化して、それに沿って株式と債券の配分を決めることが大切である。適切な資産配分は効果的に資産を増やすことに繋がる。

新NISAでは「全世界株式インデックスファンド」に夫婦で3600万(1800万×2)を投ずる予定だった。しかし、本著を読んで、本当にそれが最適解であるのか少し考えてみようと思った。ちなみに、私が考えた今後のポートフォリオが以下のとおりである。

① 全世界株式インデックスファンド 50%
② 先進国債券インデックスファンド 30%
③ 高配当(連続増配株)インデックスファンド 10%
④ 不動産REITインデックスファンド 5%
⑤ 国内株式(N社)+レバナス 5%

投資商品が増える分、管理するのが大変になるかもしれないが、例えば、妻のNISA口座で①に投資、私のNISA口座で②~④に投資、⑤は特定口座で運用してみてはどうだろうか。景気後退局面では、②~④の投資商品がそれなりに効果を発揮するはずだ。

まだ新NISAが始まるまで時間はたっぷりある。

次に読む本は、
① インフレ・円安からお金を守る最強の投資(朝倉智也著)
② TO BE RICH(トゥー・ビー・リッチ)ラミット・セティ著

この2冊だ。

確かな経歴を持った著者が書く本は、資産運用のヒントを与えてくれる。

新NISAの運用が始まれば、選択する投資商品をころころと変えることは好ましくない。勉強するなら、まさに今だろう。

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